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『世界から猫が消えたなら』 イケメン×猫×親子×生死。ズルい特盛なのに、品がある

dmenu映画 6月1日(水)18時0分配信

「せか猫」なんて呼ばれるくらいに原作も映画も大ヒットの、感動作品『世界から猫が消えたなら』。正直、パンフレットの「2016年、最も泣ける感動映画が誕生しました!」って言葉には、胸やけがしそうなくらいヒキつつ観たんです。基本的に、もう何年も前から続く邦画の「死にますよ~、泣かせますよ~」ラインが苦手でしょうがないんですよね。もちろんアタシも洋邦問わず、映画を観りゃ緩んだ涙腺から水漏れしまくるババアですけど、映画の宣伝がそれをあまりに押し付けてくるのって下品だなぁと思います。この作品は、泣かせます邦画の定番、「若者の死」だけでなく、他にも「それ出すのズルい」と言える要素のてんこ盛り。寡黙で不器用な父、儚くも優しい母、そして今もっともノリにノッてる生き物、猫まで勢ぞろいの、特盛なわけですよ。

あえて一線ひいて生き物呼ばわりしましたけど、「猫」はアタシ的にも、「ね、猫なんかに負けないんだから!……ら、らめぇぇ、きゃわひぃぃ」と気持ち悪い即落ちをしちゃうキラーコンテンツ。世間的にも、ここ数年で関連グッズ・イベントの人気はうなぎ上り、飼育頭数も今年ついに日本調査史上初の犬越えをすると言われている旬のアイドルです。うちにもタマ無し男子の可愛い子ちゃん2匹がいますし、性的少数者やお一人様にとっても、子供代わりの愛を注がれている存在のはず。今作でも、主役猫キャベツちゃんのシールやらハンカチやらグッズも用意されていて、それだけでもうデレデレ!

こんなにコテコテに揃えた「あざとさ」って、一周まわって清々しいくらい。定番人気素材ばかりで料理して、これで出来上がりが不味かったら、その分恥ずかしいんだからね!って思ったりもしたんですけど、結果、やっぱり泣きましたよ。そして、素材はあざといのに、話運びと見せ方は品のある作品でございましたよ。うーん、疑り深いババアでごめんなさい。

まず30歳の若さで突然、自身の死を突き付けられる主人公、という設定ですが、この作品は自分と同じ見た目の悪魔との駆け引きがあるので、「若くして死んじゃう」可哀想さがあまりありません。死を自分で操作する余裕がある設定な分、生が輝く構図なんですよね。実は、この映画を観る前に、お仕事で共演したばかりの前田健さんが亡くなるという体験をしたアタシにとって、「若くしてこの世を去る」ことを考えるテーマは、あまりにも刺さるものでした。同い年のオネエタレントで女装芸を持ち新宿2丁目でも働いていた、重なる部分が多かった前田さん。倒れる直前、いつも以上に張り切って「お笑い」の仕事で活躍された笑顔を思い出すと、運命には抗えなくとも、生きている間には精一杯それを楽しむことの大切さが染みるのです。そしてこの映画もまさしく、30歳で死が訪れる無念さではなく、30年の生の記憶とありがたみを噛みしめることこそを強く打ち出してくれていました。

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最終更新:6月3日(金)9時41分

dmenu映画

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。