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シドニーのオフィス市場~海外資金による取得は高水準、日本の投資家にとっても魅力的~

ZUU online 5月25日(水)12時0分配信

■要旨

◆オーストラリアの不動産投資市場は成熟しており、特に近年、比較的高い利回りや豪ドル安による割安感から、海外資金による不動産取得の増加が顕著となっている。

◆オーストラリアは資源国としてのイメージが強いものの、サービス業が集積するシドニーでは、オフィステナントに占める金融セクターの比率が高く、資源価格や中国の景気動向による直接的な影響は小さい。

◆シドニーのオフィス市場は、CBD(中心業務区域)を中心に複数のオフィスエリアから構成されており、現在、CBDに隣接するバランガルーエリアの開発が進行している。

◆シドニーのオフィス需給は、底堅い需要と限定的な新規供給に加え、住宅転用に向けた築古ビルの取り壊しによって、今後も安定した推移が見込まれている。

◆シドニーのオフィスビルは、長期的に安定したインカムゲインを見込めることから、日本の投資家にとっても魅力的な投資対象とみられる。ただし、中国の景気動向が間接的にオフィス需要と供給の両面に影響する点には注意したい。

■活発な海外資金による不動産取得

近年、オーストラリアの不動産に対し、世界の投資家の注目が集まっている。先進国で不動産ストックも比較的大きいオーストラリアは、グローバルに運用する投資家がアジアパシフィック地域でコア型(*1)の不動産投資を検討する際の主な投資対象である。

特に、リーマンショック以降、市況の回復とともに海外資金によるオーストラリアの不動産取得が大幅に拡大してきた。投資対象となる不動産ストックは日本よりはるかに小さい(*2)にもかかわらず、海外資金によるオーストラリアの不動産取得額は、日本での取得額を大幅に上回っている。

その要因として、まず、オーストラリアの成熟した不動産投資市場が挙げられる。オーストラリアでは、上場REITが1971年に開始(*3)するなど、早くから不動産投資市場の整備が進んでおり、現在、欧米と並んで世界で最も透明度(*4)の高い市場のひとつにランクされている。

また、比較的金利の高いオーストラリアの不動産投資利回りは欧米や日本よりも高くなっており(*5)、近年の世界的な低金利環境のもと、少しでも高い利回りを求める世界の投資家にとって魅力的に映っている。

加えて2013年以降、為替市場において豪ドル安が大幅に進み、米ドル建てでみた不動産価格の割安感が強まってきたこともあり、海外資金によるオーストラリアの不動産取得が加速したとみられる。

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(*1)長期の賃料収入確保を目指す一般的な不動産投資をコア型と呼ぶ。対して、取得後の追加投資により売却可能価格の引き上げを目指すバリューアップ型、破綻企業の不動産に投資するオポチュニステック型などがある。
(*2)日本不動産研究所による日本全国のオフィスビルストックは約11,000万㎡(うち約6割が東京、2015年1月時点)、対して、英サビルズによるシドニーのオフィスビルストックは約800万㎡(2016年1Q時点)。各社で集計方法などが違うため、単純比較はできないものの、日本とオーストラリアのオフィスストックの格差は大きいとみられる。
(*3)日本のJ-REIT、シンガポールのS-REITの初上場はともに2002年。
(*4)JLLとラサールインベストメントマネジメントが、グローバルネットワークを活用して収集した定量的データとアンケート調査の結果を対象項目ごとに検証、数値化。大きく、「パフォーマンス測定」、「マーケットファンダメンタルズ」、「上場法人のガバナンス」、「規制と法制度」、「取引プロセス」の5つに分類している。
(*5)英サビルズによると、2016年1Q時点のグレードAオフィスの投資利回り(CAPレート)は5.25%~6.5%。
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■経済環境と不動産市況

オーストラリアは資源国のイメージが強く、実際、輸出品目の1位は鉄鉱石、2位も石炭(*6)と鉱物資源が上位に並んでいる。こうした鉱物資源の最大の輸出先が中国であるため、オーストラリアの輸出額は資源価格および中国の景気動向に大きく左右される。

