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6月か7月が妥当? 今、なぜ米国は追加利上げに踏み切ろうとしているのか

THE PAGE 6月2日(木)7時0分配信

 つい最近まで先送りの観測まで出ていた米国の追加利上げですが、市場は急速に6月の実施を織り込み始めています。なぜこのタイミングで米国は追加利上げに踏み切ろうとしているのでしょうか。

追加利上げは近い、とFRB幹部が示唆

 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は2014年、リーマンショック以降、続けてきた量的緩和策の終了を宣言。15年12月には、利上げをスタートさせました。米国が量的緩和策を終わらせ、利上げに踏み切ったのは、米国経済が順調に回復しており、このままの状況を放置した場合、インフレやバブルが発生する懸念があったからです。ところが、14年の後半から資源価格が急落し、中国をはじめとする新興国経済が一気に低迷。場合によっては米国経済にも影響がおよぶ可能性について指摘されるようになってきました。

 このためFRBのイエレン議長は、利上げは継続するものの、景気の腰を折らないよう、利上げペースを緩やかにする方針に転換。市場では、今年に実施される追加利上げの回数が4回から2回に、場合によっては1回に減るとの声が大半を占めるようになりました。

 ところが最近、FRBの幹部から追加利上げが近いことを示唆する発言が相次いでおり、市場がざわつき始めています。5月17日には、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のロックハート総裁が「追加利上げがあり得る」と発言。これに続いて、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は19日、「6月か7月の利上げが妥当」と、さらに踏み込んだ発言を行いました。27日にはとうとうイエレン議長が、利上げの可能性に言及したことで、市場は急速に6月の利上げを織り込み始めています。

 ここにきて米国が急速に追加利上げに傾いているのは、経済指標が好調であることに加え、大統領選挙において混乱が予想されるからです。

インフレ回避? 大統領選前に? 利上げできるときにしておくのが賢明か

 米労働省が発表した4月の消費者物価指数は、前月比0.4%増と3年ぶりの大幅な伸びを記録しました。同じく4月の雇用統計は、新規雇用者数こそ16万人にとどまりましたが、失業率は5.0%とほぼ完全雇用の状態で、賃金(平均時給)は前年比2.5%の上昇です。このままの状況を放置した場合、再びインフレが懸念されることになります。

 もっとも、中国の景気失速懸念は一時期と比較して後退したものの、大きなリスク要因であることに変わりありません。本来であれば、6月の利上げは見送ってもよさそうな状況ですが、そうもいかないようです。

 米国の大統領選挙では、利上げに強く反対しているトランプ候補が共和党の指名獲得を確実にしており、もしトランプ氏が大統領に就任した場合、金融政策が大混乱となる可能性があります。FRBが追加利上げを急いでいる背景には、大統領選をにらみ、利上げができるうちに実施しておきたいとの思惑があると考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6月2日(木)10時14分

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