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カヤックがガルチと資本提携した意図を、両社のトップ貝畑政徳氏と茶谷修氏に聞く 「新しいモノを作りたい」という方向性がいっしょだった

ファミ通.com 6月2日(木)0時5分配信

文・取材:編集部 古屋陽一、撮影:カメラマン 平原克彦

●カヤックがガルチと資本提携した意図は?
 カヤックがガルチの株式を取得――そんな報道が流れたのは2016年2月12日のこと。
 ガルチと言えば、記者などからすると、バリバリのシューティングゲームを開発するスタジオとの印象が強い。それが“面白法人”を謳い、数々のユニークなアプリをリリースしているカヤックの仲間に入るというのもおもしろい取り合わせ。リリースいわく、今後は、両社のノウハウを活かして、「カヤックのVR開発実績とガルチのUnity技術を融合したVR活用ゲーム開発の実施、およびSteamへの展開を図ります」とのことだが、実際のところ、どんな戦略を立てているのか……。そこでファミ通.comでは、カヤックおよびガルチに取材をオファー。この度、カヤック 代表取締役 CTO 貝畑政徳氏とガルチ 代表取締役社長 兼 CTO 茶谷修氏のインタビュー実現の運びと相成った。ここでは、両者へのインタビューの模様をお届けしよう。

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※カヤックがガルチを子会社化 両社のノウハウを融合してVR活用ゲーム開発の実施やSteamへの展開を図る

面白法人カヤック
代表取締役 CTO
貝畑政徳氏(右)

ガルチ
代表取締役社長 兼 CTO
茶谷 修氏(左)


■カヤック
 1998年に設立。“面白法人”を旗印に、設立当初の基幹事業であったウェブ制作はもとより、ゲームやサービスの分野でも幅広いコンテンツを手掛ける。コミュニティ運用に卓越したノウハウを持っている。
※カヤック公式サイト

■ガルチ
 『雷電』シリーズの開発などに関わっていたクリエイターにより、2006年に設立。以降、数々のシューティングゲームを輩出する。ここ数年はスマートフォンアプリの開発なども積極的に手掛けている。
※ガルチ公式サイト

■両社はとても相性がよかった
――まずは、カヤックがガルチと資本業務提携するに至った経緯をお教えください。

貝畑 カヤックが2010年のモバゲーのオープンプラットフォーム化に合わせて、モバイルゲームに参入したときに、素材の制作などをお願いしたことが、ガルチさんとお付き合いをさせていただくきっかけでした。そのあとスマートフォンの登場にともない、「スマートフォン向けアプリを」との流れになったのですが、カヤックはブラウザゲームから始まった会社なので、当時はリッチなゲーム開発経験がなかった。そこで、ガルチさんに“ゲーム作り”という点において、いろいろな協力をお願いしていたのですが、その過程で会社として相性がいいことに気づいたんです。ガルチさんは、会社やスタッフの気質がとてもカヤックに似ているなと。そこで、「いずれごいっしょにやらせていただいたら、もっとおもしろいものが作れます」ということを何度が打診させていただいていたんですね。

――相性がいいという認識があったんですか! 端から見ていると、両社のコンテンツの方向性はまるで違うという印象がありました。

貝畑 作っているものはだいぶ違いますね。でも、仕事をしていて、“とにかく新しいものを作りたい”という熱意をひしひしと感じましたし、その点はカヤックと共通していますね。たとえば、こちらからベースとなる企画書を出すと、思いもよらなかった追加要素をかぶせて来る。カヤックにない発想を盛り込んでくるんですね。そこがとても新鮮で、ごいっしょに仕事をすることで、アイデアがさらに昇華されるのでは……との思いが湧き上がってきたんです。

茶谷 ガルチ的にもカヤックさんとの仕事は大いに刺激になりました。当社は、“シューティングの会社”という印象を抱く方も多いかもしれませんが、6~7年くらい前からさまざまなジャンルに取り組んでいまして、その過程でカヤックさんとお仕事をさせていただくことになったんですね。

――ガルチとしては、カヤックと仕事をして、どんなところが刺激になったのですか?

