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スズキ、燃費不正疑惑は大きく後退も根本原因への説明はまだ不十分

ニュースイッチ 6月1日(水)12時30分配信

課題であるワンマン体制、縦割り組織の弊害を急ぎ立て直す必要あり

 燃費性能の基礎となる走行データを国の規定と異なる方法で不正に測定していたと国土交通省に報告したスズキ。ただ社内調査で不正操作する意図はなかったとし、法令違反の重大性について関係者の認識不足が問題の根底にあるとした。また不正対象車を社内で再試験し、すべてカタログ表記の数値を上回ったため、販売を継続するとした。鈴木修会長は31日の記者会見で、「国の法律に反して大きな不正が行われた。深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 不正があったのは現在生産する13車種と生産を終了した1車種の計14車種と、他社供給分12車種の計26車種で合計214万台。

 道路運送車両法は走行データ「走行抵抗値」(空気抵抗などを数値化した値)を実際にテストコースで車を惰行法で走らせて計測するよう定めている。スズキはタイヤやブレーキなど部品ごとの計測データを積み上げて抵抗値を算出していた。

 ただ積み上げによる走行抵抗値は量産部品を用いた実測値で、車両開発段階では試作車で惰行法による検証をしており、国交省に申請した数値に間違いはないとした。また26車種の燃費最良車で適正な方法で燃費を再試験した結果、すべてカタログ表記の燃費値を上回ったことを確認。「販売を継続する」(鈴木会長)とした。

 経営責任について鈴木会長は「法令に違反しており、全体責任は経営者にあると考えている。再発防止策を立て、見届けることが責任者に与えられた第一の責任。それをやり遂げてから具体的な話をしたい」と述べた。

 <専門家の見方>
 スズキが適切な再試験を実施した結果の燃費性能は、全車種で届け出燃費を上回り、アルトエコで5.3%、14車種平均で.1.6%上回ったようである。燃費訴求車だけを対象にした試験結果であるため、この内容だけで「シロ」と断定することは出来ないが、燃費不正の疑惑は大きく後退した形となる。

 しかし、何故膨大な規模に渡り測定方法の法令違反を繰り返したのか。その根本原因への説明に未だ十分に納得できてはいない。「法令に違反することの重大性に係る関係者の認識不足と前例踏襲が繰り返された」ことが原因と結論付けている。

 鈴木修会長は、一転して罪の重さを強く認識した会見へ今回は転じている。スズキだからこそ、修会長だからこそ、際立った批判が高まっていない可能性はある。その容赦を享受できているうちに、スズキは課題であるワンマン体制への縦割り組織の弊害を急ぎ立て直すことが求められている。
(ナカニシ自動車産業リサーチ代表・中西孝樹氏)

最終更新:6月1日(水)12時30分

ニュースイッチ