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永守日本電産会長、「会社滞在時間、16時間を12時間に縮めた」

ニュースソクラ 5月30日(月)14時0分配信

「わが経営を語る」 永守重信日本電産会長兼社長・CEO(4)

――日本電産を将来、どのような企業にしたいのですか。 (聞き手は森一夫)

 完成品の基礎となるキーコンポーネントの世界最大の会社を作ります。うちはモーターメーカーから始まった。小さな部品メーカーでした。今、部品を組み合わせたモジュールの製造に事業を広げて、電装品メーカーに変わりつつある。モーターにポンプを付けたり、電子制御を組み合わせたりしてね。
 ぴったりした言葉ではないけど、総合エレクトロニクスメーカーみないな感じになってきた。消費者向け製品の一歩手前まで行きます。半導体でも何でも作りますが、完成品はやらない。今のところドイツの自動車電装品メーカーのボッシュのような会社をイメージしています。
 自動車は作っていないが、ボンネットを開けるとボッシュのキーコンポーネントがたくさん入っている。世界的に存在感のあるそういう会社を目指しています。今後、ロボットやドローン向けのモジュールをどんどん開発して行きます。
 完成品をやらないのは、自動車を作っても、世界1のトヨタ自動車でも世界シェアはたかだか10%程度でしょう。キーコンポーネントだったら、60%、70%、80%の世界シェアが可能です。実際、ハードディスクドライブ用の精密モーターは世界シェアが80%です。うちには世界ナンバーワンの製品が一杯あります。

――キーコンポーネントならば、どこの完成品メーカーにも売れますね。

 できたら将来、自動車のフロントガラスに「Nidec inside」というラベルを貼っていただかないと、売れませんと言えるくらいになりたいですね。米国インテルの半導体が入ったパソコンに「intel inside」と付いているようにね。そういう会社になれば、非常に強いですよ。

――いつごろ、そうなりますか。

 売上高が10兆円になった時ですね。僕は10兆円でリタイアしようということになっている。そこまで行ったら、誰に任せてもやって行ける非常に頑丈な会社だ。2030年には売上高10兆円で、利益率15%で1兆5000億円くらいの営業利益を上げる(2015年度売上高1兆1783億円、営業利益1245億円)。堂々たるものですよ。完成品ではない、基礎となるコンポーネントだから強い。
 部品を集めて組み立てるのはどこでもできます。組立では利益率は最高5%ですよ。全然、儲からない。EMS(電子製品受託製造会社)みたいな、例えば鴻海精密工業のような会社にはなりません。うちは技術で闘う会社になります。
 ではデンソーのような会社かというと、それも違う。デンソーはトヨタ自動車系列でしょう。世界中の自動車メーカーに売る独立したドイツのボッシュやコンチネンタルみたいな会社を目指します。

――社名をブランドに合わせて日本電産からNidecに変えなくては。

 いずれはね。いずれそうなるでしょう。今年からグループ会社のブランドの統一を始めています。今までいろいろな会社を買収したので、コパルとか様々なブランドがある。これを1本に絞るという方針を打ち出したわけです。
 いっぺんにはやりません。簡単にはできないし、混乱するからね。5年間余裕を見て2021年4月に完了する。可能なら早めます。いろいろあって、夢は広がりこそすれ、縮小することはないんです。
 今から1兆円が2兆円になり、4兆円に倍増し、10兆円になる。企業買収ができますから可能です。あとは注意すべきなのは自分の健康ですね。僕はタバコを吸わない。酒も飲まない。夜遊びしない。健康に悪いことは一切しません。そうやって毎日働いている。

――欲が大きいですね。

 大きいのは夢で、金銭欲は無い。カネだけ考えたら、遊んだ方がいい。今、息子たちに言っているんです。「財産はお前たちには残さないぞ。全部寄付だ」と。京都府立医科大学のがん治療研究センターの建設に寄付したし、モーター技術者を顕彰する永守賞も作った。
 早く死んだら財産が残るが、僕は120歳まで生きる計算だ。息子たちには「お前たちの方が先に死ぬ。親の遺産をあてにするな。だからお前たちには会社を作らせた。自分で稼げばいい」とね。現に自分たちで稼いでいますよ。

――10年後も同じ話をしていますか。
  何も変わらないね。楽しようなんて思わない。まだまだやりまっせ。休みを取ってゴルフに行くのなら、もっと働こう。会社を大きくしよう。その方が楽しいじゃないか。達成感や満足感があるから、生きていられるのであってね。明日と言う字は明るい日と書くでしょう。明日は今日よりもっと明るいと思わなくてはあかん。
 僕はエンジョイして働いているわけや。そうでなかったら、続きません。こんなに寝ないで働いて、よく生きているなと思うことがあります。医者は「エンジョイしているからだ」と言います。今日は疲れたが、仕事が進んだな。あの会社を買えてよかったとか、あの会社を再建できてよかったとか、思うわけですよ。
 昔、長野県の会社に毎週、再建のために寒い中通って、みんなに弁当を食べさせて「頑張ろう」と力を合わせて働きました。「そんなことをして何になるんだ」と言う人もいるけど、やってみればこんなに楽しいことはないとわかります。

――今も元旦以外は働き詰めですか。
 働いていますよ。最近、社員には早く帰れ、働き方を変えてくれと言っています。そのためには僕が9時、10時まで残っていては、みんな帰りにくいので早く帰るようにしています。
 今はメールがあるので家でいくらでも仕事ができる。会社にいる時間は16時間から12時間に短縮しました。朝7時に来たら、晩の7時には帰る。社員には、遅くまで残っていても頑張っていることにはならない、成果で評価するよと言っています。

■森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。

最終更新:5月30日(月)14時0分

ニュースソクラ

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