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【インタビュー】ダーク・フューネラル、「内なる悪魔に従うだけだ」

BARKS 6月2日(木)22時24分配信

スウェディッシュ・ブラック・メタル・シーンを20年にわたり牽引し続けているダーク・フューネラルが、6年ぶり6枚目となる新作『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』を6月1日にリリースする。バンドの司令塔であるギタリスト、ロード・アーリマン、そして新加入のヴォーカリスト、ヘルヤルマドルに話を聞いてみた。

◆ダーク・フューネラル『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』オフィシャルページ

──ニュー・アルバム『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』がリリースされますが、どのような仕上がりですか。

ロード・アーリマン:非常にプロフェッショナルでテクニカル、ダイナミックでエピックなアルバムに仕上がったと思う。過去のダーク・フューネラルのアルバムと比べこれらすべての面で、大きく改善されていると言える。それに今回はすべての曲がそれぞれ強い個性を持っているから、例えブラック・メタルのファンでなくても、アルバム最後まで楽しめると思う。

──6年ぶりの新作リリースですが、何故6年も間があいてしまったのでしょう。

ロード・アーリマン:そうだな、まず2009年の『Angelus Exuro pro Eternus』をリリースした後は、結構な間世界中をツアーして回ったんだ。ところがいくつかのツアーを終えた後、ヴォーカルのE.M カリギュラがバンドを抜けることを決めたので、しばらく活動を休止して、新しいヴォーカリスト探しに専念せざるを得なくなった。2012年に、ドイツ人のヴォーカリストが加入して、彼の準備が整うとすぐにまた世界中を回るツアーに出たんだ。この時は中国や香港、インドネシアにバリなど、初めて行く国もたくさんあった。ところがまた同じ事が起こってしまった。その新ヴォーカリストと俺たちがうまくいかなくなってしまい、またもやヴォーカリストを探さなくてはいけないハメに陥ったんだよ。しかしこの時は、焦って事を進めるのは止めにしたんだ。正しい人選だと110%確信できる人物に出会うまで、じっくりと時間をかけることにしたのさ。それにプライべートの面でも色々とあってね、個人的にも少しバンド活動から離れたいというのもあった。俺のエネルギーが回復すると、またすぐにヴォーカリスト探しを始めたけどね。結局ニュー・ヴォーカリストのヘルヤルマドルにたどり着くまでに1年もかかってしまったけれど、俺たちを納得させようとする彼の努力も実って、彼こそが俺たちの求めていた人材だという結論に至るのに、そう時間はかからなかった。彼は人間的にも素晴らしいし、バンドに対して真摯だし、一生懸命でつきあいやすいんだ。彼が加入して、やっと本格的に活動再開できたという訳さ。

──ヘルヤルマドルが新ヴォーカリストとしてダーク・フューネラルに加入した経緯は、どのようなものだったのでしょう。

ヘルヤルマドル:俺のもうひとつのバンドGraが、ストックホルムでダーク・フューネラルの20周年コンサートのオープニングをやった時に、俺を新ヴォーカリストとして試してもらえないか聞いてみたんだ。それで何度かリハーサルをしてみたら、とてもしっくりきて、俺たちの間で化学反応が起こり始めたという訳さ。数か月後、俺たちはシングル「ネイル・ゼム・トゥ・ザ・クロス」用の曲を書き始めてという具合に、すべては順調に進んでいったんだ。

──ダーク・フューネラルという人気バンドに加入するというのは、どのような気持ちだったのでしょう。

ヘルヤルマドル:もちろん俺にとっても簡単な決断ではなかったよ。加入したいと彼らに告げる前に、あらゆる点について長い時間をかけて考えた。俺は完璧主義者だし何事にも全力を注ぐタイプだから、心も魂もすべて捧げることができるか、それが自分にとって、そしてダーク・フューネラルにとって本当に良い結果をもたらすのかの確信が欲しかったんだ。素晴らしいアルバムをたくさんリリースしているダーク・フューネラルというバンドのメンバーになれたこと、そしてこのバンドを未来の未知の領域へと導く重要な役割を果たせることを、非常に誇らしく思っている。

──ダーク・フューネラルは音楽的に、どのようなバンド、アルバムから影響を受けているのでしょう。

ロード・アーリマン:俺は常に自分の内なる悪魔たちに導いてもらうまでさ。そうすることによって、俺の書く音楽はあらゆる暗い場所や雰囲気に導かれる。

──影響を受けたギタリストなどはいますか。

ロード・アーリマン:いや、答えは同じ、内なる悪魔に従うだけだ!

