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佐々木蔵之介「これこそ演劇だと」

Lmaga.jp 5月26日(木)7時0分配信

ユダヤ人以上に過酷だったというナチスドイツの同性愛者迫害に光を当て、世界35カ国で上演された人間ドラマの傑作舞台『ベント』に、俳優・佐々木蔵之介が出演。8月に関西2カ所で行われる本公演を前に、大阪市内で会見を行った。

映画『夫婦フーフー日記』で永作博美と舞台挨拶に立つ蔵之介

一昨年は刑務所(『ショーシャンクの空に』)、昨年は隔離病棟(『マクベス』)と、ダークな場所が舞台の演劇作品が続く佐々木。今回もナチスの強制収容所で出会った同性愛者が、密かに愛を育む姿を描くという、相当ハードな内容に「正直、そろそろライトコメディの舞台をやってみたいと思ってるんですが・・・、お前はどこに向かっているのか?と思われそうですよね」と苦笑い。

それでも出演を決めたのは、脚本を読んで「これこそ演劇だ」と強く思ったからだと言う。「マックス(佐々木)とホルスト(北村有起哉)が、お互い目も合わさず、触らず、黙々と石を運ぶというシーンがあるんです。やっぱり演劇の力って言葉だと思いますけど、そこで言葉だけで愛しあう。そこがすごく衝撃的でした。劇場でも『おお、すごいな!』と思ってもらえたら」と自身の心が動かされたきっかけを話した。

いつか戦争ものに出る時のためにと、7~8年ほど前に「アウシュヴィッツ強制収容所」を訪れている佐々木。「(収容時に刈られた)髪の毛がいまだにごっそり残っていたり・・・、壁に穴が開いていたり・・・、まさに希望を持ってしまうと生きていけない場所」と記憶をたどりながら当時の印象を話し、「戦争、同性愛といろいろハードルがありますが、こういう極限状態の中でこそ人を愛することの喜びや尊さを、突き刺すように感じられるんじゃないかと。しかも広くて深い、すべてを受け入れるというような愛。彼(マックス)はそうやって生きたんだ、と感じて欲しい。上演が終戦の時期ですし、この舞台がそのことを考える一つのきっかけになれば」と想いを語った。

関西公演は、8月6日・7日に「京都劇場」(京都市下京区)、19日~21日に「森ノ宮ピロティホール」(大阪市中央区)で上演され、チケットは8,800円ほか、6月5日から各プレイガイドで発売される。

取材・文/吉永美和子

最終更新:5月26日(木)7時0分

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