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安倍首相と会談へ…翁長知事の怒りと覚悟 中央政界の対応焦点

沖縄タイムス 5月23日(月)5時12分配信

 沖縄県の翁長雄志知事は23日、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、元海兵隊員で米軍属の男による女性遺体遺棄事件に抗議する。翌24日には安慶田光男副知事も外務省、防衛省に抗議する方向で調整しており、中央政界が県首脳にどう対応するかが焦点になる。米側は、ケネディ駐日大使が来県して謝罪する案を検討しているが、県内では「全基地撤去」を求める声が強まっており、幕引きは容易ではない。(政経部・吉田央、大野亨恭)
 「首相が会わなければ、知事は沖縄に引き上げる」
 政府との調整が続いていた20日、県幹部は会談の位置付けを、こう説明した。
 事件の重大性を考慮し、行政府の長が応じなければ、知事は予定されていた沖縄振興関連の会議にだけ出席し、きびすを返す覚悟だった。24日には、知事が首相にかりゆしウエアを贈呈する恒例行事が予定されていたが「笑顔のセレモニーは現状にふさわしくない」(県幹部)として、取りやめになりそうだ。
 知事は12日間の訪米、訪台を終えた翌日の21日、被害女性の告別式に参列した。「長期出張で疲れ切っている状態」(周辺)だったが、被害者と遺族に寄り添うことを重視した。
 事件への初動は、知事の留守を預かった安慶田光男知事が担った。
 「明日も『民間人の犯行』だと責任放棄のようなことを言うなら、お引き取り願う」。安慶田氏は19日、怒りをあらわにしていた。
 20日に安慶田氏と会談したニコルソン四軍調整官は前日に安慶田氏へ電話し、最初の謝罪をしていた。
 その際に「民間人の犯行だと強調していた」(県幹部)ため、安慶田氏は20日の発言を注視していた。
 会談で調整官が自身の責任を明確に認めた上で謝罪したため安慶田氏も受け入れたが、舞台裏は一触即発だった。
 日を追うごとに事件の悪質性が明らかになり、沖縄の怒りに拍車をかける。
 稲嶺進名護市長は22日夜、県議選の総決起大会で「女性の命が虫けらのように扱われた」と憤った。
 辺野古に新基地を造る方針を変えない政府への不信感も高まる。名護市長とともに演説した知事は「無念だ。こういう事件に、政府は寄り添わない」といらだちを示した。 
 こうした状況に、県選出で沖縄担当相の島尻安伊子氏は危機感を強める。
 「4閣僚を集めてください」。島尻氏は19日、菅義偉官房長官に関係閣僚会議の開催を進言した。「局長級ではだめか?」と難色を示す菅氏を押し切った。
 政府も事件の重大性を認識し始めた。
 「知事には首相が対応できそうだ」。政府高官は20日午後、安堵(あんど)感を示した。官邸幹部や閣僚からも「首相が会うべきだ」という進言が相次いでいた。
 「私は告別式に行く。防衛省も誰か行った方がいい」。20日の関係閣僚会議で島尻氏が提言し、中谷元・防衛相は参列を急きょ決めた。
 ただ、対症療法では、沖縄側の怒りは収まらない。8万人以上の規模で県民大会を開く方針も決まった。防衛省幹部は苦悶(くもん)する。
 「遺族は『告別式に大臣が来ようが総理が来ようが、娘は戻らない』と思うだろう。しかし、誠意を示すには、これしかないんだ」

最終更新:5月23日(月)19時0分

沖縄タイムス