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就活生、ご注意! ブラック企業見分ける新法、機能せず

ニュースソクラ 5月31日(火)18時0分配信

都合よい開示で済み、罰則もなし

 ブラック企業を見分ける法として今春施行された「若者雇用促進法」が機能していない。就活生が求めた場合、企業は職場情報を開示させるとしたが、情報開示のルールが緩すぎる。政府は早くも2020年度をメドに法律を見直す意向を示さざるえなくなっている。 

 「若者雇用促進法」は、ブラック企業などが社会問題化するなかで、就活生が事前に職場環境を把握し、企業とのミスマッチを減らす目的で制定された。同法に基づく情報開示請求が今年からスタートしたが、あまりに実効性を欠いた内容になってしまった。

 現行の法律では、採用サイトでプレエントリーの手続きをとった就活生が、メールなどで職場情報の開示を要求した場合、企業は「募集・採用」「職業能力の開発・向上」「雇用管理」の三類型に関して、それぞれ一つ以上の情報提供をする義務を課されている。

 たとえば、「募集・採用」には、過去3年間の新卒採用者数と離職者数、平均勤続年数、過去三年間の新卒採用者における男女別の人数といった項目が含まれている。ブラック企業を見分けるのに最も重要な数値は離職者数。しかし、どの情報を開示するかは企業側の判断に委ねられ、ひとつ以上とされているため、仮に学生側が「離職者数」を求めても、「『募集・採用』の類型に関しては、平均勤続年数を開示しており、法令に基づく義務は果たしている」と、企業は言い逃れることができる。

 努力義務として「幅広い情報開示」を課しているものの、罰則規定はないため、あくまで企業の良心的な対応に期待するしかないのが現状だ。就活生の立場よりも、企業側の都合を優先した制度設計と言わざるを得ない。

 有料ニュースサイト『My News Japan』で、実際に情報開示請求をした体験をレポートした就活生に話を聞くと、企業側の対応は二分したという。つまり、真摯に情報開示をする企業がある一方で、不利な情報は一切出してこない企業もあったのだ。
 
 「あえて労働問題が報じられたことのある企業ばかりに開示請求をしました。意外にも全面開示をしたのは、ワタミ、ゼンショー、ドン・キホーテでした。反対に、ナガセとファーストリテイリングは、離職情報など不利な情報を一切公開しませんでした。世間から叩かれて、業績に影響が出た企業は、コンプライアンス意識の改善に動くという傾向はあるようです」 という。

 だが、企業対応に差が生まれても、行政から何ら指導が入るわけではない。マジメに対応し、不利な情報を出した企業だけが、損をするかたちになりかねない。公平性という観点からも、問題がある。

 「離職者数などは、職場選びにとって非常に重要な指標になります。入社してはじめて『人がどんどん辞めていく会社だ』と、気付くよりは、事前に知っておいたほうがトラブルになりませんよね。こうした情報を公開しない企業を、許してしまう制度というのは問題だと思いました」と情報開示を求めた就活生は語る。

 こうした現状を鑑みたのか、政府は若者雇用促進法を見直す方針を示している。5月15日の朝日新聞デジタル(※2)の報道によれば、2020年度を目途として、情報開示の強化に取り組むという。

 見直しに際しては、開示請求のあり方も検討するべきだ。厚労省の若者雇用促進法のガイドラインでは、就活生は情報開示によって知りえた情報を、ネットなどで流布してはいけないとなっている。

 対応に問題のある企業情報を共有できないままでいいのか。企業には、マスコミなども含めて幅広く職場情報を公開するような義務を、課すべきだろう。就活生がいちいち開示請求する必要がなくなり、忙しい就職活動中の負担も減るからだ。

ニュースソクラ編集部

最終更新:5月31日(火)18時0分

ニュースソクラ

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