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リニア新幹線、京都は停まる?国の関与が深まる

ニュースイッチ 6月1日(水)19時29分配信

大阪開業前倒しで財政負担を軽減、着工までの空白期間を短縮

 政府とJR東海は、リニア中央新幹線について、名古屋―大阪間の延伸開業を前倒しする検討に入った。現行では、2027年に品川―名古屋間で開業し、8年後に名古屋―大阪間に着工するため、開業は45年になる計画。関西の経済界などを中心に名古屋―大阪間の早期開業を求める声が根強いことから、政府は財政投融資などを活用することで、JR東海の財政負担を軽減して着工までの空白期間を短縮する。

<財投の活用、負担軽減に道筋>

 JR東海の柘植康英社長は25日の定例会見で、政府の金融支援について、「健全経営が堅持できる受け入れ可能な案を提示いただければ、一生懸命取り組みたい」と述べ、前向きな姿勢を示した。リニア中央新幹線の事業費は、品川―名古屋間で5兆5000億円、名古屋―大阪間を含めた総事業費は9兆円にのぼる。この莫大(ばくだい)な建設資金を、民間企業であるJR東海が1社で負担する。このためJR東海は、品川―名古屋間を開業後、財務体力を回復させるために、延伸区間の着工までに約8年の空白期間を設けている。

 政府は沿線の地方自治体や経済界の声と、JR東海の経営方針に配慮し、早期開業の方法を検討してきた。そこで浮上してきたのが、国の信用力を背景にインフラ整備などの長期資金を低金利で貸し付ける財政投融資の活用だ。政府は5月末にも閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針)」に、延伸区間の建設に対し、財政投融資の活用を盛り込む。

 JR東海はこれまで、財務負担を理由に延伸工事の早期着工に難色を示していた。だが、負担軽減の具体的な道筋が立ったことで、「大阪の早期開業は、日本経済の活性化に貢献する。大阪の開業を早く実現したい思いは同じ」(柘植社長)と、前向きな姿勢をみせた。

<“空白の8年”をどこまで縮められるか>

 今後は“空白の8年”をどこまで縮められるのか、ということを議論することになる。JR東海は延伸区間の着工に技術的な問題などはなく、建設資金のめどがつけば空白期間を短縮するのは難しくないとしている。

 このため、品川―名古屋間を開業後、すぐに延伸区間を着工できる可能性もある。品川―名古屋間が計画通り27年に開業できれば、大阪開業が30年代後半に実現することになりそうだ。

<解説>
 リニア中央新幹線はJR東海が民間企業として建設、運行するもので、これまでの新幹線の整備とは一線を画している。そのため、ルートなども基本的にはJR東海の経営方針に基づいて決めており、国や沿線自治体などの発言権は限定的だった。

 「金は出すけど、口は出さない」という都合のいい人はそういないので、名古屋-大阪間の建設で、国の支援を得ることになると、ある程度、外部の意見も取り入れなければならなくなる可能性がある。京都を通るのか?など、国の支援でルートがどうなるのか注目される。

日刊工業新聞・第二産業部 高屋優理

最終更新:6月1日(水)19時29分

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