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基地撤去要求当然の権利 元米国防総省職員ダニエル・エルズバーグ氏

沖縄タイムス 5月31日(火)19時47分配信

 【平安名純代・米国特約記者】元米国防総省職員でベトナム戦争の内幕を記した最高機密文書(通称ペンタゴン・ペーパーズ)を内部告発してニクソン政権を失脚に追いやったダニエル・エルズバーグ氏(85)は28日、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内で沖縄タイムスのインタビューに応じた。元米海兵隊員で軍属の男による女性遺体遺棄事件を巡り、「沖縄の人々が米軍基地の完全撤退を求めるのは当然の権利」と述べ、「私は沖縄の人々の要求を心から支持する」と強調した。

 エルズバーグ氏は、「沖縄の米軍基地やそこに駐留する米軍関係者による犯罪が沖縄の人々の人権や環境を損なう状況は70年以上も続いている」と述べ、「世界中に基地を張り巡らせているのは米国だけだ。その数は800以上といわれている」と指摘。「そうした状況をチャルマーズ・ジョンソンは『基地の帝国』と呼んでいた」と述べ、こうした体制は改められるべきだと主張した。
 その上で、「米国がこうした現状から抜け出し、軍事よりも人権を重視した活動に重点を置く国に変わることを望む」と見解を示し、「沖縄の人々がすべての米軍基地の完全撤退を求めるのは当然の権利だ。私は沖縄の人々を支持する」と述べた。
 訪日したオバマ大統領が女性遺体遺棄事件について謝罪しなかった点について、「謝罪がなかったことへの沖縄の人々の落胆は当然だ」と理解を示した上で、「重要なのは政策を変更することだ。しかし、オバマ大統領は沖縄の米軍基地問題でも核政策でも方針を変えなかった」と指摘。「広島行きを巡っても謝罪するかどうかに焦点が当てられていたが、オバマ氏は約束した核軍縮を達成しないどころか、さらに核兵器を増やす方向へと突き進んでいる。そこが私が最も批判する点だ」と述べた。
 米国防総省職員として1960年代に嘉手納空軍基地の核施設を査察した際、同基地に配備されていた核は「いつでもすぐ発射できる態勢だった」と述べ、「沖縄は核兵器の標的となり、核兵器を巡る事故が起こりうる可能性を抱えている」と危険性を指摘した。
 エルズバーグ氏は、米国の平和活動家や有識者ら80人以上が米政府に対し、女性遺体遺棄事件の解明と沖縄のすべての米軍基地の完全撤退を求めた声明の賛同者に名を連ねている。


【エルズバーグ氏への一問一答】
 -沖縄と初めて関わったのはいつか。
 「1960年代に米国防総省が組織したSINPACのメンバーとして嘉手納の核施設を査察した。当時の嘉手納には、マーク28などの核兵器が配備されており、いつでもすぐ発射できる態勢だった。実際に核兵器に触れたことがある。視察したのは寒い日だったが、指に触れた核兵器を温かいと感じた瞬間は今でも覚えている」
 -遺体遺棄事件解明と沖縄のすべての米軍基地の完全撤退を求めた声明に賛同した。
 「沖縄の米軍基地やそこに駐留する米軍関係者による犯罪が沖縄の人々の人権や環境を損なう状況は70年以上も続いている。沖縄は核兵器の標的となり、核兵器を巡る事故が起こりうる可能性を抱えている」
 -沖縄では海兵隊の撤退や全米軍基地の閉鎖を求める行動などが起こっている。
 「世界中に米軍基地を張り巡らせている国は米国だけだ。その数は800以上と言われている。そうした状況をチャルマーズ・ジョンソンは『基地の帝国』と呼んでいた。私は米国がこうした現状から抜け出し、軍事よりも人権を重視した活動に重点を置く国になることを望む。沖縄の人々が米軍基地の完全撤退を求めるのは当然の権利だ。私は沖縄の人々の要求を心から支持する」
 -訪日したオバマ大統領は、事件の被害者や遺族に対して遺憾の意は表明したが謝罪はしなかった。
「良きにつけあしきにつけ、米国内では他国に『謝罪』する大統領に対する風当たりが非常に厳しく、大きな政治的代償が伴う。謝罪がなかったことへの沖縄の人々の落胆は当然だ」
「重要なのは政策を変更することだ。しかし、オバマ大統領は沖縄の米軍基地問題でも核政策でも方針を変えなかった。広島行きを巡っては謝罪するかどうかに焦点が当てられていたが、オバマ氏は約束した核軍縮を達成しないどころか、さらに核兵器を増やす方向へと突き進んでいる。そこが私が最も批判する点だ」


 ダニエル・エルズバーグ 1931年4月生まれ。米国防総省の軍事分析官として7千ページにわたるベトナム戦争に関わる最高機密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)の作成に参加。米政府が不拡大を約束しながら、故意に戦線を拡大した経緯などを記した同文書を公表することで米国民に戦争の正当性を問うことを決意。エルズバーグ氏の内部告発をもとにした71年のニューヨーク・タイムズのスクープでニクソン政権は失脚に追い込まれた。現在は核時代平和上級研究員。

最終更新:5月31日(火)19時47分

沖縄タイムス