よって、豪ドルの為替レートは中国の景気動向などに連動する性質が強く、特に、リスクオフ時に回避先となる日本円に対する変動は非常に激しい。そのため、とりわけ日本の投資家にとって、オーストラリアはハイリスクな資源国のイメージが強いとみられる。

しかしながら、オーストラリアのGDPを産業別にみると、欧米の先進国と同様、第3次産業が7割以上を占めており、第1次、2次産業の比率は低い。輸出入についても、鉄鉱石と石炭が主要な輸出品目である一方、原油と精製油がそれぞれ輸入品目の2位、3位(*7)を占めており、鉱物資源の輸出に一方的に依存した経済ではない。国内に限ってみると、成熟したサービス業が基盤となっており、経済構造は安定的といえる。

また、都市毎に経済構造が大きく異なっており、パースやブリスベンなどの資源会社の開発拠点都市は、地域経済が資源関連事業に大きく依存している。一方、国内経済の中心としてサービス業が集積するシドニーでは、資源関連事業の存在感は小さい。そのため、資源価格の低迷を受けて不動産市況が悪化する各都市を横目に、サービス業が主体のシドニーでは、資源価格の不動産市況への影響は軽微で、海外資金による不動産取得も活発となっている。

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(*6)外務貿易省統計によると、2013/14年度の輸出額に占める割合は、鉄鉱石が22.6%、石炭が12.1%。
(*7)外務貿易省統計によると、2013/14年度の輸入額に占める割合は、石油が6.7%、精製油が6.0%、1位は個人旅行サービスの8.25%。
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■シドニーのオフィステナント

シドニーの賃貸オフィス市場をみると、サービス業、なかでも金融、不動産セクターのテナントが占める比率が高く、特にCBD(中心業務区域)のオフィステナントの大半を金融、不動産セクターが占めている。国内の金融機関に加え、欧米やアジアの金融機関も多く、オーストラリアに進出する海外の金融機関のほとんどが、シドニーにオフィスを構えている。

金融セクター以外では、ITや通信など消費者向けのサービス業やその他の製造業など、様々なテナントが混在している。政府系団体や学校といった公的セクターも一角を占めており、公的不動産の民営化(*8が)進んだオーストラリアでは、公的セクターによる民間オフィスの賃貸需要も比較的大きい。

公的不動産が膨大(*9)に存在する日本とは対照的であり、オーストラリアの地方都市では公的セクターが最大のオフィステナントとなっているケースも少なくない。一方、資源関連企業については、シドニーのオフィステナントとしての存在感は小さい(*10)。

こうした特徴に加え、シドニーのオフィステナントについては海外企業比率の高さも特徴となっている。グローバル展開する金融機関が多いほか、英連邦王国であることから、多数の英語圏を主体とする欧米企業がオーストラリアで事業展開している。そのため、シドニーのオフィス需要動向は、概ねグローバル景気に連動するといえる。

資源価格や中国の景気動向は、シドニーでも比較的少数の資源関連企業のオフィス需要を直接的に左右する。しかし、シドニーのオフィス需要にとってより影響が大きいのは、グローバル景気を介した、あるいは、豪ドルの為替変動に左右される輸入企業や国内の消費動向を介した間接的な影響である。

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(*8)不動産に限らず、空港や高速道路などのインフラ施設の民営化も進んでおり、年金基金や民間の投資ファンドが多数の施設を所有している。
(*9)国土交通省によると、日本国内の公的不動産は約570兆円に達し、国内の不動産資産の24%(平成24年末時点)に相当する。
(*10)シドニーのオフィステナントにおいて資源関連企業が占める比率は数%に過ぎないと言われ、たとえば、世界有数の資源会社であるリオティントは2012年にシドニーオフィスを閉鎖している。
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■シドニーのオフィスエリア

シドニーのオフィス市場は、メインのCBD(中心業務区域)の他、複数のエリアから構成されている。シドニーハーバーを挟んでCBDの対岸に位置するノースシドニー、さらに鉄道路線を北上した近郊の駅周辺に複数のオフィスエリアが展開している。

