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WEAVER アルバムツアー裏側密着後編。大切な人との別れもありながら…/ライブ密着レポート

エキサイトミュージック 5月31日(火)21時45分配信

 
■WEAVER/【WEAVER 11th TOUR 2016「Draw a Night Rainbow」】ライブ密着レポート(2/2)
2016.05.06(FRI)at NHKホール
(※画像20点)

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ツアー最終日に完全密着後編。“裏の顔”は“真面目で、良い人”

17時。会場の外では冷たい雨が降っていたが、開演2時間前の時点ですでにグッズを買うためにファンが集まっていた。WEAVERはファンも真面目で一生懸命だ。一方、メンバーはこの日、ライブの生中継があるということで、そのコメント撮りのリハーサルを行ったあと、3人それぞれの時間を過ごす。

杉本と奥野が楽屋で夕食を食べている。杉本は喉を潤すために、ライブ前はいつもから揚げなんだそう。同じ頃、河邉はヘアメイクをしていて、終るとまたすぐにステージに戻ってドラムを叩く。開場時間の本当に1分前くらいまで叩き続けていた。河邉のあとにヘアメイクをしていた奥野も、終わるとすぐにベースを弾いていた。やっぱり真面目(笑)。


18時。開場。入り口まで様子を見に行ってみると、雨の中で待っていたファンが続々と入って来る。ほんの数分前までメンバーが立っていたステージにはスクリーン幕がかかり、客席からはよく見えないようになっていたが、エレベータに乗るときとかに、そこに人はいないんだけど、さっきまで人がいた気配を感じた経験はないだろうか? そのくらいの間隔でメンバーとお客さんが入れ替わった。そのことをお客さんに知らせたかったのだが、急に知らない人がそんなことを話しかけたらだいぶ怖いと思ったので、そこは我慢してここに書かせてもらった(笑)。

楽屋付近に戻ると、メンバーの楽屋の扉は閉められていた。目に見えて緊張感が高まってくる。とはいえ、ピリピリとした感じではなく、和やかな雰囲気ながらも、空気が締まって行くような感覚だ。ステージ衣装に着替えたメンバーは、楽屋を出たり入ったりしながら、声出しをしたり、スタッフと談笑したりしている。今回の奥野の衣装は黒のシャツに、胸の辺りに白い四角いポイントが入っているものなのだが、名札のようにも見えるので、そこに“翔太”って名前書かないの?みたいな話もしていた(笑)。杉本は楽屋スペースを使ってランニングしたり、ストレッチをしたり、まるでアスリートのようだ。それはボーカリストがアスリート並にライブで体力を使うということの裏返しでもあるが、こうやってきっちり身体を作っているからこそ、あれだけ歌ったり、跳んだり、尻餅ついたり(これは後ほど(笑))しても、最後まで観客を楽しませるライブが出来るのだ。



「いつも通りだな~ 今日は落ち着いてるな~」

19時。いよいよ開演。ステージ口にはメンバーそれぞれの水、着替え用のTシャツ、タオルなどが用意されている。まずは一人で楽屋から出てきた河邉が、スタッフに「行ってきます! いつも通りだな~ 今日は落ち着いてるな~」と言いながらステージへ向かう。あとで本人がMCで明かすのだが、「いつも通り」と言うことが、いつも通りではない証拠だそう。そして、このあとの二人も平静を装いながら、実は緊張してたんだよね、というエピソードを起こす(笑)。

河邉がステージに向かってもまだ楽屋から出て来ない奥野と杉本。スタッフが閉まっているドアを開けようとすると、二人がようやく出て来た。これはあとでそう言えばという感じで気づいたのだが、よくライブの裏側映像とかで見る、円陣を組んで、「今日は頑張りましょう!」みたいなのをWEAVERはやっていなかった。スタッフの話によれば、それぞれの気持ちの高め方があるため、逆にそれをやる方が流れが乱れるんだそう。とても仲の良い3人なんだけど、そういうところはそれぞれの自己管理に任されている感じも、何だかWEAVERっぽい。

いざ、ステージへと向かう奥野と杉本。だが、まず楽屋を出てきたところで、奥野がステージ用の靴を履いていないことをスタッフから指摘される。慌てて楽屋に戻って履き替えると、「(踵の高さが違うので)視野が違うと思った(笑)」(奥野)などと言いながらステージに向かう。そんな奥野を笑って見ていた杉本だが、イヤモニを付けるためにベルトに無線機をはめようとすると、ベルトをしていないことが発覚。奥野を追うように慌てて楽屋に戻る(笑)。普段はそんなことは無いはずなので、やはり“ファイナル”とはそういうものなのだろう。とはいえ、スタッフに和やかに見送られ、最後のライブの幕が開いた。




