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社説[日米共同会見の裏で]「辺野古」確認するとは

沖縄タイムス 5月27日(金)5時0分配信

 25日夜行われた日米首脳会談で、安倍晋三首相が米軍普天間飛行場問題について、「辺野古移設が唯一の解決策」と述べ、オバマ大統領と認識を共有していたことが分かった。
 会談後の共同記者会見の模様はテレビ放映されたが、辺野古の話はまったく出ていなかった。元海兵隊員で米軍属の男による女性遺体遺棄事件に対する抗議の場で、多くの県民が反対する辺野古への新基地建設を改めて確認する-。県民を愚弄(ぐろう)しているというほかない。
 安倍首相は、翁長雄志知事が求めたオバマ氏との面談の要望を取り合わなかったばかりか、沖縄が求める日米地位協定の改定を提起することさえしなかった。その裏で「辺野古移設が唯一の解決策」と確認していたとは、一国の政治の最高責任者としてあるまじき行為である。
 翁長知事が「20歳の夢あふれる娘さんがああいう状況になった中で、辺野古が唯一などと日本のトップがアメリカのトップに話すこと自体が、県民に寄り添うことに何ら関心がないことが透けて見える」と厳しく批判したのは当然だ。
 県議会は26日、事件への抗議決議と意見書を可決した。在沖米海兵隊の撤退と米軍基地の大幅な整理・縮小を求める内容だ。与党・中立会派が提出し、野党が退席する中で全会一致で可決した。県議会決議では初めて海兵隊撤退まで踏み込んだ。その意味を重く受け止めてもらいたい。
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 在沖米海兵隊については、沖縄に派遣された新任兵士を対象に開く研修に、沖縄を蔑視するような内容が盛り込まれていることが分かった。「沖縄の世論は論理的というより感情的」「沖縄の政治は基地問題を『てこ』として使う」という偏見に満ちたものだ。兵士に対し、異性にもてるようになる「外人パワー」を突然得るとして我を忘れることのないよう注意するくだりもある。
 こうした教育が、沖縄を見下す若い兵士の態度を形成し、事件を起こす素地になっているのではないか。事件が起きるたびに米軍側は綱紀粛正や再発防止を強調するが、真逆の研修内容であり、実効性は期待できるはずもない。
 1995年の米兵暴行事件を受けて、米軍は「良き隣人」政策を進めてきたが、その後も事件は絶えない。研修内容を見る限り、政策が破綻していることを今回の事件は示している。
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 任期満了に伴う県議会議員選挙がきょう告示される。
 今回の県議選は、これまでにない極めて重要な政治的意味を持つ。
 辺野古への新基地建設に反対する翁長知事を支持し安定多数を得る県政与党が過半数を維持できるかが最大の焦点だ。選挙結果は、新基地建設を巡る国と県との対立の行方や、翁長知事の今後の県政運営を大きく左右する。
 基地あるが故の事件をどう防ぐかは重要な争点であり、候補者は基地問題に対するスタンスを明確にすべきだ。有権者はそれらを見極め、意思表示する機会でもある。

最終更新:5月27日(金)5時0分

沖縄タイムス