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「クルマと商社」を最もよく知る三菱自の次期社長候補

ニュースイッチ 6月2日(木)8時20分配信

商事出身の白地氏はゴーン社長と二人三脚で組めるか

 6月24日付で三菱自動車の副社長執行役員に昇格する白地浩三常務執行役員。“稼ぎ頭”である海外事業、グローバル・アフターセールスを担当する。白地氏は益子修会長と同じ三菱商事出身で、一貫して自動車事業に携わってきた。経営再建のキーマンである。益子会長は「長年自動車事業に携わってきた実績と経験、グローバルな事業経営に関する識見を経営にいかせる」と信頼を寄せ、三菱商事内でも「人間味のある温かい人で求心力がある」(関係者)と支持を集める。

 益子会長は白地氏の招聘(しょうへい)を決めた2月頃から周辺に「相川社長の補佐役として6月に副社長に据えるつもり」と漏らしておりサプライズはないが、懐刀の“入閣”は「会長兼社長の後継者」(関係筋)との見方が支配的で、三菱商事出身者が要職を占める構図が「一段と鮮明になった」(同)。

 白地氏と同時に、4月1日付で常務執行役員経営企画本部副本部長らを三菱商事から迎えたほか、三菱商事の執行役員に就任した中村達夫アジア・アセアン本部副本部長を執行役員アセアン本部長に引き上げた。

 自動運転技術などの次世代情報システムを推進する社長直轄のコネクティッドインフォメーションビジネス部なども“商事ポスト”の一つとされる。

 商社の強みは海外販売や金融、マーケティングなど多岐にわたるが、自動車メーカーが自ら手がけるケースは増加している。三菱商事はいすゞ自動車という重要なパートナーも持つが、三菱自とは一心同体の関係といえ、開発や生産を含めて“メーカー文化”を知る上で、より重い存在と位置づけられる。

 今後、自動車分野を積極的に開拓する意向を持つ三菱商事にとって、三菱自が日産自動車と提携することはプラスサイドに働くだろう。日産としても三菱商事が主導する三菱自の東南アジアの事業基盤は魅力だ。

<不正は商社とメーカーの同床異夢が生んだ悲劇なのか>

 今回の燃費表示不正問題を「商社とメーカーの同床異夢が生んだ悲劇」(業界関係筋)と指摘する向きはあるが「商事出身の益子氏でなければ、海外工場の閉鎖や車種絞り込みなど大胆なリストラはできなかった」(同)と評価する声は多い。

 暫定的に社長を兼務する益子会長は自身の進退について「(日産による出資完了後の)臨時株主総会で新体制が決まるまで」と述べている。

 不正に走った背景の一つに社内の“亀裂”があるのだとすれば「公平」で「透明性」のある人事制度の再構築なども必要になろう。ベクトルを合わせることが再建の早道になる。

<解説>
 商社と自動車メーカーの関係はなかなか奥深い。日産のゴーン社長は日産のトップになって直後、密接な関係にあった丸紅と袂をわかち海外販売を日産直営に切り替り変えた。今回は商事の力を存分に活用するだろう。本来、不祥事が発覚しなければ白地氏が社長になることはなかった。別の見方をすると、これまで三菱自動車は商事にとって“天下り先“だったとも言える。三菱グループの庇護が外れた中で、白地社長が誕生した場合、商事がこれまでと同じようにサポートしていくのか、あくまでビジネスと割り切った関係を築くのか。

最終更新:6月2日(木)8時20分

ニュースイッチ