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緊縛師、「一鬼のこ」が見せるロープアートの可能性

AFPBB News 6月1日(水)11時10分配信

【6月1日 AFPBB News】縄やひも、帯などを使い、人体を縛りあげ拘束する「緊縛(きんばく)」。アンダーグラウンドな性的嗜好(しこう)という枠を超え、日本発のエロティック・ボンデージ・アートとして、近年海外でも認知を広げている。アメリカ・シカゴ(Chicago)では毎年、緊縛をテーマにした国際カンファレンスも開催されているほどだ。

 その背景には、国内外で精力的に活動するロープアーティスト、緊縛師たちの存在があった。「一鬼のこ(Kinoko Hajime)」と名乗る名古屋出身の38歳もその一人。世界各国でショーやワークショップを行い、業界内では「カリスマ的存在」として注目されている。

■緊縛に通じる生け花、そして禅の心

 5月中旬、神奈川県内の日本家屋にて、一は「花札」をテーマにした新作の撮影を行っていた。現場では一の生け花の師匠でもある華道家の桂陽(Yo Katsura)が、セットに合わせて桐(きり)や撫子(なでしこ)の花を次々と生けていく。セットが完成すると、一も着物姿のモデルをさまざまな縄を使って丁寧に縛り上げ、生け花とのバランスを慎重に整えながら自らカメラを構える。

 生け花と緊縛の意外な組み合わせについて一は「花は女性であり、そのバランスはロープの見せ方と通じるものがある」と説明する。「日本人は永遠の美よりも、四季など終わりのあるものに美しさを見出す。縛ってもほどかれてしまう縄に感じる美しさも、非常に日本的。また緊縛の精神を突き詰めていくと、禅の心にまでつながっていくとも言われている」

■縄に包まれるような感覚

 縄の掛け方にはあらゆる型や作法がある。「緊縛のルーツとなったと言われる江戸時代の捕縄術(Hojojutsu)に関しては、最後の忍者と呼ばれる藤田西湖(Seiko Fujita)や武道家の水越ひろ(Hiro Mizukoshi)の文献などから知識を得た。それらによると各藩がそれぞれの流派を抱え、罪人の身分によって縛り方や縄の数を変えていたようだ」と一は語る。やがてそこに美しさやエロティシズムを見いだし、さらに「長時間体を縛っていても神経を圧迫しないようにする」など手を加えていったのが現代の緊縛だともいわれている。

 一自身の縄も、誰かを捕らえたり縛りつけたりするといった感覚ではなく、相手との「つながり」を表現するためにあると彼は語る。「縄はデコレーションではない。相手が求める場所やタイミングを感じ取りながら無心で縛ると、その人らしい美しいラインが出来上がる」。そんな信念に基づく一の縄は、相手の心身に寄り添う。今回、モデルを務めた街子(Machiko)は一の縛りについて「包まれているような安心感があってほっこりする。眠ってしまいそうになった」とほほ笑んだ。

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最終更新:6月2日(木)14時0分

AFPBB News

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。