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経営者が「新車メルセデス」ではなく「中古フェラーリ」を買う理由

ZUU online 5月23日(月)17時33分配信

事業を営む上で「税金」が気になるのは、経営者の性(さが)だろう。特に、男性経営者に関心が高いのが「クルマによる節税」だ。クルマ選びの基準は人それぞれだが、おカネのメリットを考えると、中古車フェラーリを購入する人も少なくない。その理由をみていこう。

■中古を購入する方が節税メリットが大きい

クルマ好きなら「手垢のついてない新車で買いたい」と感じるとことだろう。しかし、節税を考慮するなら、中古車を買うべきだ。しかも、年数が経っているものほどよい。

その理由は耐用年数にある。基本的に、青色申告をしているのならば、30万円を超える場合は購入時の事業年度に全額経費として落とすことはできない。35万円を少しずつ、毎年経費にしていく。それがいわゆる「減価償却」という会計のルールだ。

減価償却には、「定額法」と「定率法」の2パターンがある。「定額法」とは毎年均等に経費にしていく方法、「定率法」は買ったばかりの頃に多めに経費にしていく方法だ。クルマは一般的に、「定率法」で経費にしていくことが多い。また、耐用年数が短ければ短いほど、より早く、より大きな金額でクルマを経費として落とすことができる。この耐用年数は、新車ではなく中古車にすることで短くできるのだ。

新しい普通車の法定耐用年数は一般的に6年だが、中古車の場合は「使用可能期間」で考える。ただ、それを客観的に見積もることは難しい。そのため、通常は、次のような簡便的な計算を用いて耐用年数を見積もる。

1.法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数
2.法定耐用年数の一部を経過した資産

その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
※これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とする

■新車の場合と中古の場合の比較を実際に計算

例をあげよう。12月決算の会社がその年の1月に社用車600万円を購入するとしよう。

<新車の場合>
もし、新車を購入するとしたら、法定耐用年数6年の定率法の償却率は0.33なので、決算で経費になる金額は次のようになる。

600万円×0.33=198万円

<7年落ちの中古車の場合>
もしこれが7年落ちの中古車だったら、法定耐用年数をすべて経過しているので、この場合の耐用年数は6年×20%=1.2年→2年。法定耐用年数2年の定率法の償却率は1なので、決算で経費になる金額は次のようになる。

600万円×1.0=600万円

つまり、新車で購入すると、その3分の1程度しか経費にならないが、中古車で購入すれば、購入した事業年度にすべて経費化できることになるのだ。

■なぜ、フェラーリなのか…メルセデスでも同じでは?

減価償却のことだけを考えるなら、中古車なら何でもよいことになる。それが、フェラーリでもメルセデスでも変わりはない。しかし、クルマをいずれ売ることを考えた場合、フェラーリの方がメルセデスよりも高く売れる。それぞれの市場が違うからだ。

フェラーリは趣味性が高く少量生産だ。例えば、「500台しか作らない」と決めたら、ファンがいくら熱望しようと増産はしない。そのため、一つ一つの希少性が高くなるため、値崩れしにくい。場合によっては、根強いファンが多ければ多いほど、新車時より高い値段がつく。骨董品と同じロジックだ。

これに対し、メルセデス・ベンツは基本的には大量生産だ。生産台数は市場のニーズによって左右される。高級車といいながらも、トヨタと同じく大衆向けが中心であるため、購入者側の都合によりその値段が大きく異なる。したがって、中古車として売るときも、値崩れがしやすい。実際、100万円を下回る中古メルセデスはたやすく見つけられる。

■フェラーリは趣味性の高いクルマ「ケジメ」はしっかり

「節税や売却時のことを考えたら中古フェラーリがよい」ということを述べた。ただ、ここでひとつ注意点がある。それは、「趣味性の高いクルマは税務当局に目をつけられやすい」ということだ。つまり、高級車であり、かつ趣味性の高いクルマを社用車とする場合、「社長個人で乗り回すつもりだけのクルマを会社の経費で落としているのではないか」という点が疑われやすい。そのため、公私の区別をきちっとつけている証拠を残していることがポイントとなる。

あくまでも税金や売却といった「おカネ」のことだけに着目して中古フェラーリに軍配をあげた。実際には、総合的に判断すべきだろう。

鈴木 まゆ子(すずき まゆこ)税理士 
税理士鈴木まゆ子事務所代表。2000年、中央大学法学部法律学科卒業。妊娠・出産・育児の傍ら、税理士試験を受験し09年に合格、12年に税理士登録。現在、外国人のビザ業務を専業とする行政書士の夫と共に外国人の起業支援に従事する。現在、国際相続などについての記事執筆に取り組む。税金や金銭に絡む心理についても独自に研究している。ブログ「税理士がつぶやくおカネのカラクリ」

最終更新:5月24日(火)19時21分

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