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浜田麻里、観客との大合唱で幕を下ろしたツアーファイナル

MusicVoice 5月30日(月)20時30分配信

 シンガーソングライターの浜田麻里(53)が29日、全国ツアー『Mari Hamada Tour 2016 “Mission”』の最終公演を東京国際フォーラム ホールAで開催した。新旧のナンバーを織り交ぜながら、大合唱が起こる場面も見られた公演は大盛況の中、幕を閉じた。

 1月13日にリリースされた最新アルバム『Mission』を引っ提げて全国を巡ったツアー『Mari Hamada Tour 2016 “Mission”』。チケットが即日ソールドアウトしたため、急遽東京追加公演(7月18日 東京国際フォーラム ホールA)が発表されたが、もともと予定されていたスケジュールでは29日のライヴがファイナルとなっていた。

 満杯となっていた会場内は、スタート前から熱気で溢れ返っていた。いよいよ迎えた開演。客電が落ち、SEとオープニング映像が流れると、ものすごい歓声とハンドクラップが湧き起った。そして、待ちわびている人々に応えるかのように、突然鳴り響いたヘヴィなギター。それを合図に幕が切って落とされ、ライトで照らし出されたステージ上で大音量のバンドサウンドが轟いた。スタートしたのは、『Mission』の収録曲「Monster Wave」。パワフルな音像に包まれながらセンターに立ち、歌声を全力で放った浜田麻里のあの迫力、圧倒的な表現力は言葉にできない。真っ白なドレスに身を包み、黒いロングブーツを履いてステップを踏む姿は優雅だが、心と身体の全てを激しく震わせるように放つ歌声は、紛れもなく命懸けの産物。長年に亘って音楽に情熱を捧げてきた彼女の凄味を心底実感したオープニングだった。

 「Xanadu」と「Crimson」も披露した後に迎えたインターバル。「みなさん、ようこそお越しくださいました。最後までよろしくお願いします!」、挨拶を挟んで、さらに歌声が力強く響き渡っていった。「Heartbeat Away from you」「Tele-Control」「Precious Summer」「In Your Hands」「Revolution In Reverse」……新旧のナンバーが次々届けられ、観客は歓声を上げ続ける。

 「Beautiful Misunderstanding」を歌った後、“misunderstanding=誤解”について語りつつ、アルバム『Mission』にも触れた浜田。「自分に真正面から向き合って作ったアルバムです。人によっては共感しないかもしれない。都合のいい誤解という人もいるかもしれない。でも、それでいいんです。デビュー以来、誤解されてなんぼ、批判されてなんぼだと思ってきました。なぜならロックですから」と力強く言い切ると、観客の間から感嘆の声が上がった。「大人になると人は保守的な道を選ぶ傾向にあるけれど、どうも私は人と違うようです。それを心ゆくまで楽しむ人生を貫いていきます」……『Mission』の核にある精神性を再確認したと同時に、彼女の人生観も感じることができた場面であった。

 ガットギターのみのバッキングで、インプロヴィゼーション風に呼吸を合わせながら情感豊かに歌い上げた「White Lies」。キーボード×2、ガットギター、フォークギター、ベースの編成で披露された「Obsidian」。そして、再びフルバンドに戻って演奏された「Tears Of Asyura」はとても素晴らしかった。哀愁に満ちたメロディを多彩なニュアンスを交えながら表現する歌声、壮大な叙事詩のように迫ってくるサウンドを噛み締めながら、思わず息を呑んで聴き入っていた観客。この曲を歌い終えると、アウトロが続く中、お辞儀をしてステージから一旦姿を消した浜田に対して大きな拍手が贈られていた。

 観客が打ち鳴らすハンドクラップに迎えられながら、ステージに再登場した浜田が身を包んでいたのは真っ赤なドレス。そしてスタートした「Sparks」では、彼女とバンドメンバーたちには内緒のサプライズが待ち構えていた。開演前に全観客にリストバンドが配布されていたのだが、これは無線制御で様々な色彩の光を放つシンクロライト。「Sparks」が始まった瞬間、観客の腕に巻かれていたリストバンドが一斉に赤く輝いた光景は壮観。鮮やかな色彩に染まった空間に轟いたサウンドの心地よさは格別であった。その後もリストバンドのライトの演出を随所で交えながら「Dystopia」「Superior」「Crisis Code」が披露され、観客の盛り上がりは止まるところを知らなかった。

 終盤で生まれた開放感たっぷりの楽しさも印象深い。1983年にリリースされた1stアルバム『Lunatic Doll』に収録されていた「Lights」のイントロが始まると、浜田は明るく笑顔を輝かせた。観客は激しく拳を突き上げながら興奮を露わにする。この熱気をさらに痛快にエスカレートさせたのが、同じく1stアルバムの収録曲「Tokio Makin' Love」。その後、ハモンドオルガンによる荘厳な幕開けを経てダイナミックに雪崩れ込んだ「Rainbow After A Storm」では、会場全体で掲げられたタオルが勢いよく回転。最高の一体感が生まれていた。

 本編を「Rin」で締めくくると、バンドメンバーたちと共にステージを後にした浜田。彼女を讃える「麻里! 麻里!」というコールとハンドクラップが激しく鳴り響いた。その声に応えたアンコールでは「Historia」「Carpe Diem」「Orion」が披露されたが、観客の興奮は全く収まる気配がなく、ダブルアンコールが行われた。

 まず、このライヴの模様がWOWOWで9月に放送されるということ、追加公演が7月18日に行われる旨を語った後、浜田はバンドメンバーたちを紹介。増崎孝司(G)、藤井陽一(G)、若井望(G)、山田“YOU”友則(B)、増田隆宣(Key)、宮脇“JOE”知史(Dr)、中尾昌史(Key, Mp)、絵里(Cho)……各人に関するエピソードを添えて語る姿からは、深い愛情と信頼が窺われた。メンバーたちも彼女のことが大好きなのだろう。ギタリストの増崎はステージの模様を撮っていたテレビカメラにスマートフォンの画面を向けた。大型スクリーンに映し出されたのは「7月18日は麻里ちゃんの誕生日。みんなでお祝いしよう!」という文字。用意されていたこの粋なメッセージは、浜田にとって一足早い心温まる誕生日プレゼントになったのではないだろうか。

 早い時期から“音楽”という“mission=天命”に出会えたことが1人の人間として幸せだったのかは分からない……とダブルアンコールのMCで語った浜田。しかし、音楽と歩んだ人生は、多くの無意識の啓示を与えてくれたのだという。「このミッションは、深い人生を歩ませてくれています。ミッションに忠実であり続け、強い覚悟で進もうと思います。みなさん、これからもずっと見守ってください!」、固い意志を感じる言葉を添えて披露された「Fantasia」が実に清々しかった。

 ラストを飾ったのは1985年にリリースされた1stシングルの表題曲「Blue Revolution」。観客の大合唱を身に浴びながら自由に舞い踊るかのように歌い、パワフルに声を響かせていた姿が眩しかった。彼女にとって“音楽”と“歌”がかけがえのない存在であることを、あの輝きは鮮やかに示していたと思う。長年に亘るキャリアを経て改めて浮き彫りとなっているこのミッションと向き合い、浜田麻里はさらにどのような進化を遂げるのか、期待は膨らむばかりだ。(文・田中大)

最終更新:5月30日(月)20時30分

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