茶谷 最初の印象は、「すごくおもしろい会社だな」というものでした。私たちにしてもカヤックさんにしてもそうなのですが、スタッフみんなが向上心を持っていて、新しいことにチャレンジしていく気質があるんです。その点においてはすごく合って、「いっしょにやっていきたいな」というのは、お仕事をさせていただいた当初からずっと感じていましたね。

――お互い“相性がいいな”という中で、徐々に仲が深められていったのですね?

貝畑 はい。当初は素材の制作などのお仕事が中心だったのですが、スマートフォン向けアプリにシフトした段階から、ゲームのコアな部分もガルチさんと共同開発するようになって、徐々に仕事の分量が増えていったんですね。ガルチさんにはフロント部分をお願いして、カヤックはバックグラウンドを担当する……といった役割分担が明確になっていったんです。で、さきほどもお話したとおり、ガルチさんはどんどん僕らが知らないアイデアや表現をかぶせてくださるので、「これはコンテンツがどんどんおもしろくなるな」というのを実感しました。

――会社によっては「仕様書通りじゃないと困る」みたいなところもあるかと思うのですが、そこはものづくりのスタイルが合ったということですね。

貝畑 そうですね。私たちも仕様書よりもおもしろいアイデアがあれば積極的に取り入れていくスタイルなので、相性が合いました

――ガルチさんからしたら、もらった仕様書だけでは潔しとせずに?

茶谷 お仕事としていただいているからには、より具体的な形で、もっとわくわくできるようなものをお返ししないと……という気持ちが強いので、それでどんどんやっています。

貝畑 ガルチさんとお仕事をしていると、打ち合わせのたびに驚きがあります。「そこは、そう返してくるのか!」という。僕らが考えている以上のことがでてくるので、ガルチさんの持つ知見やノウハウは、驚きであると同時に勉強にもなりました。

茶谷 私たちはカヤックさんほど運営の経験があるわけでもないし、パブリッシングする能力も薄いので、そのぶん狭い範囲で、「ここをこうしたらいい」、「ここはもっとよくなるのではないか」という提案をたくさんできるように心掛けてはいますね。

――ガルチがカヤックと組むことで、引き出してもらえる部分ってどんな点になりますか?

茶谷 先ほどお話しいただきました通り、私どもでは6~7年前はシューティングを多く作っていたのですが、カヤックさんとお仕事をしていなかったら、そのままの体制を継続していたかもしれません。自分たちの得意な分野で、少人数でやっていた可能性もありますね。たしかにもともとガルチは、シューティングゲームを作りたいとの思いから出発してはいるのですが、アーケードゲームだったりコンシューマーゲームが大好きで、「幅広いジャンルのゲームを作りたい」との目標を掲げて設立した会社ですので、そうした夢を実現するチャンスをいただけたというふうに思っています。

――ガルチに、シューティングゲーム以外の可能性を開いてくれたのが、カヤックだったということですね?

茶谷 そうですね。ソーシャルゲームに足を踏み込むきっかけをいただきましたし、そこからさらにUnityを習得したり……といった形で発展していきました。

――カヤックとお付き合いすることによって……。

茶谷 自分たちの可能性が花開いていくという感じですね。

――それはお互い幸運な出会いでしたね。

貝畑 そうですね。カヤックから何度かお仕事をお願いしているのですが、茶谷社長はエンジニアなんですね。僕もエンジニア出身なので、ご自身がいまだに現役でプログラミングをされているということも、僕としては非常に好感度が高くて。共感できるところが大きいですね。社長みずからが、いまだに現場で先頭に立って開発されているという姿勢もとてもいいなと。

――幸せなお付き合いが続いてきて、どこでごいっしょしようと?

貝畑 そうですね。じつは3年前からアプローチはしていたんですよ。ただ、ネックがありまして。

――あら! それは何が?

