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【完全レポ】都会に溶ける極上のポップソング--、cero、野音公演を観た!

RO69(アールオーロック) 5月26日(木)22時0分配信

ceroが、5月21日に日比谷野外大音楽堂で「cero ワンマンライブ “Outdoors”」を開催した。RO69では、この模様を写真とレポートでお届けする。

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cero初の野外ワンマンツアー「cero ワンマンライブ “Outdoors”」初日の日比谷野音。3作目のアルバム『Obscure Ride』から1年を経て、どんな音を響かせるか? ソールドアウトの会場には、久しぶりのワンマンということもあり、そんな期待感が満ちていた。ブラックミュージックの先端的リズムを取り入れ、都市に明滅するエモーションをクールに描写する「新しいシティポップ」と評される彼ら。東京の真ん中の「アウトドア」ライブという試みは、街なかにその音を解き放つ絶好のロケーションであり、都市の喧騒に拮抗しうるサウンドへの確たる自信も感じさせる。高層ビルと公園の樹木のあいだに溶けていく音はどこまでも甘美であった。

定刻を過ぎ、髙城晶平(Vo・G・flute)、橋本翼(G・Cho)、荒内佑(Key・sampler・Cho)のceroの3人に、厚海義朗(B)、光永渉(Dr)、あだち麗三郎(Sax)、MC.sirafu(Trumpet・Steelpan・Key)、コーラスのSmooth Ace(岡村玄、重住ひろこ)らサポートバンド6人、さらに松井泉(Percussion)、ストリングス隊3人という、総勢13人が登場し、演奏がスタートした(セットリストの掲載はツアー中のため控えます)。

過去作からバランスよく選曲され、序盤は第1、2作を中心とした構成。アレンジを変え曲を更新するのはceroの常だが、元々レゲエ調の“(I found it)Back Beard”は、サルサオーケストラ風のアレンジで、太陽の熱が残る野音に夕刻の安らいだ風を呼び込み、“大洪水時代”ではヘヴィなダブを中間部に差し挟んで、暮れゆく街にシンクロするダークな残響を響かせる。「久しぶりの曲」というMCでスタートした“good life”、さらに“さん!”もタイトなリズムが強調された印象で、『Obscure Ride』で獲得されたサウンドで過去曲を再解釈する視点を感じさせた。

中盤は『Obscure Ride』がメインだったが、去年ツアー時のハードでダークな印象からメロウな響きが加わり、管楽器が奏でるジャジーなイントロがついた“Summer Soul”では、観客も思い思いに体を揺らしサビのメロディに声を合わせる。「ああ、いい感じ。楽しいですね」という髙城が「ceroには雨男が多くて…」などと話すと、徐々に雲行きが怪しくなり小雨もパラパラ。だが《降り出したのは天気雨 やがてすぐ雨はどこかへ 消えて 見たことない夕暮れに》という“Summer Soul”の歌詞そのままに、終盤に合わせるように雨は上がり、ちょっとした奇跡を演出。天候も盛り上げに一役買った格好となる。

静かなメロディとタイトなリズムが危ういバランスを生む新曲“Ropeway”も披露された後の終盤。サックス、ストリングス、スティールパンがソロを取り、浮遊感ある情景を描く“Narcolepsy Driver”や、照明を落としての演奏で、つぶやきにも似たボーカルがビルの谷間に横たわる都市の無意識と共振するような“大停電の夜に”のリアルな感触は圧巻だ。“Contemporary Tokyo Cruise”の人懐っこいコーラスから、会場は一気に祝祭的ムードとなり、星屑の光を撒き散らすミラーボールの中、大合唱と歓声が弾けた。「お互いの批評精神を持ち寄って、音楽をやってきたのが僕たちの特徴なのかなと思う」と話していた髙城。成功した『Obscure Ride』からすでに一定の距離を取り始め、聴衆のエモーションと肉体の快感原則に寄り添いつつ、未踏のサウンドを見つめるクールさや自己への批評性も感じさせ、彼らの比類なき音楽性と知性を見せつけたライブだった。(岸田智)

RO69(アールオーロック)

最終更新:5月26日(木)22時0分

RO69(アールオーロック)