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終わっていない「宙に浮いたまま」の年金記録問題

マネーの達人 5月26日(木)4時50分配信

年金記録問題のその後

「宙に浮いた年金」とか「消えた年金」と言われた年金記録問題ですが、この頃あまりその話題を聞かなくなりました。

身に覚えのある方からの申し出はもうほとんどなくなり、年金機構での取扱いも縮小されていますが、決してまだ終わっていません。

私たち、年金事務所でお客様のご相談をお受けしている者は、今でも1日に数件は年金記録問題の対応をしています。

今年の4月から1年間、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達する男性がいないので、割合として遺族年金の請求件数が多くなっているように感じます。実際、今年は冬が寒かったので、2月から4月にかけて亡くなった方が多かった印象です。

遺族年金の請求は夫を亡くした妻がするのがほとんどです。

遺族年金は万一の年金と言われますが、男女の寿命の差、夫婦の年の差を考えれば、夫が先に亡くなるのは自然で、万一とは言えず、相当数の高齢の妻が遺族年金の請求に年金事務所にいらっしゃるわけです。

宙に浮いてしまう年金

遺族年金に限らず、年金の請求の際には、その方に「宙に浮いた年金」に該当するものがないか、氏名検索をします。

遺族年金の場合は、亡くなった夫、請求する妻の両方の検索をします。記録が整備されて検索の精度が上がっているので、昔はヒットしなかった記録が出てくるケースもあるようです。

特に多いのが妻の旧姓の記録です。

昭和20年代、30年代ごろのもの次々に出てきます。同姓同名の別の方の記録の可能性もあるので、まず、結婚されたのがいつかを戸籍謄本で確認して、その時代に旧姓だったのか既に結婚されて姓が今のものになっているかを確かめなければなりません。それから、そのころお仕事をされていたかどうかを伺います。

私が失敗してしまったのですが、ある方が「私は一生のうちで一度も勤めたことがありません。」と頑なにおっしゃるので、あまり深く追求せず、記録に別人と書いて提出しました。

ところが、かなり珍しい姓で、出身地と会社の所在地が一致しているので、もう一度確認するようにと戻されてきました。会社の所在地、業種などのヒントを出して、そう言えば友だちとアルバイトのようなことをしていたと思い出されました。

50年以上も前のことなので記憶が曖昧なのはしかたがないかもしれません。一度も勤めたことがないと言われても信用しないことにしてお話を伺うと、付き添いで来られた娘さんやお嫁さんが思いがけないお母さんの歴史を知ったと感激されたりします。

「記憶」が確かなうちに「記録」の確認を

記録が見つかった場合、お勤めされた月数によりますが、60歳か65歳から今までのその期間に対する年金が支払われることになります(遺族年金を受けるようになると調整されるので増額にはなりません)。

1年分は大した金額ではなくても年数が長いのでそれなりの金額になることが多いです。

これがもし、その方が亡くなって未支給年金を請求にいらした際の氏名検索だと、会社名に辿り着ける可能性はかなり低くなります。

昔勤めていた会社についての年金を受けていない方は、記憶が確かなうちに年金事務所で記録の確認をすることをお勧めします。(執筆者:高橋 良子)

最終更新:5月26日(木)5時11分

マネーの達人