貝畑 端的に言うと、場所の問題です。僕らのオフィスは横浜と鎌倉にあって、できればガルチさんにもこちらに来ていただきたかったのですが、ガルチさんは秋葉原に本社を構えていて、秋葉原という地の利を活かして展開されている。それで、「秋葉原を離れるのは難しい」と。ご覧いただければわかるかと思うのですが、カヤックは事業部に関係なくワンフロアに全社員が入っています。なるべく壁を作らないようにしているところがあって、隣の事業部が何をしているのか、オープンにしているんですね。いつでも社内を気軽に移動できるようになっていて、いわば社風のようなものです。で、なるべくならガルチさんにも来ていただきたかったのですが、なかなか折り合いがつかなかったんです。

――けっきょくどうなったのですか?

貝畑 最終的には、カヤックの上場を経て、“ゲームの開発力より一層あげていきたい”との思いもあり、秋葉原オフィスは呑もうということで、「移転しなくても大丈夫です」とお返事しました。

――あら! ガルチとしては、そこまで秋葉原にこだわりがあったのですね?

茶谷 そうですね。カヤックさんが鎌倉にこだわっているのと同様に、我々も会社を設立するときには秋葉原にこだわりを持っていました。せっかくだし、とにかく秋葉原という地の利を活かして自分たちも成長していきたいですし、それを何とか理解していただこうということで、お話し合いを進めさせていただきました。じっくりといろいろなことをお話しさせていただきました。

――“場所に対するこだわり”という点では、両者とも共通しているのですね。ちなみに、カヤックはなぜ鎌倉にこだわっているのですか?

貝畑 本社を鎌倉にしたのは、14、15年前ですね。創業初期のオフィスは新宿にあったのですが、カヤックの強みは“アイデアを武器にして、新しい企画を出すこと”だと思っていて、企画が豊富に出せる環境は、自然の中じゃないか……という発想があったんですね。アメリカのシリコンバレーにしてもそうで、ああいう特殊な環境で自然の中で腰を据えながらアイデアを出す。で、東京から1時間で通えるところで、海や山があって……というところで思いついたのが、鎌倉だったんです。実際に鎌倉に行ってみてよかったのは、お寺も多く、文化的にもおもしろい。いまでは完全に鎌倉に根を張って、地域と連携したいろいろな事業を展開しているのですが、いまではカヤックとは切っても切れない関係になっています。

――会社のあるロケーションは大切で、場所はお互い違うけれど、両社ともこだわっていて……という感じですかね。

貝畑 そうですね。秋葉原は秋葉原で、実際に行ってみると僕も楽しいですし、場所が違うぶん文化も違ってくるということはありますね。それはそれで、鎌倉と秋葉原でたまに社員をシャッフルしてみたら逆におもしろいことが起こるかもしれないですし。

――シャッフルといったことも考えていらっしゃるのですか?

貝畑 カヤック内ではジョブローテーションとして、わりと異動が行われているので、せっかくパートナーになったので、ガルチさんとも気軽に人材交流をしていきたいですね。「今月は5人ずつ交換してみよう」みたいな感じで。ガルチから知識をもった方がカヤックに来るだけでも刺激になりますし、逆にカヤックのディレクターなりデザイナーなりが秋葉原に行って勉強させていただくこともできるでしょうし。何はともあれ、人材交流は積極的に行っていきたいです。

茶谷 そのへんは、いままでと変わらない感じではありますね。自分自身もこれまでカヤックさんのオフィスでお仕事をさせていただいたことはありますが、たしかに文化の違いというのはあって、たとえば使用しているPCひとつとっても、ガルチは基本デスクトップパソコンなのですが、カヤックさんはノートパソコンなんですね。

――ああ、たしかにカヤックのオフィスを拝見しても、ノマド風ではありますね。

茶谷 それで自分はデスクトップパソコンを秋葉原オフィスから持ち込んで、横浜オフィスでずっと仕事をさせていただいたりしたんです。

貝畑 茶谷社長が2週間くらいこっちにいらっしゃったときは、僕もびっくりしました(笑)。社長が2週間もこっちにきて、みずから陣頭指揮をするとは! しかもデスクトップパソコン持参! ということで。

茶谷 がっつりとゲーム開発をするには、デスクトップパソコンのほうが作業効率もいいですからね。

――3年間かけて今回のパートナー化に至ったとのことですが、そこでネックになったのは場所の問題くらいだったのですか?