特に、ノースライド、マッコーリーパークは、広々とした敷地に中低層の大型ビルが集積し、オーストラリアでは珍しい大規模なビジネスパークとなっている。また、シドニーCBDの23km西方の近郊都市であるパラマタは、パラマタ川上流にある歴史ある都市で、教育施設などの公的セクターを主なテナントとしたオフィスエリアとなっている。

各オフィスエリアは、鉄道路線および都心部の地下鉄で繋がれ、国内線および国際線の空港もCBDから容易に鉄道でアクセスできるなど、利便性の高い都市交通網が整備されている。

各オフィスエリアの規模(*11)は、CBDの賃貸オフィスストックが約500万㎡と圧倒的に大きく、他のエリアを合計してCBDの半分程度となっている。テナント構成もCBDと他で異なっており、CBDの大半を金融テナントが占めている一方、他のエリアでは金融テナントは特に目立たず、各種サービス業およびIT、政府系団体や学校などの多様なテナントの比率が高くなっている。

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(*11)英サビルズによると、シドニーの賃貸オフィスストックはCBDで507万㎡、ノースシドニーで82万㎡、クロウネスツ・レオナルドで34万㎡、チャッツウッドで28万㎡、ノースライド・マッコーリーパークで88万㎡、パラマタで68万㎡(2016年1Q時点)
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■シドニーCBDの変遷

シドニーCBDは比較的広く、北側のCBDノースに金融機関が集積している。チーフリースクウェアやファーラープレイスなどがシドニーのプライムオフィスエリアとなっており、各々に立地するチーフリータワーやガバナーフィップタワーなどがシドニーで最高のオフィス賃料を得ている。

これらの超高層ビルの足元には公開空地が配置され、洗練された金融街の佇まいとなっており、また、高層階からオペラハウスやハーバーブリッジといったシドニーを代表する景観を見下ろすことができ、それらの美観も高賃料の主な要因となっている。

金融機関が集積するCBDノースのやや南には、かつての金融街であるマーティンプレイスが控えている。同通りは1891年にまで歴史を遡ることができる歩行者天国で、欧風の歴史的建造物が残されている。

長らく国内銀行の本社ビルをはじめ、金融機関が集積するCBDの中心であったが、現在、金融機関の多くはCBDノースの超高層ビルに移転している。最近では、マーティンプレイスにIT企業が移転するケースが増加しており、歴史的建造物を建て替えた新しいビルに、欧米のIT、インターネット関連の大手企業が主要テナントとして入居している。

マーティンプレイスの南側は、商業施設が集積するエリアとなっており、特に南北に走るピットストリートは、シドニーで最も高い店舗賃料を得るプライム商業ストリートである。商業モールの上層階部分を賃貸オフィスとしているビルも多く、オフィス集積も進んでいる。

南側のシドニーセントラル駅まで広がるCBDサウスは、元来、チャイナタウンなどを含む下町エリアで、大規模なオフィスビルは少なかった。

リーマンショック前には、超高層オフィスビルを含む大規模複合施設のワールドスクウェアが建設されるなど、一時、新たな金融センターとして再開発が続く期待もあった。しかし、リーマンショック以降の景気鈍化に伴い、オフィスエリアとしての発展は止まり、最近ではホテルやコンドミニアムの開発が活発なエリアとなっている(*12)。

その他、大規模開発によって最近注目を集めているのがCBDウェストにあたるバランガルーエリアである。ダーリングハーバーに面した広大な港湾施設跡地に、超高層ホテルを含む大規模複合施設の開発が進んでおり、その中に3棟の超高層オフィスビルから成るインターナショナルタワーズが含まれている。

依然として、商業施設の集積が乏しくアメニティー面で劣るなど、オフィスエリアとしては成熟を待つ必要があるものの、ウィンヤード駅からの連絡通路の整備によりアクセスの利便性が確保されている。シドニーの都市形態は概して欧米型で、アジアの主要都市に比べて古風な印象だが、バランガルーの大規模開発は都市としての新陳代謝を進め、シドニーCBDの新たな魅力として国際競争力の向上に寄与するものとみられる。