──あなたたちの音楽にはどのくらいスウェーデンの要素が入っていると思いますか。哀愁を帯びたメロディが多用されていますが、これはスウェーデン特有のものなのでしょうか。

ヘルヤルマドル:ブラック・メタルというものは概して、クラシック・ロックやヘヴィ・メタルから発展してきたものだと思う。多くのバンドは非常に若い時にバンドを始めるというのも、ブラック・メタルを特徴づけるものになっているんじゃないかな。スウェーデンは冬が長く、殺風景で、これはスウェーデンのいわゆる民族音楽にも影響を与えている。陰鬱なメロディ、悲劇的で暗い歌詞にそれが表れているよ。だからダーク・フューネラルの音楽も非常にスウェーデンらしいものだと思うし、意識しなくても音楽や歌詞は気候や環境に影響されていると言えるね。

──スウェーデンというとブラック・メタルの音楽的始祖Bathoryの出身地ですが、Bathoryからの影響はどのようなものでしょう。

ヘルヤルマドル:ブラック・メタル・バンドをやっていて、Bathoryから影響を受けないなんて不可能だろう?まあ若いバンドに関してはわからないけど、ダーク・フューネラルはBathoryからの影響は大きいね。

──10月には<ラウドパーク>への出演も決まっていますね。

ヘルヤルマドル:俺は日本には行ったことがないので、とても楽しみにしているよ。どんな所なのか想像もつかないのだけど、それもまたスリルさ。ダーク・フューネラル全員、日本に行くのを楽しみにしているよ。

──では最後に日本のファンへのメッセ―ジをお願いします。

ヘルヤルマドル:長い間サポートしてくれてどうもありがとう。日本に行くのが本当に楽しみだ。ニュー・アルバム『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』を是非チェックしてみてくれ。最新ニュースについてはFacebookなどを見て欲しい。10月に会えるのを楽しみにしているよ!

まったくヘヴィ・メタルを聴かない人が、ブラック・メタルあるいはデス・メタルのバンドと言われて想像するステレオタイプに一番近いイメージを持つのが、このダーク・フューネラルではないだろうか。全員白塗りに、血まみれのPV。影響を受けたのは「内なる悪魔」!ステージにおける甲冑のようなコスチュームとメイクアップは、まるで漫画「デトロイト・メタル・シティ」の主人公を思い出させる。そしてまた今回リリースされる『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』も、あらゆる面において、実にブラック・メタルらしい、ブラック・メタルの理想型と言える作品である。猛烈なスピードのドラミング、凄まじい咆哮を繰り返すヴォーカル。一方で随所にちりばめられた、私たち日本人の琴線に触れる美しくメランコリックなメロディが、暴虐性に華を添えている。スウェーデンの厳しい気候、風景を音楽にしたらきっとこんな感じなのだろう。「激しく美しく」というブラック・メタルの一つの側面が、実に見事に追求されているのだ。バンドの司令塔であるロード・アーリマンは、本作について「楽曲、演奏、音質すべてが完璧」と豪語しているが、ダーク・フューネラルを以前から知っている人にとっても、『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』が彼らの一つの頂点であるということに異論は無いだろう。

ブラック・メタルというと一見近づき難そうなジャンルに思えるかもしれないが、ダーク・フューネラルは実にわかりやすく、初めてブラック・メタルに接する人でもその魅力、世界観を理解できるであろう。もし「ブラック・メタルを聴いてみたいけど、何か怖そうだし、どれから聴いたら良いのかわからないし」と悩んでいる方がいたら、是非ともこの『ホエア・ダークネス・フォーエヴァー・レインズ』をきっかけに、その深淵な世界に足を踏み入れてもらいたい。

そしてまた嬉しいことに、<ラウドパーク16>への出演も決まっているダーク・フューネラル。これで来日は3度目だが、やはり彼らのようなバンドは、大きな会場で演奏してこそその本領が発揮されるというもの。今回はヴォーカリストが変わっての来日。上にも書いた通り、音楽だけでなく、衣装などのシアトリカルな部分も見逃せない。前ヴォーカリストのクラウザー3世スタイルを継承するのか、それとも…。

『ホエア・ダークネス・フォーエヴァー・レインズ』日本盤のライナーノーツでは、スウェーデンのブラック・メタルの歴史についても詳説したので、ぜひそちらも読んでみて欲しい。

取材・文:川嶋未来/SIGH
Photo by Michaela Barkensjo

ダーク・フューネラル『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』
2016年6月1日発売予定
【CD】 ¥2,500円+税
1.アンチェイン・マイ・ソウル
2.アズ・ワン・ウィ・シャル・コンカー
3.ビースト・アバヴ・マン
4.アズ・アイ・アセンド
5.テンプル・オブ・アーリマン
6.ジ・エターナル・エクリプス
7.トゥ・カーヴ・アナザー・ウーンド
8.ネイル・ゼム・トゥ・ザ・クロス
9.ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン
10.ジ・エターナル・エクリプス(デモ・トラック)※日本盤限定ボーナストラック
11.ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン(デモ・トラック)※日本盤限定ボーナストラック

【メンバー】
ロード・アーリマン(ギター)
チャック・モール(ギター)
ヘルヤルマドル(ヴォーカル)
ドミネーター(ドラムス)

最終更新:6月2日(木)22時24分

BARKS