貝畑 そうですね。僕はほかに何も(ネックとなる点は)感じていませんでした。

茶谷 ぜんぜんなかったですね。基本的にとてもスムーズでした。

――まさに相思相愛といったところですね。では、お互いがパートナーとなることによって、どのような戦略を考えていますか?

貝畑 先ほどもお伝えしましたとおり、カヤックはもともとウェブ制作出身ということもあって、サービスの運用やサーバーサイドのインフラには自信があります。一方で、スマートフォンのスペックが高くなって、ゲームのクオリティーが上がってくる中で、フロントや表現の部分でゲームのおもしろさをきちんと作るというところの経験値をもっと上げていきたいという思いがあります。そこをガルチさんに補っていただくということで、今後は共同で作っていくようなタイトルがどんどん増えていくと思います。

茶谷 私たちはゲームの運用はあまり行っていません。ゲームクライアントの制作に特化している。Unityを始めとしてさまざまなゲームエンジンや開発環境に習熟していますし、PCからコンシューマー、スマートフォンまで、さまざまなプラットフォームに向けてゲームを作ってきています。それがノウハウとして溜まってきていますので、今後ともカヤックさんとそうした経験をどんどん活かして、新しいものを作っていきたいですね。

――両社がパートナーとなることで、関係がより密になって、「こんなことが実現できるのでは?」といった目論見はありますか?

貝畑 それはいまいろいろと検討しているところですね。これまではカヤックの企画書をベースにして発注するというスタイルだったのですが、これからは企画段階からいっしょにいろいろと考えていくというフローになるかと思います。お互いのスタッフが企画にコミットする形にしたいですね。

――プロジェクトによって、両社のスタッフが自由に集結するみたいな?

貝畑 そうですね。お互いの会社で得意な領域や、個性がありますので、「この人とこの人を集めたらすごいチームができる」といったような、形がいいかなと思っています。いままではカヤックのほうで座組を考えてガルチさんにお願いするとアサインされていて……という感じだったのが、プロジェクト全体から判断して「こういう人を集めたら、こんなことができそうだ」といったように、チーム作りから変えていきたいですね。

■ガルチは今後もシューティングゲームを開発していく!
――ガルチさんは、もともとシューティングありきで作られた会社ということでしたが、連結子会社化することによって、そのへんのスタンスに変化はあるのですか? それとも、そこも柔軟に対応していくのですか?

茶谷 ここ6~7年はシューティングに特化しているわけではないので、今後も柔軟に……ということで考えています。その一方で、シューティングゲームはこれからもしっかり作っていこうと思っています。

――それは、カヤックさんとの協業とは違う領域で?

茶谷 そうですね。カヤックさんと協業していく部分が7割だとすれば、自分たちがこれまでやってきたことをさらに詰めていく部分が、2~3割あるだろうと思っています。それをさらにフィードバックして、両社のさらなるクリエイティブの向上につながるようにやっていければ……と。

――従来のガルチさんのシューティングファンの方は、そこは期待してくれていてもいいと? シューティングをやめるわけではない?

茶谷 もちろんやめません! シューティング路線に関しては、ぜひ期待していただきたいですね。

貝畑 連結子会社ということにはなっていますが、カヤックのほうでラインコントロールをするわけではなくて、ガルチさんのブランドとして、自由にやっていっていただくというスタンスは変わりません。もちろん、カヤックもお手伝いはしますが

――カヤックさんといっしょになることで、ガルチブランドでやっていく体力もさらについた感じですか?

