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輪島漆再生の森育てる 塗師屋有志、地産地消を目指す

北國新聞社 5月29日(日)3時3分配信

 輪島市の塗師屋を中心とした有志が同市山ノ上町で「輪島漆(うるし)・集いの森」と銘打った森づくりに乗り出す。漆の9割超を中国産に依存する漆器業界の現状打破を目指し、輪島産漆の地産地消の仕組みを構築する。漆器関係者から消費者まで広く賛同者を募って苗木を育て、来春、約300本を植栽する。今後は漆に親しむ教室や交流会も開き、全国に輪島漆再生の輪を広げる。

 塩多漆器工房=山ノ上町=の塩多政喜、朋子夫婦をはじめ、同町の住民や市内外の漆器関係者らが、29日、任意団体「輪島漆・集いの森」を設立する。

 塩多さんらは、地元山主の協力を得て、山ノ上町の通称「大山」で、アテを伐採した後の土地約5680平方メートルを借りた。

 漆が育ちやすいように改良した土壌に、文化庁の支援を受けて2013年に「japan輪島再興実行委員会事業」として育成した漆の木193本を植える。漆器の木地となるケヤキやアテ、トチ、ホオノキ、キリなども100本余り植栽する。県農林総合研究センターが育種した輪島漆の優良品種も植える。

 今後は、育苗、漆掻(か)き、輪島漆を使った製品作りというサイクルをつくり、漆器業界を支える人材養成と次代への継承につなげたい考えだ。漆文化の周知のため、伝承料理を漆器で味わう会や、漆で陶磁器などを修理する「金継(きんつ)ぎ教室」なども計画している。

 漆オーナー制度も設け、「集いの森」に植えた実のなる木の果実を特典にしたり、漆生産者との交流会に招待し、輪島漆再生に向けた活動を広く周知する。

 漆が掻けるほどに木が成長するまでにはあと10年ほど必要で、息の長い取り組みとなる。塩多さんは「地域住民が楽しみながら漆と関わり、市内外の人たちの学びや交流の拠点となる森にしたい」と話した。

北國新聞社

最終更新:5月29日(日)3時3分

北國新聞社