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【千葉魂】 どんな時でも堂々と 西野、サウナで清田に誓った決意

千葉日報オンライン 5月24日(火)12時38分配信

 打球の行方を見送るとガックリと肩を落とした。投手陣全員でつないで守り切った1点のリードは最終回、守護神の西野勇士投手に託されていた。しかし、結果は残酷だった。3安打を浴び、2失点。サヨナラ負けを喫した。5月3日、コボスタ宮城のマウンドで背番号「29」は、うな垂れた。チームの勝利が消えた。胸が痛む。ベンチに倒れ込むように座り込んだ。

 「キツかったですね。失敗が続いていたので…。気持ち的に滅入っていました」

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 デーゲームを終え、宿舎に戻るとホテル内の食事会場で少し遅めの夕食をとった。自室に戻ると携帯が鳴った。一人で落ち込むその背中を見て、声を掛けてくれたのは5歳年上の清田育宏外野手だった。「サウナ行くけど、一緒に行く?暇だったら、行こうよ」。年も離れており、投手と外野手ということで普段はあまり接点はない。2人だけで食事に行く機会もこれまではなかったが、サウナに誘われた。

 「ビックリしました。でも誘っていただいてうれしかった。サウナで悪い汗を流すのもいいなあと思いました」

 2人で街のサウナに出かけた。「切り替えて行こう。落ち込んでも仕方がないよ。前を向いてやるしかない」。大粒の汗をかきながら清田は若き守護神の労をねぎらった。しばらくして、真剣な表情になった。「ただ」。そう言って間を置くと、続けた。「マウンドでの雰囲気が不安そうに見える。外野から見ていて、そう感じる。それは野手にも相手打者にも伝わるよ。打てるものなら打ってみろぐらい、堂々としていた方がいいかなとオレは思う」。続く救援失敗にいつしか自信を失っていた。そしてそれはマウンドさばきにも表れていた。思い返せばストッパーに転向をした1年目の2014年。同じように失敗した後、その1年前まで抑えの座を任されていた益田直也投手から激励のメールをもらった。「どんな時もマウンドでは堂々としていないといけない」。自分が弱い部分を見せれば見せるほど、敵はそれに付け込み、どんどん強気になる。勝負心理の鉄則を教えてもらった。だから、それ以降、肝に銘じてきたつもりだった。しかし、相次ぐ失敗にその背中はいつしか小さくなってしまっていた。サウナの中での先輩野手の一言でハッとさせられた。ストッパーとして自分で自分に誓ったはずの原点を思い直した。

 サウナの中に設置されていたテレビでは東京ドームの巨人対広島戦のナイター中継が流れていた。巨人が1点のリードを守り切ろうとする緊迫したゲームだった。見ながら野球の話は続いていた。ジャイアンツが継投で1点差を逃げ切った。「やっぱりストッパーは大変だよな。こういう時のマウンドなんて精神的に大変だろう?」。汗を拭いながら清田が問いかけると「ヤバいです。ハンパないです」と西野は本音を口にした。ただ、いつしか心の中のモヤモヤが消えていることに気が付いた。普段はなかなか話し込む機会のないバックを守ってくれる先輩野手と密室空間の中で話し込む事で大事な事を気付かされ、気持ちの整理ができた自分がいた。そしてなによりも落ち込む自分を見て、声を掛けてくれたことに感謝をし、巻き返しを誓った。

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 「優勝をするチームには必ずいいクローザーがいる。クローザーの状態が悪いと話にならない。皆さん、気をつかってくれている。皆さんの優しさが胸に染みます。これから、もっともっと一緒に喜び合うためにも頑張らないといけない。まだ先は長い。信頼を取り戻せるよう頑張りたい」

 それ以降の背番号「29」は威風堂々の背中を取り戻した。シーズンは長い。うまくいかないこともある。ただ、西野はどんな時も自分を信じることだけは心がけようと誓っている。自分の力を疑わない。投じるボールと守ってくれる仲間を信じ、力強く投げる。それはサウナで再認識し、誓った思い。清田との約束。もう肩を落とさない。いつだって、前を向いて、マリーンズの勝利の瞬間、マウンドで仁王立ちする。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:5月24日(火)12時38分

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