茶谷 それは、ものすごくありますね。本業である、さまざまなゲームクライアント制作をカヤックさんとやっていけるようになったことで、さらに着実な歩みになったというのはあります。これまでだとなかなか時間がかかって進まなかったことが、さらに一歩踏み込んでしっかりとしたスケジュールで出せるようになったりもしていますし。

――ある意味で、ガルチブランドとしても勝負できるようになったということですね?

茶谷 じつは、今年でガルチが10周年を迎えるにあたり、Steamでパブリッシャーとして参入することが決定しているんですね。それにあわせて、「パブリッシャーとして、こういったものを出していきたい!」ということで、ガルチブランドを前面に押し出したタイトルを開発中です。

――それはどんなタイトルに? やはりシューティング?

茶谷 そうですね。

――シューティングファンに喜んでもらえるようなタイトルを……ということで?

茶谷 もっと言うと、自分たちが遊びたいものを作るという(笑)。

――具体的にはどのような感じのタイトルになるのですか?

茶谷 シューティングゲームという分野の中では、いままでにないような、いちばん新しいものになると思います。グラフィックは3Dで、プレイフィールドは2Dですね。『雷電』シリーズを手掛けたスタッフが集まっていますので、自分たちの“文化”だったり、“血”を引き継いだ、シューティングゲームという分野で、“いまできる最高のものを”ということで作っています。

――“かつてない”というと、どのへんの部分で突き抜けているのですか?

茶谷 まずはグラフィックです。『雷電』シリーズが出始めたころは、それこそすごくファンの方にとっては新鮮だったと思うんです。VRAMだったりメモリだったりをふんだんに使って、それまでだとあまり表現できなかったようなグラフィックのアーケードゲームを実現できた。それと同等に、最新作ではGeForce980くらいじゃないと推奨環境にならないような、シューティングゲームの表現の限界までつきつめたいと思っています。本作ではアンリアルエンジン4を使っているのですが、アンリアルエンジン4の圧倒的なパワーを駆使して、最高のものを目指して開発中です。今回Steamをプラットフォームに選んだのも、もっとも高速で動かせるものをまず作りたいという考えがあったからです。

――まずは、クリエイターの要望を最大限に満たしたいという?

茶谷 満たしてからですね(笑)。カヤックさんと協業しているのとは違う方向に突き抜けていくという。

――カヤック的には、パートナーのこういう動向に対してはどう捉えているのですか?

貝畑 応援しています!カヤックも“新しいモノを作りたい”という欲求は強いです。それは技術的な部分であったりアイデアであったりするのですが、「やるからには新しくておもしろくて、ぶっ飛んだものを作りたい」と思っているので、ガルチさんが僕たちができないところを突き進んでいくのは、非常に励みになりますね。

――カヤックは、今後はVRにも力を入れていかれるとのことですね。

貝畑 はい。カヤックではいまVR部という部署を作っておりまして、かなり早い段階からVRを使ったコンテンツの開発に取り組んでいます。最近だと、ゲームというよりはプロモーションやキャンペーンでVRを使用させていただいているのですが、スクウェア・エニックスさんの『乖離性ミリオンアーサー』のVRコンテンツ開発をご協力させていただいたこともあり、ゲームとVRの可能性も肌で体感しています。VRに関しては、さらにおもしろいものが作れそうだということで、いろいろと検討を進めているところです。

――VRの領域はカヤックさんの作業になるのですか?

貝畑 いまのところ実績としては、クライアントさんとのお仕事を通して、カヤックとしてはVRの実績はけっこう溜まっているのですが、今後、ガルチさんと連携を強化していく形になるかと思います。

――VRはどんな点に魅力を感じているのですか?

貝畑 新しいデバイスによる、表現としての新規さですよね。新しい体験としておもしろいというところに魅力を感じています。

――ガルチとしてもVRには興味がある?

