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ネットは包丁と同じ、無自覚に人が殺せます

ニュースソクラ 5月30日(月)18時0分配信

【いま大人が子供にできること(7)】なりたい職業、ユーチューバー

 では、再び男子に戻って……。
 今年、またまたちょっとした異変が起きました。
 男子の将来なりたい職業に、あいもかわらずサッカー選手と野球選手(女子の堅実さに比べ、まだ夢がありますね)ユーチューバー、が入ってきたのです。
 ネットに投稿してみんなにいいね!をもらえたら楽に金が稼げる……と、もう子どもたちは思っている……。

 ネット世界になってなにが変わったか……。
 それまで入れなかった大人の世界に、子どもたちが簡単に参戦できるようになったのです。
 お父さんのパスワードを知っていれば(知っている子どもは結構います。お父さんはまさかそんなことができると思っていないので、ご家庭ではわりあい無防備です。気をつけてね!)子どもだって株も買えるし馬券だって買えるのです。
 ネットの向こうが子どもか大人かはわからないのですから。

 いまではアドレスさえわかっていれば、他人になりすますことすら簡単で、成りすましメールのいじめ事件は、子どもの世界では当たり前になってしまいました。覗き見してパスワードを盗めば簡単にメールは乗っ取れます。そして「死ね!」とか「学校くるな!」とか送りつけるわけです。
 子どもだってユーチューブやニコニコ動画に投稿でき、ある意味刃物よりネットは危険です。
 なにせ相手は全世界なのですから……。
 なのに、そのことは理解していないのです。

 ネットが始まった直後から、すでにそういう事件は起きました。
 もうかなり前ですが、自分で商店街に火をつけて、それをフェイスブックかなにかで自慢した高校生がいました。
 当然のように彼は捕まり、その当時は、そんなことしたら捕まるに決まっているのに、なぜそんなことをするんだろう?
 と少し話題になりましたが、高校生にもなって、そうしたらどうなるか、本気でわからなかったとしか思えません。
 (まさか、捕まえてほしかったのか?!)

 その後は、いじめている現場を撮影してネットにあげた小学生のグループや、発売前のジャンプのマンガをネットにあげて捕まった中学生や(集英社が本気で訴えたら、親は億単位の金を払わなければならなかったでしょう)去年はホテルの洗い場でお風呂に入っている動画を投稿した高校生が捕まりました。
 もちろんホテルはかんかんで、彼はせっかく決まっていた推薦入学を取り消される羽目になりました。
 この手の事件は20代にも頻発していますから、25やそこらになってもわからないのなら、18でもわからないのは当然!!
なのか?
 芸能人のスマイリーキクチさんが殺人犯扱いされ、特に悪質だった何人かが捕まった事件では、20代どころじゃない、30代も40代もいたと思います。

 それは犯罪だよ?
 とか
 そんなことしたら捕まるに決まってるでしょう?!
 ということが本当に本当にわからないのか……?!
 
 わからないとしか思えません……。

 今年ある小学校で、ユーチューバーになって楽してお金儲けをしたいから、と、友だちのズボンを脱がして撮影して投稿しようとした小学生の話が聞こえてきました。
 単純にセンセーショナルな事件を起こせば、みんなが見てくれて金になる、と思ったらしいですが、気がついた大人が、それって犯罪だよ?!
 捕まるよ?!
 といったところ、みんな青ざめたそうです。

 その話が本当かどうか、裏はとっていないのですが、充分にあり得る話なので、本当になにか起きる前になにか考えた方がいいよね、という話をいま司書仲間でしているところです。

 そういう、なんで?!
 いわなきゃわかんないの?
 ということをしでかすのはたいてい男子ですが、ネットいじめは女子も加わります。
 うちは女の子だから大丈夫、とはいえません。

 いわなきゃわからないのなら、いうしかありません。
 自分の子どもが被害者にならないように、とは誰もが考えますが、うっかりすると本人もそのつもりがなくても加害者になれてしまうのがネット時代です。
 いまはまだ、子どもだしわからなかったんでしょう、でおおごとになったケースはないと思いますが、ネット社会も成熟してきました。
 そろそろ本気で訴えられてもおかしくありません。
 そうしたら子ども本人も、親も深い傷をおわなくてはなりません。

 自分が見たり聞いたりしたことではないこと……伝聞やネットで読んだこと……を他の人にいうのは犯罪だよ(これをしなければネットいじめはかなり力をなくすはずです)!
 人の悪口をいってはいけないよ!
 きみのラインは世界中の人に見られているんだよ!
 ネットのなかで“拾った”イラストを使ったら著作権法違反なんだよ(拾った、というが、落ちてる訳じゃないんだから!所有者、いるんだから!)。
 というような話を折に触れてしてあげてほしいと思います。

 包丁なしで料理することを考えたらその面倒さに絶句しますが、包丁は、その気になれば簡単に人を殺せる道具です。
 道具は道具でしかなく、使い方によって良いか悪いかが決まるのです。
 禁止するのではなく、子どもたちにはインターネットを使いこなしてほしい。
 自分も他人も安全なように……。
 使い方を教えられ、使ってみないとうまくはなりません。
 ネットは包丁と同じように便利な道具なのですから、一度使いはじめたら、もう手放すことはできないでしょう。
 危なくない使い方、を教えるしかないのです。
 いま本屋さんにいけば、子どもとネット関係の本はたくさん売っています。
 子どもにも読めるものとして「本当に怖いスマホの話」(金の星社、監修・遠藤美季)をあげておきましょう。
 マンガなので子ども自身も読めますし、大人も楽に読めます。
 こういう話に慣れていないかたにとっては、ひええええ~

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。著書多数。

最終更新:5月30日(月)18時0分

ニュースソクラ