ここから本文です

安倍首相の公約違反 それはそれとして、消費増税再延期は悪いことなのか?

BuzzFeed Japan 6月2日(木)12時2分配信

安倍晋三首相は6月1日、来年4月に予定していた消費増税を2年半再延期し、2019年10月にすると表明した。明らかに公約違反で、道義的にはよくない。しかし、そうでもしないと日本経済がとんでもないことになるのであれば、仕方がない。識者に聞いてみた。【BuzzFeed Japan / 石戸諭、籏智広太】

「再延期はない」はずだったが……

1日の記者会見、安倍首相はときに両手を振り上げ、ときに早口に、アベノミクスの成果を強調した。

なぜか。消費増税を延期し、それを争点の一つとして戦った2014年12月の衆院選では、「再延期はない」と強調していたからだ。その後、「リーマンショックや大震災級の事態」が起こったときは、消費増税再延期がありえると発言を修正していたが、会見ではこの点も否定した。

「現時点でリーマン級の事態は発生していない。熊本の地震も大地震級とはしない」と延期の条件を満たしていないことを認めたうえで、「世界経済が直面する大きなリスク」があると繰り返した。

2014年の延期の際に「今回のような景気判断による再延期はしない」と明言していたことを振り返ると、完全に公約違反だ。首相自身も「再延期という判断は、これまでの約束と異なる新しい判断です。公約違反ではないかとの批判があることも真摯に受け止めています」と話した。

公約違反を認めてでも、消費増税は再延期すべきだったのか。

BuzzFeed Newsは、消費増税に反対する経済学者の松尾匡・立命館大教授、デフレ脱却に向けた政策提言を続ける三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員・片岡剛士さん、消費増税賛成の三井住友銀行チーフエコノミスト・西岡純子さん、増税延期に反対するみずほ証券シニアマーケットエコノミスト・末広徹さんの4人に3つの質問を投げかけた。

公約を破ってまでの、この判断は正しいのか。アベノミクスの評価は。

Q1. 「リーマンショック」級のリスクはあるのか?

◆松尾さん:世界経済は楽観できない状況
中国経済の先行きが不透明で、世界経済の不安が高い状況にあるのは間違いない。楽観できる状況ではない。政策担当者が状況を厳しめに見積もり、備えるにこしたことはない。大事なことは、多くの市民は消費増税を延期してほしいと思っているという事実。市民からすれば、説明として苦しくてもいいと思っているでしょう。

◆片岡さん:問題はリーマン級かどうかではない
リーマンショックの前といくつかの指標が似ているのは事実だが、同じようなことが起きる可能性は現状で低いと見ている。
問題は、世界経済の成長率が低いことであり、現状は楽観できない。多くの経済学者が一致しているのは、リーマンショック以降、長期停滞ないし、景気回復が緩やかであることが問題だということ。

◆西岡さん:違和感を覚える
(安倍政権の現状認識には)違和感を覚える。リーマンショックのときと背景が違うのは明らか。当時のように、金融機関や投資家が過剰にリスクをとっているわけでもない。そんな脆弱な経済状況ではない。

◆末広さん:苦しい説明
リーマンショックとは異なり、いまは金融危機ではないと考える。中国を含む新興国の景気低迷が落ちているのは、経済の成熟の中で起きていることで、市場は混乱していない。リーマンショックという言葉を引き合いに出すのは、無理がある。アベノミクスは成功している、日本は悪くない、と言うために(増税延期の理由に)こうした説明を持ち出さざるをえなかったと考えます。

1/3ページ

最終更新:6月2日(木)12時2分

BuzzFeed Japan

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。