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【ライブレポート】モーニング娘。'16 鈴木香音が笑顔で卒業。「最高すぎて、これ以上の感情が見当たらないの。私、すごい幸せものだわ!」

BARKS 6月2日(木)12時37分配信

モーニング娘。'16 鈴木香音の卒業公演<モーニング娘。'16コンサートツアー春~EMOTION IN MOTION~鈴木香音卒業スペシャル>が、5月31日に日本武道館にて開催された。

◆<モーニング娘。'16コンサートツアー春~EMOTION IN MOTION~鈴木香音卒業スペシャル>画像、メンバーから鈴木香音へのメッセージ

本公演をもって、鈴木香音はモーニング娘。およびハロー!プロジェクトを卒業し、福祉の道へと進む。泣いても笑っても鈴木のステージを観ることができるのはこの日が最後。誰もが、このモーニング娘。の笑顔印の卒業を祝福し、次の人生に向けて全力で背中を押そうとする気持ちで気合い十分。開演前から日本武道館は熱気で溢れていた。

また、彼女の卒業を見守ろうとしていたのは、ファンだけではない。前日に日本武道館公演を行ない、田村芽実を送り出したアンジュルムや、℃-uteらハロー!プロジェクトの仲間たち。田中れいな、光井愛佳らモーニング娘。OG、さらに最新曲「泡沫サタデーナイト!」を提供した津野米咲(赤い公園)らも関係者席に姿を見せていた。

EDMが武道館を鳴らしてのオープニングナンバーは「One・Two・Three」。大歓声の中で、オーディエンスの爆発寸前な熱量と想いが、勢い良く吹き上がる火柱へと形を変えて、ステージを熱く焦がしていく。さらに「愛の軍団」や「恋愛レボリューション21(updated)」など、観客の興奮をこれでもかと煽る楽曲を並べたかと思うと、最新シングルから「The Vision」で、たおやかなモーニング娘。を披露。アイドルシーンの中でも類稀なる幅広い表現力を持ったグループとしての実力を遺憾なく発揮する前半戦。

鈴木の卒業ということで、会場にはハロー!プロジェクトリーダーの矢島舞美が花束を抱えて駆けつける。そして矢島は、「追伸、卒業してからも、一緒にご飯とか食べに行こうね。お互いいっぱい食べよう」という、矢島舞美と鈴木香音の“ある意味で共通点”でもあるネタも入れ込んだ、鈴木の卒業に寄せてのメッセージを読み上げると、「何食べに行く?」「お肉も好きだし、たくさん食べられるところがいい」「食べ放題に行こう。がんばって、おごるよ。」と、ひとしきり盛り上がる(矢島舞美はその昔、ハワイで450gのステーキとライスをペロリと完食し、ファンが騒然となった)。

もっとも、矢島の手にはもうひとつの手紙があった。「ある方から手紙を預かっているんですよ。」と矢島が言うと、ご飯を食べに行く約束をしてご満悦だった鈴木の顔は、「なにそれ、知らない知らない……」と、一気に怯えた表情となる。

「香音ちゃん、モーニング娘。卒業おめでとう。香音ちゃんの笑顔がたくさんの人達を笑顔にしてきました。私も笑顔をもらった一人です。今、私は英語を勉強していますが、香音ちゃんも夢のために勉強頑張ってね。そして、いつか海外旅行に行こうね。今日はモーニング娘。としてのラストステージをとにかくとにかく楽しんで、たくさんのスマイルを見せてね。」

その手紙とは、2015年末をもってグループを卒業した鈴木の同期、鞘師里保から。今は遠く離れてしまっても鈴木の卒業公演を気にかけていたという鞘師が、矢島に託したものだった。

メンバーがわかれてユニットの形で楽曲を披露するコーナーでは、譜久村聖、生田衣梨奈、そして鈴木香音という同期3人が「乙女のタイミング」を披露。センターステージで、譜久村が鈴木のほうを向いて「大好きで 大好きで 大好き過ぎて」と、ありったけの気持ちを込めて歌い上げた姿に、思わず涙腺も刺激される。

もっとも、そんな同期3人だけのトークパートでは、一昨日に3人でご飯に行った(ただしマネージャーにスケジュールを組んでもらった上で)という話題から、鈴木が「9期の意見が合わないところに友情を感じた」という見解を披露して観客1万人とステージ上のふたりを感心させる(あまり仲がよくない人とは自分に無理をしても意見を合わそうとするため)。さらにスタッフから次の準備ができているというサインが出ているにも関わらず、3人はトークを続行。加入初期の頃に、演出としてKY発言を求められた譜久村に対して、鈴木が「いいよ何でも言ってくれて。」と声をかけたことで、無事にKY発言を行なえた(ものの、見事にスベってしまい、次からKY発言を行なう役回りは生田に振られることになった)という感謝の気持ちを明かした。

ハットや光も操ったメドレーで日本武道館はピークタイムのクラブのような盛り上がりを形作っていく。メドレー最後となる「OK YEAH!」で、Co2も大量に噴射されて、大迫力の光景が目の前で構築されると、オーディエンスは狂喜乱舞。熱狂もピークへと到達する。