茶谷 もちろんです。VRに関しては、我々のエンジニアも日々開発ノウハウを蓄積していますし、市場の拡大にあわせてカヤックさんとの連携を強めていきたいですね。

――クリエイターとして、とくにVRのどの点を魅力に感じていますか?

茶谷 やっぱり没入感がすごくありますよね。いま作っているゲームを(デモプレイ用に)VRに対応させてみたいしているのですが、楽しくてしょうがありません(笑)。商業化に向いているかどうか云々は別問題にしても、やはり没入感がすごいです。

――“新しいモノを作りたい”という方針のカヤックやガルチにとって、VRは相性がいいということですね?

貝畑 そうですね。両社とも技術ドリブン、クリエイティブドリブンのカルチャーがあるので、今後ともVRを使ったおもしろい表現や新しい体験を生み出すことに注力していきたいですね。私たちはVRが普及するかというビジネス的な判断よりも先に、新しくておもしろそうなデバイスがあったので、エンジニアが飛びついたという部分はありました。カヤックの“VRを使った新しい表現”がVRの普及に貢献できれば幸いです。

――新しいもの好きなカヤックにとって、いまいちばんホットなのがVRということですね?

貝畑 エンジニアにとってはホットですね。なにしろ部署を立ち上げたくらいなので、VRを使った新しい可能性については、いろいろと実験しています。

――もしかして、新しいもの好きゆえに、VRのさらに先を睨んだり?

貝畑 VRのさらに先というか、個人的にはAIとかにはすごく興味があります。囲碁AIの“AlphaGo(アルファ碁)”の対戦は衝撃的でしたし、『ポケモン』とAIが融合した『ポケモンコマスター』も配信されますよね。ゲームに限らない分野でもおもしろい取り組みを考えたいです。

――日々新しい取り組みをしている?

貝畑 エンジニアはそんなものですよ(笑)。

――そういった新しいものに対する嗅覚的なものも、ガルチとしては刺激される?

茶谷 はい。すごく刺激になります。いまおっしゃっていたAIとかも、カヤックさんって、サーバーサイドのエンジニアさんだったり、ネットワークインフラのエンジニアさんが豊富にいらっしゃるので、親和性が高いんですよね。いま話題になっているディープラーニングも、サーバーインフラを盛大に使って実現しないといけないものだと思うのですが、カヤックさんならば力を発揮されるだろうと。我々は妄想ばかりなのですが、思いついたことを実行に移す力がある。

――そういった意味では、「カヤックにこんなことをしてほしい」といった要望もあったりするのですか?

茶谷 たくさんあります! たとえばクライアントワーク。カヤックさんはウェブの会社なので、ウェブのいちばん先をご存じなんですよね。だから、その点に関してはすごくおもしろい表現をしていただけるのではないかと期待しています。

貝畑 カヤックは、ウェブのサービスを長く提供しているので、ユーザーさんと長く付き合って、ユーザーさんに喜んでいただきながら、サービスを大きくしていくという運用力は蓄積されていると思います。そういった意味では、ゲームを作ったあと、運用で伸ばしていきましょう……というところは、うちの力が発揮できる。ガルチさんには作りたいところだけ作っていただいて、うちはサービスで伸ばすといった役割分担もできるかと思います。

――いずれにせよ、お話をうかがっているとなるべくしてなったパートナー関係という感じもしますね。

貝畑 せっかくいっしょになったので、カヤックおよびガルチとして、ゲーム業界に対して新しいものを生み出すということは、必ずチャレンジしたいと思っています。「これは世界初」といったような新しい体験を、まずはユーザーさんに提供していきたいです。

茶谷 我々もゲーム体験をいちばん大事にしています。カヤックさんと実現できるいちばんの“先端”と、その一方でガルチがやっていきたい“先端”。その両方をプレイヤーさんにしっかりと見せていきたいなと思っています。

――ああ、2社が違うところで“先端”を追い求めているので、ふたつの違う“先端”のコラボをユーザーに見せられるということですね?

茶谷 そうです。それがすごく楽しみです。

最終更新:6月2日(木)0時5分

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。