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生乳の流通自由化見送り 実現していたらバター不足は解消するのか

THE PAGE 5月27日(金)7時0分配信

 政府の規制改革会議が19日にとりまとめた答申において、生乳の流通自由化が事実上見送られました。規制緩和によってバターの品不足が解消されるとの期待もありましたが、当面は現状が継続することになります。日本の生乳の流通制度はどうなっているのでしょうか。

日本の生乳の流通はどうなっているの?

 日本における生乳の流通には、指定生乳生産者団体(指定団体)制度があり、ひとつの地域においてひとつの団体しか生乳を取り扱うことができません。生乳の生産者が乳業メーカーに直接納入することも不可能ではありませんが、この場合には補助金が交付されないことから、事実上、生産者は指定団体に生乳を納入せざるを得ません。各地域における指定団体は農協関連の団体が占めており、事実上、農協がほぼすべての生乳を取り扱っている状況です。

 本来、この制度は、弱い生産者を守り、乳業メーカーと有利に価格交渉を行うために作られたものですが、その目的は形骸化しつつあります。一部からは、指定団体の利益を確保するためにこの制度が利用されているとの指摘が出ており、規制改革会議でも見直しが検討されていました。しかし7月の参院選を前に、いわゆる農林族議員が猛烈な巻き返しを図ったことで、自由化は見送られることになりました。

流通が自由化されても、バター不足は解消しない?

 生乳の流通が自由化されれば、バターの品薄が解消されるとの期待もあったようですが、必ずしもそうとは限りません。バター品薄の問題は、単に生乳の指定流通だけが原因ではないからです。

 国内では年間約7万5000トンのバター消費がありますが、これに対して国内の生産量は6万トン程度しかありません。足りない分は輸入で賄われていますから、普通に考えれば、バターが足りなければ輸入を増やせばよいということになります。しかし、日本ではバターの輸入は独立行政法人農畜産業振興機構以外には認められておらず、各事業者が自由に輸入することはできません。同機構は民間企業ではありませんから基本的にお役所仕事であり、市場の需要に合わせて柔軟に輸入や流通を行うことが不得意です。バターが品薄になる根本的な原因はここにあります。

 もちろん生乳が自由化され、流通ルートが拡大すれば、国内のバター供給量も増える可能性があります。しかし、国内の酪農家の数は減少の一途をたどっており、今後、生産量が大幅に増える見込みはありません。国家による独占貿易をあらため、輸入を増やさない限り、根本的な解決にはならないでしょう。

 本来であれば、独占貿易や独占流通は是正していくべきものですが、恣意的な制度の存在によって、生計が成り立っている人がいるのも事実です。日本は年々貧しくなっており、恣意的な制度を何とか維持しようという人は増えることはあっても減ることはないかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5月27日(金)7時0分

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