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(*12)日本企業によるコンドミニアム開発事業もみられ、積水ハウスがシンガポールのフレイザーズ・センターポイントと共に商業複合高層コンドミニアムの「セントラルパーク」を開発。
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■賃貸オフィス市場の特徴

オーストラリアの賃貸オフィス市場では、英国に類似した期間10年などの長期の定期借家契約が一般的となっている。期間2年の普通借家契約が一般的な日本では、2年毎に賃料交渉があり、加えて、常時解約予告を受けるリスクに晒されている。一方、オーストラリアでは、契約期間の賃料収入が確定しており(*13)、さらに、将来の契約満期時も、既存テナントを保護する観点がなく、既存テナントあるいは他のテナントと市場賃料で新たに契約を結ぶことになる。

投資家にとっては、安定したインカムゲインを長期にわたって見込め、限られたリスクに的を絞った投資判断が可能となっている。海外投資家にとっても、現地の投資家に対しての不利が少なく、取り組み易い投資対象といえる。

また、賃貸契約交渉に際して、インセンティブの付与条件が額面賃料以上に大きな変動要因となっている。テナントへのインセンティブの付与形態は多様で、フリーレントの他、転居費用や内装工事費用のキャッシュバック、送迎バスサービスの付帯などがあり、付与するタイミング(*14)も契約毎に異なっている。

現在、インセンティブは額面賃料の3割前後で推移しており、リーマンショック以降にみられた4割前後から徐々に改善が進んでいる。一見、インセンティブは複雑にみえるものの、契約期間が長期で定まっていることから、インセンティブ金額を期間で割り、実質賃料(月額)を把握することができる。

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(*13)インフレに応じて賃料の上乗せがなされるステップアップ条項の付帯が一般的であり、正確には、確定しておらずアップサイドがあるといえる。
(*14)概して、市況悪化時にはインセンティブの付与タイミングが前倒しされ、契約期間を通じた賃料の割引よりも、フリーレントや一時金のキャッシュバックが増加する傾向がある。
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■オフィス需給と今後の展望

現在、オフィス需給の改善に基づいたインセンティブの縮小と額面賃料の上昇によって、シドニーの実質オフィス賃料は上昇傾向となっている。

まず、シドニーのオフィス需要について振り返ると、リーマンショックの落ち込みから底打ちした後も、欧州債務危機などの影響でしばらく力強い回復は見られていなかった。2014年以降、米国景気の回復に牽引される形でようやく回復が明確になってきている。今後も、グローバル景気は不透明感を伴いつつも、緩やかに改善を続けるとみられ、シドニーのオフィス需要も当面は底堅く推移するものと見込まれる。

一方、シドニーのオフィス供給についてみると、過去一貫して新規供給は限定的であった。そもそも地震国ではないため、築古ビルでも一定の競争力の維持が可能であり(*15)、また、アジアの成長都市のようにオフィス需要の急拡大が期待できるわけでもない。よって、東京のように都心のオフィスビルの再開発が活発ではなく、また、アジアの各都市のように新たなオフィスエリアの開発も積極的に進められてこなかった。

現在、バランガルーの港湾施設跡地で、例外的といえる大規模な開発が進んでいるが、オーストラリア史上最大といえる開発案件で、近年の需給改善を確認しつつ新規供給に至っている。今後、同規模の新規供給は長らく発生しないとみられる(*16)。

2016年は大量供給局面にあり、バランガルーのインターナショナルタワーズ1、3および、200ジョージストリート、333ジョージストリートが竣工予定となっている。ただし、既に大半のスペースが入居予約済みであるため、オフィス需給が大きく崩れる懸念は小さい。加えて、2017年以降は、再び新規供給が限定的となる見込みである(図表-8)。

