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「家計調査」の欠点を補う「消費活動指数」とはどんな指標?

THE PAGE 6月1日(水)7時0分配信

 日銀は5月13日、個人消費の実態をより正確に把握できるという「消費活動指数」の公表を開始しました。これまで個人消費に関する主要な指標として使われていた家計調査の欠点を補うものとして注目されていますが、実際はどうなのでしょうか。

「消費活動指数」とはどんな指標?

 個人消費の把握には、主に総務省が発表する家計調査が用いられていますが、この調査に対しては、最近、サンプルに偏りがあるのではないかといった指摘が出ていました。家計調査は、総務省がサンプルとなる世帯を選び、家計に関する詳細情報の提供を受ける形で作成しています。調査項目が細かいため、家計簿をしっかり付けているような家庭でなければ、調査に100%対応することはできません。このような状況に合致する家庭ということになると、高齢者の専業主婦世帯が多くなり、消費は少なめに算出される可能性が高くなってきます。

 こうした事態を受け、日銀が景気の状況をより正確に把握するため、独自に開発したとうたっているのが「消費活動指数」です。ただ、独自に開発したといっても、すでに存在している関連統計の結果を組み合わせた2次統計となっており、新しい手法で消費を把握したというわけではありません。元になっている統計は、経済産業省の商業動態統計などで、対象品目は40以上あり、これらにウェイトを掛けて指数化しています。どちらかというと供給側に力点を置いた指標と考えてよいでしょう。

家計調査は本当に時代にそぐわないのか?

 公表された数値を見ると、家計調査の結果とは異なっているようです。1月の消費活動指数は前月比マイナス0.1%、2月はプラス0.5%、3月はマイナス0.5%でした。一方、家計調査では主要な指標である「二人以上の世帯」で、1月はマイナス0.6%、2月はプラス1.7%、3月はマイナス0.5%でした。

 確かに消費活動指数の方が上下のブレは少なくなっていますが、基本的なトレンドは同じであり、消費が低迷しているという事実に変化はありません。消費活動指数は、供給側の統計を複数組み合わせたものですから、動きが滑らかになるのは当たり前です。また、実際に家計の支出がどうなっているのか、消費活動指数からは分かりません。少なくとも、現時点において、家計調査の重要性に変化はないとみてよいでしょう。

 家計調査の欠点についても、本当に偏りが生じているのか疑問視する声もあります。東京大学大学院教授で物価が専門の渡辺努氏によると、共通ポイントカードである「Tポイント」のデータから作成した消費指数は、現行の家計調査とほぼ同じ動きを示しているそうです。Tポイントの利用者は若年層も多いことを考えると、家計調査に偏りがあるという話は単なるイメージにすぎないという可能性もあるわけです。

 参考にする指標が多いのはよいことですが、日銀が少しでも消費を良く見せたいという思惑でこの指標を作成したのだとしたら、完全に空回りです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6月1日(水)7時0分

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