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【高校野球】異色経歴持つ指揮官が感じた小さな成長 強豪へ一歩近づいた春

Full-Count 5月25日(水)11時3分配信

五輪コーチ、プロスカウトなどを務めた千葉黎明・荒井監督

 終わってみればスコアは1-8の完敗だった。春季関東大会の準々決勝まで進んだ千葉黎明高校は、強豪・横浜高校に敗れた。エースの川口廉投手(3年)が初回に2点を失ったが、2回以降は7回まで失点を許さず。相手先発の横浜・藤平尚真と投げ合いを演じた。しかし、8回に崩れて、失点すると、後続の投手も打たれて、6失点。8回コールド負けとなった。

 ただスコア以上の力の差はなかったといっていい。

 川口は初回からコントロールが定まらず、甘く入ったストレートを打たれた。しかし、緩急を使って立て直し、強力打線に追加点をなかなか与えなかった。これまでなら、力勝負に急ぎ、がむしゃらに投げていたところ。敗れはしたが、大人の投球への階段を上った印象を残した。投手力だけではない。150キロ近いボールを投げる藤平に対し、得点は1点しか奪えなかったが、力強く打ち返す場面も見られた。

 千葉を2位で勝ち抜き、県外の戦いで8強に進出。弱小野球部だったチームが、五輪コーチや明大野球部監督、DeNA、オリックスのスカウトを経て、異例の高校野球監督就任となった荒井信久監督の手腕により、チームは変革の時を迎えているのは間違いない。

 練習では打撃マシンを140キロ以上に設定し、打ち込んできた。状況によってバッターはノーステップにして、速い球に対応。練習に工夫を取り入れて好投手が出てきても打ち負けないスイングを身につけてきた。逆方向へしっかりと打つ意識も選手たちは植え付けられている。高いレベルを知る指揮官が徹底した細かい野球。それが浸透しつつあるから、チームは途中まで強豪相手に接戦を演じられたのだろう。

エースに「心の成長を感じる」

 荒井監督は春の関東大会を終え、千葉に戻った。エース・川口の成長を感じ、静かに喜びを感じていた。

「精神的な成長があったと思います。ピンチでも表情、態度に出さなくなった。一人相撲もなくなった。バックを信頼して打たせるという心の成長を感じます」。ムキになって、力勝負にいくことはなくなり、ピンチの場面でも粘りが出てきたという。

 他からみれば、当たり前のことで、小さな喜びなのかもしれない。しかし、これが荒井監督が高校野球というステージで求めてきたひとつだろう。

 バルセロナ五輪ではコーチとして銅メダルを獲得。社会人野球や大学で日本一になった同監督が高校野球の指導者になったのは「自分の経験を伝えたい」とまだまだ多くの可能性を秘める高校生に高いレベルで知った野球の知識を伝え、成長を見届けたいから。指揮官は、それが野球への恩返しでもあると考えている。

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最終更新:5月25日(水)11時36分

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