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ヤマハNS-5000開発者が語る、音楽性を追求した新世代サウンドとは

Stereo Sound ONLINE 5月30日(月)20時3分配信

 ヤマハでは去る5月17~18日に、同社が展開するプレミアムショップ向け研修会を開催した。そのセミナーで、7月に発売を控えたハイファイスピーカー、NS-5000(¥1,500,000、ペア、税別)最終モデルの試聴会も行なわれた。

 まずNS-5000の詳細について商品企画担当の熊澤進さんと、開発部の前垣宏親さんによる説明からスタート。

 NS-5000のテーマは、音楽性の追求にある。これまでのヤマハスピーカーでいわれていたナチュラルサウンドやヤマハビューティといった持ち味は残しつつ、次のステップとして“音楽性”を加味していきたいと熊澤さんは語った。

 その“音楽性”とは、具体的には以下の3つの要素を踏まえて考えているという。

1) エモーション
…… お腹から声が出ている様子、ボディ感の再現性、ブレスの響き

2) 音の抜けのよさ
…… 楽器の音がホールの後ろまで届くこと。音圧ではなく、実際のコンサートのように音がリスナーに響く様

3)タイム(リズム)感
…… 低域の再現性。低い帯域まで音程がきちんと出ていること。グルーヴ感をきちんと再現する

ユニットの振動板を同一素材で揃えた

 これらを実現するためのNS-5000の一番の特徴は、3つのユニットの振動板素材をZylon(ザイロン)で統一したことだ。

 一般的にNS-5000のようなマルチウェイのスピーカーは高域、中域、低域のユニットで異なる振動板素材を使うことが多いが、それでは音域ごとに音色が変わり、不自然に感じられることもある。

 今回NS-5000で採用されたザイロンは、東洋紡が開発した、耐熱性、引っ張り強度に優れたスーパー繊維で、耐火服や人工衛星、レーシングスーツ等に使われている。さらに、ベリリウムと同等の音速と適度な内部損失も備えており、ウーファーからトゥイーターまで使える理想的な音響特性も持っているのだ。

アコースティックアブソーバーで定在波を除去

 さて、先述したように開発陣がNS-5000で狙ったのはヌケのよさと低域の解像度感の改善(リズム感)だ。そのためには筐体の鳴きや、ユニットから再生される音の歪みをどこまで排除できるかがポイントとなる。

 それについては、まずキャビネットの強度を確保している。エンクロージャーを総三方留めという伝統的工法で組み上げ、内部に補強桟を施すことで、箱鳴りを徹底して抑制した。と同時にエンクロージャーをシンプルな直方体にすることで内部定在波を特定の周波数に集約したという。

 その上で、新開発のアコースティックアブソーバーを組み合わせて、内部定在波を打ち消しているのだ。アコースティックアブソーバーとは、アルファベットの「J」の形をしたポートで、両端から入った音がポート内部で打ち消し合うような特性を備えている。ちなみにこの方式は、同社調音パネルの技術を応用して開発されたそうだ。

 NS-5000には長さの違う(これにより打ち消される周波数が変化する)ポートが2基取り付けられており、ターゲットとした内部定在波を除去している。この方式では定在波だけを効率よく除去できるので、細かい音を阻害しない点もメリットだろう。結果としてクリアーで歪みが少なく、解像度の高い低域(リズム感に優れた低音)を再生できることになる。

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最終更新:6月1日(水)20時5分

Stereo Sound ONLINE