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【BARKS編集部レビュー】カナルワークスCW-L52の立体的なサウンドは、真のリファレンス

BARKS 6月2日(木)22時27分配信

数多くのモデルがひしめき合うカスタムIEMの中において、最も新しいニューモデルのひとつ、CW-L52を紹介したい。チューニングの自由度が広くブランドの個性が反映されやすいという3ウェイ6ドライバー構成をもったカナルワークスの最新モデルである。

◆カナルワークスCW-L52画像

カナルワークスから6ドライバーモデルCW-L51が初登場したのは、4年前の2012年5月のこと。フェイスプレート部分に露出された抵抗パーツを差し替えることによって音質をチューニングできるPSTS(パーソナルサウンドチューニングシステム)を携えてのセンセーショナルな登場だった。素晴らしいサウンドを持っていたが1年後の2013年6月にリニューアルが施され、CW-L51aとしてリプレイスされた。末尾にaが追加されただけだが、高音質を実現したグルーブ感たっぷりのリスニングモデルとなり、私の耳には何ら不満するところがない。入手したての高テンションの当初はもちろん、3年ほど経過した今もなお、その音質に陰りは見えず満足度は高度安定飛行を続けている。

自分にとってはパーフェクトともいえる美しいバランスを持った高品質なカスタムIEMなので、そのCW-L51aに更なる是正を施したというCW-L52の触れ込みに、当初はピンとこなかった。現状で充分に高品質であり不満点がないために、改善ポイントが皆目見当つかない状況なのである。Westone ES60が発表された時、ES5に満足していたため「え?ES60?ほんとに良いの?」と疑心暗鬼だった心持ちと似ている感じだ。

CW-L52は、より生々しくよりスムーズな特性を持ち、録音状態をそのまま再生する事を目指して開発されたもので、開発者のカナルワークス林氏によると「高域の滑らかさ/中域の張り/重低音の空気感が特徴で、色々今まで聴いてきた過去の録音を聴き直したくなるモデル」に仕上がっているという。そもそも私はCW-L51aの時点で各帯域の表現力も充分に満足しているので、このような説明を受けても具体的なイメージが沸かず、どんな期待をしていのかわからない妙な空回り感に襲われる。

でもね、やはり人生は何事も経験ですよ。実体験に勝る確信なし。実際にCW-L52を手にしてCW-L51aと比べてみると一目(耳)瞭然、各音の分離が格段に向上し、低域から高域全域にわたって各楽器の音それぞれのクリアネスが大きく向上している事がわかる。確かに各帯域で説明すれば「高域の滑らかさ/中域の張り/重低音の空気感が特徴で…」という林氏の発言そのものだ。隙のない素晴らしいバランスはCW-L51aと変わらないものの、音楽を構成する音のひとつひとつの存在感が増したため、CW-L52のほうがエネルギッシュで主張の強いサウンドとして立体的に音が飛び込んでくる。CW-L51aの上位サウンドが存在したなんて…と素朴な感動がじんわりと染みて、ほっこり幸せな気分だ。

トーンやバランスなどはほとんど同じなので同系統モデルと言えるだろうが、聴き心地はかなり違う。ハイレゾをはじめサウンドプロダクトとして音のいい音源をたっぷりと堪能するために生まれてきたようなカスタムIEMで、オーディオ機器としての表現力がCW-L51aから格段に上がったようだ。うまく表現できないが、同じビールでもCW-L51aは普通に冷えている感じ、CW-L52はキンキンに冷えていてぷっはー上手い!って感じか。なんというか、全く料理は同じなのだけど盛り付け方がぐっとランクアップしたことで、彩りさえも別次元になった感じでもある。音楽を丁寧に聴き込みひとつひとつの音を拾い上げるようにクリアに楽しむという意味では、スタジオリファレンスを謳うアルティメット・イヤーズUERRをも凌ぐビビッドな音像を作り出してくれる。リスニングとしてもモニタリングとしても真の意味で理想的なリファレンスとして高いポテンシャルを持つ傑作だ。

CW-L52の作り出す音場はよくあるカスタムIEMとは一線を画する非凡なハイクオリティさだが、CW-L51aはディスコンにならず継続販売される。普通のイヤホン/ヘッドホンから乗り換えた場合、CW-L52の押し出しが強すぎると感じる人がいるかもしれないという配慮によるメーカー判断だ。「このあたりは正解はひとつではないので、お客様がお好みで選んでいただければいい」とのことなので、試聴機ではトーンバランスではなく、音の粒立ちや押し出し/音の広がりや抜け具合など細かな表現力の部分に注力して視聴してみて欲しい。

なお、PSTSは-4dBから+9dBまで10通りの低域の量感がコントロールできる。当然ながら±0状態の33Ω抵抗装着状態がもっとも美しいバランスとなっているが、人によってまちまちだという聞こえ方に対し、自分にとって真の意味でフラットなバランスに微調整できるというのは、満足度に大きく影響をあたえるところ。極端な低域の増減でエンタメ感たっぷりの楽しみ方も面白いが、よりデリケートな調整のためにという目的で使ってみると、PSTSのありがたみが身にしみる。私は日によって±0~+2~+4dBあたりで、最高に心地よい音楽体験がキープできている。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●カナルワークスCW-L52/CW-L52PSTS
オープン価格
※CW-L52:135,000円(税込)
※CW-L52PSTS:146,880円(税込)
・ドライバー:3way/6driver バランスドアーマチュア方式(高域×2.中域×2.低域×2)
・インピーダンス(@1kHz):17Ω
・感度(@1kHz, 1mW):116dB(標準セッティング)
・ケーブル長:127cm ※1
・プラグ:ステレオミニプラグ
・付属品:ハードケース、ソフトケース、ワックスクリーニングツール、クリーニングクロス、PSTSセット(CW-L52PSTS)
※本商品は完全受注生産品です。
※ご注文に際しまして耳型(インプレッション)の採取が必要になります。
※ハードケースはクリア(ブラックパッド)です。
※1:オプションでケーブルの種類、長さを選べます。

最終更新:6月2日(木)22時27分

BARKS