「The 摩天楼ショー」からの後半戦は、これまでの興奮も熱狂も全部抱えたまま、終わりに向けて一気に加速度をつけて駆け抜けていくかのよう。日本武道館全体が、パワフルなパフォーマンスと熱いコールで一体となり、激しい盛り上がりに次ぐ盛り上がりで、本編ラストの「Oh my wish!」を迎えたのだった。

大きな「香音」コールと、1万人のひとりひとりが灯す、鈴木香音のメンバーカラー=緑のサイリウムが揺れる日本武道館。ステージに設置されたモニターには、ファンのお手製のメッセージボードが映され、いよいよ鈴木香音の卒業セレモニーが行なわれるアンコールの時間がやってくる。

暗転したステージに人影。ライトがその姿を照らした時、彼女の好きな花、彼女のような花、いくつもの向日葵が描かれたドレス姿の鈴木香音が浮かび上がり、観客からは大きな歓声が沸き起こる。

「たくさんの方から支えられて、私は濃くて幸せな5年半を過ごすことができました。大切なことをいっぱい教わったので、私はこれからも自信を持って生きていけます。」

“みなさんに伝えたいこと”として、鈴木はこれまでの活動を支えてくれたスタッフ、メンバー、そしてファンへの感謝の気持ちを手紙にしたため、笑顔で読み上げる(手紙の全文は先に公開した記事『【手紙全文】モーニング娘。'16 鈴木香音「これからもずっとモーニング娘。のファンでいます。」』に掲載)。そして、卒業に際して、鈴木が自らセレクトした1曲は、モーニング娘。初代メンバー・福田明日香から伝統となっている卒業ソング「Never Forget」。過ぎていく時間の中で、彼女は向日葵のように、我々の前で光り輝いたのだった。

モーニング娘。'16メンバーがひとりずつ、鈴木にメッセージを送る卒業セレモニー。涙に濡れてしんみりムードの中でも「真莉愛、とっても嬉しかったです」と自分の持ちネタをぶっ込んでくる牧野真莉愛。小田さくらからは「鈴木さんは私の心の支えでした。鈴木さんがいてくれてよかった」と同期がいない中で、鈴木が相談相手だったことが明かされる。佐藤優樹は、鈴木の卒業発表を聞かされて「よっしゃあ! もう怒られない!」って思ったとぶっちゃけて会場を爆笑させつつも、怒られた裏側にあった鈴木の愛情に気づいて涙する。「笑顔の連鎖」を絶やさないと誓った石田亜佑美に、鈴木と「一生の付き合いをしていきたい」と語った飯窪春菜。「これからは、メンバーじゃなくて、お友達に、なりましょ?」と、焼き肉の約束を取り付けた生田衣梨奈。そして、譜久村聖は「……ハグしていい?」と、メッセージを送る前に鈴木に一旦甘えて、そして「香音ちゃんのキラキラの笑顔が大好きだから、明日から11人のモーニング娘’16になるけど、そのキラキラなままで。……ギラギラで、明日から頑張るから。」と、鈴木が安心して卒業できる、ギラギラなモーニング娘。を作ることを約束した。

アンコールは、最新曲「泡沫サタデーナイト!」、そしてこの夜のラストソング「愛あらばIT'S ALL RIGHT」へ。鈴木からのメッセージが入ったハート型の緑色の風船も空から舞い降りてきた日本武道館で、鈴木香音は、約5年半にわたるモーニング娘。としての活動に終止符を打った。最後の最後まで、彼女は、そのトレードマークの笑顔を絶やすことはなかった。

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ところで卒業前日、アンジュルム田村芽実の卒業公演を観覧した後に鈴木は自身のブログを更新し、気持ちを綴っていた。

「私は不器用だからか、感情を隠す事が苦手なんです。だから、ただの鈴木香音っていう、アイドルじゃない普通の女の子な私を多く見せてきてしまったんだと思います。」

「私にとっては、ファンの方々…というより、1人1人の人との大切な出会いだったんです。」

「こんなに自分の素を出してきてしまった私だけど、だからこそ、いち人間として、自信を持つ事が出来ました!」

アイドルという“仮面”をつけての活動だったなら、自分の気持ちをもっと簡単に整理することができたかもしれない。しかし彼女は、その仮面をつけることなく、ひとりの女の子として、モーニング娘。の活動をしてきた。でも、そんな自分を受け入れて応援してくれる人がいたからこそ、それが自信につながり、自分のことをちゃんと考えることができるようになり、そして次の人生への決断をすることができた。

トレードマークと言われるほどに、彼女の笑顔が多くの人に受け入れられたのも頷ける話である。それはつまり、多くのアイドルがファンに対して向けるそれではなく、むしろ素の、普通の女の子として、心の底から自然に溢れるそれだったから。彼女が言葉の壁を超えて世界で愛された理由も、もしかしたらそこにあったのかもしれない。

モーニング娘。としての日々をアイドルとしてではなく、女の子として嘘偽りなく過ごしてきた鈴木香音は、公演終了後、正真正銘、普通の女の子に戻った。次の人生もまた、その向日葵のような笑顔に溢れる日々であってほしい。そう願うばかりである。

「最高すぎて、これ以上の感情が見当たらないの。出会えてよかったです。私、すごい幸せものだわ!」── 鈴木香音

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

最終更新:6月2日(木)12時37分

BARKS