「今日がこのツアーで一番の思い出になるよう、最高の演奏を届けて行きます」

ステージを覆うスクリーンに映像が映し出され、それが上がると「東京!」という杉本の声とともに「You」の軽快なメロディがNHKホールに流れ出す。杉本がハンドマイクで歌い、奥野がピアノを弾くという編成で始まり、立ち位置も中央にドラム、上手側にピアノ、下手側にベースと、リハーサルで確認はしていたが、見た目にも新しい。続けて「Shall we dance」、「くちづけDiamond」とリズミカルでキラキラとした世界が広がる楽曲で観客から自然と手拍子を起こさせ、一体感を高めていく。

「今日はこのツアーのファイナルです! この日をめちゃめちゃ楽しみにしてきました。ツアーが終わってしまうのは寂しいけど、今日がこのツアーで一番の思い出になるよう、最高の演奏を届けて行きます。僕たちだけにしか描けない“夜の虹(Night Rainbow)”をみなさんと一緒に描きたいと思います!」(杉本)



この日への想いを観客に宣言すると「この季節にぴったりの昔の曲も」と、「春色グラフィティー」を演奏し始める。今回のライブはもちろん『Night Rainbow』の曲たちが軸となっていたのだが、途中に挟まれるそれ以前の曲たちの選曲と配置が絶妙だった。中盤、「Welcome!」~「Life」と7曲のうち6曲、『Night Rainbow』からの曲を演奏する、このライブの“肝”となるブロックに入っていた「レイス」も、前の「Welcome!」から、会場全体が海の中に潜り込んだような幻想的な雰囲気に包まれた、続く「マーメイド」の間を緩やかにつなぎ、それぞれの曲の世界観をより深く堪能出来るような役割を果たしていた。また、この「レイス」から「マーメイド」のタイミングでメンバーの立ち位置がいつものWEAVER(ピアノを中心に、上手ドラム、下手ベース)に変わるのだが、その移動に気付かないくらい、自然な流れを作っていたのも「レイス」の功績だと思う。



その「マーメイド」からの流れは、先ほど“肝”とも言ったが、新たにWEAVERが手に入れたものを見せつける場面が次々とやってくる。レーザー光線など照明を効果的に使いながら非日常の情景を目の前に作りつつも、逆説的に日常を意識してしまうような、上手く伝わるかわからないのだが、悲しくて切ないのに、前を向いて進みたくなるような生命力を1曲1曲から感じる。そのブロックの結びに置かれた「Life」の儚くも強いピアノの音は、ギターでは決して出せない世界を作り出していて、いつか、何か辛いことが起こっても、この音を聴いたら大丈夫な気がした。

そして、そんな演奏をするステージ上の杉本、奥野、河邉の3人。そこには、裏で見ていた、単に真面目で一生懸命な良い人はいなかった。ときには叫びたくなるようなどうにもならない想いや、狂気も抱えながら、今、ここで自分たちに出せるのをすべて伝えようと必死になっている。この日、普段のライブでは見られない姿もたくさん見せてもらったが、そちらが“本当”なのではなく、ステージの上の彼らの方が、“本当”なんだと思った。他の誰でもなく、自分たちの音楽を聴いてくれる人の前で本当の姿を見せているからこそ、聴く人の心に届く演奏が出来るのだ。


「音楽を始めてから上手く行かないこともたくさんあったし、後悔することもたくさんありました。後ろを向くことの繰り返しで、なかなかちゃんと自分を見ることが出来無い日々が続いたんですけど、でも、この3年の間にロンドンへの留学を経たりもして、冷静に自分と向き合えるようになった気がします。そんななかで大事なことに気づけたなと思ったことが、“今を全力で生きていったら、きっと未来の後悔が減っていくんじゃないか”ってことで。そんなふうに見れるようになってからは、自分たちの作る音楽を信じられたし、そこに100%自分たちの想いを込められるようになりました。今、自分たちはすごく良い状態で、楽しく音楽が出来ているなって思います」(杉本)



