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近づく夏とリオ五輪 「ジカウイルス」いまだに多い謎

THE PAGE 5月29日(日)18時0分配信

 報道では少し沈静化してきた感もある 「ジカウイルス感染症(ジカ熱)」。 しかし、海外渡航者が日本に持ち帰るケースは少しずつ報告されています。国内ではまだ本格的に蚊が飛ぶ季節ではなく、流行拡大の心配はそれほど大きくありませんが、夏に向けて警戒は必要です。また、流行が続いているブラジルでは8月にリオ五輪・パラリンピックが開催され、五輪観戦者らがジカウイルスを持ち帰るケースが増えると懸念されています。ジカウイルスについては、未だに分かっていないことがたくさんあります。 ここで、あらためて整理しておきましょう。

感染しても熱はそれほど出ず

◎ポイント
(1)感染しても、症状がない/軽いことが一般的
(2)妊娠予定の女性/妊娠中の女性が感染すると、胎児の発育に影響が出る

 日本で報じられ始めた当初は「ジカ熱」とも言われていましたが、熱はそれほど高くはなりません。最近はニュースでも「ジカウイルス感染症」と併記されるケースが多いようです。

 ジカウイルスはネッタイシマカ(熱帯縞蚊)やヒトスジシマカ(一筋縞蚊)という蚊を通して、感染が広がります。感染者が蚊に刺されると、その蚊がウイルスをもつようになり、別の人を刺すと、その人に感染が広がっていきます。日本にはヒトスジシマカが生息しているので、媒介するとしたらこの蚊になると考えられています。潜伏期間は2~13日で、症状として多く見られるのは皮膚がまだらに赤く盛り上がる斑状丘疹様(はんじょうきゅうしんよう)の発疹や発熱です。

 症状が出ないことも多いので、今までそれほど研究が進んできませんでした。日本で見つかったこれまでの患者は、いずれも症状は軽く、後遺症が残ることもなく回復しています。発疹に本人が驚いて受診するケースが多く、高熱やおう吐などの激しい症状があったわけではありません。

 ジカウイルスがこれほどまでに注目されるようになったのは、2016年の2月に世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言をしたことによります。これは、2015年の3月からブラジルでジカウイルスが大流行し、4700例以上の赤ちゃんが小頭症 になったことを受けてのものでした。小頭症は脳が適切に発達せずに生まれる病気で、治療法はなく、障害を持つこともあります。

 その後の研究が進み、2016年4月21日にはアメリカの疾病予防管理センター(CDC)のピーターセン(Lyle R. Petersen)氏らがニューイングランド・ジャーナルオブメディシン(NEJM)という有名な医学専門誌にレビュー論文を発表しました。それによると、中絶した小頭症の胎児の脳からジカウイルスが発見されたことや脳や胎盤が石灰化する現象がみられていたことなどから、ジカウイルスと小頭症に因果関係があることを発表しました。

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最終更新:5月29日(日)18時11分

THE PAGE