また、シドニーのオフィス需給をみる上で、最近特に重要な要素はオフィスストックの減少である。住宅価格の高騰(*17)を背景に(図表-9)、築古オフィスビルから住宅への転用が増加している。特に、都心のオフィスビルでは、築古ビルを取り壊し、高級コンドミニアムに建て替え、分譲するケースが多い。

高級コンドミニアムは、中華系富裕層などによる投資用途の需要も強く、分譲価格の高騰が特に顕著となっている。中華系富裕層によるシドニーの高級物件の取得は、東京都心よりも活発で、中国本土の不動産会社による開発事例も複数みられており(*18)、そうした開発物件では、ほとんどのユニットを中華系顧客に販売するケースも珍しくない。

このように、コンドミニアム価格の高騰が開発、分譲事業の採算性を高めるに従い、オフィスビルの取り壊しが増加している。

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、今後の4年間でシドニーCBDの約20万㎡のオフィスビルが取り壊され、コンドミニアムなどに建て替わるため、2017、18年には、取り壊しが新規供給を相殺し、シドニーCBDのオフィスストックは縮小する(Net Supplyがマイナスになる)見込みとなっている(図表-8)。

シドニーでは中国企業のオフィステナントは少なく、資源関連企業の比率も小さいことから、資源価格や中国の景気動向が直接的にオフィス需要に影響するわけではない。しかしながら、中華系富裕層による高級コンドミニアムの積極取得は、少なからずオフィスストックの減少に貢献している。

よって、中国経済は、直接的にシドニーのオフィス需給に影響を与えるものではないが、グローバル景気や為替変動を介して需要面に影響し、加えて、コンドミニアムへの転用を介して供給面にも影響しているといえる。

ちなみに、現在、オーストラリアでは住宅市場の過熱が懸念されており、地方都市では既に住宅価格が下落局面に入ったとの見方が増えている。人口流入による住宅需要が強いシドニーでは、相対的に住宅需給が底堅いものの、今後、高騰した住宅価格が下落する可能性は否定できない。住宅価格が下落する場合、築古のオフィスビルをコンドミニアムに建て替える動きが鈍化し、オフィス需給に影響する可能性がある。

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(*15)たとえは、シドニーで最高賃料を誇るチーフリータワー、カバナーフィリップタワーは、それぞれ1992年、1993年の竣工で、最新のビルではない。
(*16)長期的には、ニューサウスウェルズ州がシドニーセントラル駅の地下化と周辺の大規模再開発の青写真を描いている。
(*17)(図表-9)は、オーストラリア全国の鑑定評価額データである。実際の取引価格をシドニー限定でみた場合、さらに住宅価格の上昇は顕著と考えられる。
(*18)大連の万達集団や上海の九龍投資集団などがシドニーのオフィスビルを取得し、住宅開発を予定。その他、中国の不動産会社がシドニー郊外で大規模な住宅開発を手掛けるケースもみられる。
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■おわりに

オーストラリアの不動産市場は、投資利回りの高さや豪ドル安による割安感から、世界の投資家の注目を集めている。オーストラリアの輸出に占める鉱物資源の比率は高いものの、サービス業種がテナントの大半を占めるシドニーのオフィス市場では、資源価格による直接的な影響は小さい。

シドニーのオフィス市場は、過去最大の新規供給に面しているものの、需給悪化懸念は小さく、むしろ、大量供給が都市の新陳代謝を促し、シドニーの国際競争力の向上に繋がると期待されている。2017年以降、新規供給が再び限定的となるため、安定したオフィス需給の継続が見込まれている。

日本の投資家にとっても、長期的に安定したインカムゲインが見込めるシドニーのオフィスビルは、取り組み易く、魅力的な投資対象であると考えられる。ただし、中国経済の失速がグローバル景気を悪化させる場合、シドニーでは、オフィス需要が縮小すると共に、住宅価格の下落によって築古ビルの取り壊しが滞り、オフィス需給の悪化が加速する可能性があることには注意したい。

増宮守(ますみや まもる)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 主任研究員

最終更新:5月25日(水)12時0分

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