この言葉に嘘が無いことは、この会場にいた人ならもう言葉にしてくれなくてもわかるくらいのことだろう。「この曲がなかったら僕らに出会うことがなかった人もいたと思う」(杉本)と紹介された「僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから~」からの後半戦は、メンバーと観客が作り出す、今ここにしかない、でも、この先も残り続ける瞬間を重ねて行く。3人がそれぞれに赤、緑、青に光るスティックを持ち、暗転した会場にその光だけが見える中でリズムを刻むという演出で、一気に高揚感が増した「ティンカーベル(ver.EDM)」、この日はちゃんとカウントを忘れずに入れられた(笑)「Boys & Girls」、杉本がピアノの上に立って観客を煽るという、ライブの定番でもあり、観客が一番沸く瞬間から、飛び降りて尻餅をつくという(笑)、ある意味でのこの日のハイライトを作った「トキドキセカイ」(個人的には尻餅の恥ずかしさを抱えながらも、堂々とアカペラで歌ったサビの一節にグッと来たが)、会場が一体となって“オゥ~オゥ~”と叫び、拳をあげた「Free will」、そして、杉本が初めて作詞に挑戦した本編を締めくくる「Hello Goodbye」では、ファンから事前に募集した歩く足元の映像を背面のスクリーンに映し、これからもファンと一緒に歩いて行くWEAVERを印象づけた。


本編を終えて、裏に戻ってきた3人。ここまでで生中継は終わりということで、カメラに向かってメッセージを送る。そして、杉本がスタッフに向けて最初に言った言葉は「痛かった~」(笑)。あの尻餅は心身ともにそれなりのダメージを与えていたよう。とはいえ、会場にはアンコールを待ち望むファンが待っている。先に着替え終わった奥野と河邉からステージに向かい、二人を追うように杉本も戻って行く。


再びステージに戻った3人は、効果音を使って、殴り合い風のやり取りをしてみたり、コント?を披露。会場を和やかな空気で包む。さらに、「キミノトモダチ」を3人並んでピアノの前に立ち、連弾をしながら、ハモリを聴かせるという粋な演出からスタートさせる。最後の最後まで観客を楽しませることに“真面目で一生懸命な” WEAVERだ。そして、このツアーのあとに、ライブハウスを回るツアーを行うこと告げ「新しいものをまた3人で作って行きたいと思うので、みなさん是非、また会いに来てください!」(杉本)と呼び掛け、ラスト「Beloved」を演奏し終えると、客席に深々と頭を下げ、笑顔でステージをあとにした。実はこの場面で3人が肩を組んだとき、奥野がその場にいないもう一人と肩を組むような素振りを見せたことに気付いた人はいるだろうか? 杉本が最後のMCですごく良いツアーを回れたけど、それでも悔しいと思うことは世の中には起こると言い、「せっかくここまで頑張ってきたのに、スタッフが変わってしまうとか……」とも話していたのだが、このツアーをもって彼らのマネージャーが変わることになっていた。アーティストの周りにはたくさんのスタッフが関わってはいるが、やはりマネージャーはその中でも特別に大きな存在となることが多い。そんな人との別れを抱えながらも、3人ともに「今までで一番良いツアーだった」と言い切れるものを残したのだから、WEAVERはまた一つ、次のステージへと歩みを進めたのだと思う。





スタッフとハイタッチをしたりしながら、笑顔で裏に戻って来た3人。その姿にはそれなりの疲労感はあるものの、それを上回る満足感に満たされていた。そして、にわかスタッフの私にも「お疲れさまでした」と挨拶をしてくれる。やっぱり“真面目で良い人”だ(笑)。さらにもう一つ、“真面目で良い人”のエピソードがこのあとに付け加わるのだが、終演後にいわゆる関係者挨拶という、私たちのような媒体関係者を始め、友人、知人から、仕事上のお付き合いの方々まで、ライブに来てくれた人たちに挨拶をして行くのだが、なんとそれを終演後10分も経たずに始めて、最後に私が挨拶をさせてもらうまで、1時間以上やっていた。あれだけのライブをやった後にだ。「もう、どこまで良い人なんだよ~」とツッコミを入れたくなったが、そのことを伝えると「そんなことないですよ。みなさん、お世話になった方々がわざわざ来てくださったんですから」と、あくまで謙虚。この密着でわかったのは、とにかくWEAVERの“裏の顔”は“真面目で、良い人”だということだ。そして、そんな彼らの“本当の顔”は、彼らが作り出す楽曲の中にあるということ。こらからも彼らの作る楽曲をたくさん聴いて、WEAVERの“本当の顔”を覗いて行こうと思っている。
(取材・文/瀧本幸恵)

≪セットリスト≫
Overture
1. You
2. Shall we dance
3. くちづけDiamond
4. 春色グラフィティー
5. 管制塔
6. Welcome!
7. レイス
8. マーメイド
9. クローン
10. さよならと言わないで
11. KOKO
12. Life
13. 僕らの永遠 ~何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから~
14. ティンカーベル(ver.EDM)
15. Boys & Girls
16. トキドキセカイ
17. Free will
18. Hello Goodbye
<アンコール>
1. キミノトモダチ
2. Beloved

最終更新:6月1日(水)21時30分

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