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豪州「サイバー報復」を明言 新サイバーセキュリティ戦略に注目が集まる

THE ZERO/ONE 5月31日(火)14時35分配信

4月21日、オーストラリア連邦首相マルコム・ターンブルが、同国の新しいサイバーセキュリティ戦略の立ち上げに関する発表を行った。前回、同国がサイバーセキュリティ政策を発表したのは2009年。それ以降のオーストラリアでは、政府機関に対する深刻なサイバー攻撃を含め、様々なインシデントが何度も発生していた。そして今回、ターンブル首相の新政権が打ち出した戦略は、同国が掲げるポリシーの「2009年以降、初のアップデート」である。この待ち望まれた新戦略には発表前から高い関心が寄せられたため、一部の情報がメディアに流出するといった騒ぎもあった。

そして、いよいよ公式発表された65ページの資料「Australia’s Cyber Security Strategy」は、なかなか見栄えの良い書物のような仕上がりで、ISBNコードもついている(PDF版はここからダウンロード可能)。しかし実際に読んで見ると、かなり小さいサイズのフォントが各ページにぎっしりと詰めこまれているので、結構なボリュームだ。

そこで今回は、ターンブル首相が戦略を発表した際のスピーチを軸として、このサイバーセキュリティ戦略を解説する。ちなみに同首相のスピーチの全文もウェブで閲覧できる。

サイバーセキュリティ戦略予算181億円

この戦略には、今後4年間で2億3000万豪ドル(約181億円)が費やされる予定となっている。特に注力しているジャンルは「民間セクターと公共セクター間の情報共有」「学生のサイバーセキュリティのスキル向上」「中小企業へのセキュリティ資金の供給」などだ。さらに、33の関連団体に100人のセキュリティ専門家を雇用するといった計画や、今後10年のうちに800人の専門家を国内に確保するための計画などが語られている。

その他にも、警察機関がサイバー犯罪と戦う能力の向上、国際的なパートナーとの協力体制の強化や、新たな役職の設置など、同戦略が言及するジャンルは非常に広範囲にわたっている。しかし、ターンブル首相が「より良いコラボレーションのために」「コラボレーションこそが鍵である」と複数回に渡って語っている点からも分かるとおり、特に官民の協働を円滑にするための取り組みや、脅威情報の共有の部分などに多くの予算が注ぎ込まれるような構成となっている。

全体的に見れば、この戦略は大規模かつ包括的な、注目に値するものだろう。しかし、ひとつ1つの具体的な措置を見ていくと、さほど抜本的な対策が打たれているようには見えない。サイバーセキュリティに対する強い指導力を国民に示そうとした新政権が、7年ぶりに発表した今回の戦略は、良く言えば無難で手堅い、悪く言えば目新しさのない内容と言えそうだ。

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最終更新:5月31日(火)14時35分

THE ZERO/ONE