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社説[四軍調整官会見]問題続出 もはや限界だ

沖縄タイムス 5月29日(日)5時0分配信

 女性の遺体を遺棄した疑いで元海兵隊員の軍属が逮捕されたことを受け、在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は、キャンプ瑞慶覧で記者会見した。
 犠牲者への哀悼の意とともに、明らかにされたのは綱紀粛正策である。
 27日から6月24日まで約1カ月、県内に住む軍人に対し、基地の外や自宅の外での飲酒を禁じ、午前0時までの帰宅を義務づけた。軍属に対しても同様の綱紀粛正を求めている。
 「異例の対応」には違いないが、これ以外の再発防止策や、より踏み込んだ綱紀粛正策には、触れていない。「喪に服するため」の当面の措置という位置づけだ。この程度の再発防止策を示して県民の怒りが収まるなどということは、あり得ない。
 復帰後も、いやというほど事件が繰り返されてきたのはなぜなのか。この事実は、軍内部の性犯罪防止策では再発防止が不可能なことを示している。ニコルソン調整官は会見で、県などから改善策の提案があれば再発防止策の見直しも検討するとの考えを示したが、対策が手詰まり状態にあることを認めたようなものである。
 過去に起きた米軍関係者の事件と再発防止策を丁寧に検証し、再発を防げなかった理由も含め検証結果を報告書の形で沖縄県と国会に提出すること。四軍調整官を参考人として県議会に招き、海兵隊の入隊から訓練形態、日常生活に至るまで、を聞くこと-そのような大胆な対応策を検討する時期が来た。
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 こうした取り組みは犯罪抑止に一定の効果をもたらすと思われるが、それだけではまだ足りない。
 2012年10月、仲井真弘多知事は、森本敏防衛相に会い、米海軍兵士による集団強姦(ごうかん)致傷事件に強く抗議した。その年の8月にも強制わいせつ容疑で海兵隊員が逮捕されるという事件があったばかり。仲井真知事は「正気の沙汰ではない」と強く抗議し、地位協定の改定を求めた。
 今回の事件で安倍晋三首相に会った翁長雄志知事も「日米地位協定の下では、米国から日本の独立は神話だと言われている気がする」と述べ、地位協定の改定を求めた。
 地位協定の見直しを求める声は、政治的立場を超えた「県民の声」だといっていい。
 米軍関係者は日米地位協定によってさまざまな面で保護され、優遇されており、それが占領者意識を温存させ再発防止を妨げているのは明らか。海兵隊が集中していることも再発防止を難しくしている要因の一つだ。
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 在沖米海兵隊が新任兵士を対象に開く研修は、再発防止策の一つでもあるはずだが、研修に使われた資料は、県民に対する蔑視感情や抗議団体・地元メディアに対する感情的決めつけなどがちりばめられた内容だった。
 ここにも地位協定によって与えられた「特権的地位」が顔をのぞかせている。資料は今も使われているのか。これが海兵隊の公式見解なのか。海兵隊は早急に事実関係を明らかにすべきである。

最終更新:6月9日(木)20時2分

沖縄タイムス