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流通経済大のゴールマウスを守る、発展途上のルーキーGKオビ・パウエル・オビンナ

ゲキサカ 6月2日(木)13時59分配信

[5.30 関東大学リーグ1部第9節 流通経済大1-2法政大 多摩陸]

 235名もの部員を抱える流通経済大において、1年生ながらにトップチームのゴールマウスを守っているのがGKオビ・パウエル・オビンナ(1年=JFAアカデミー福島)だ。開幕戦から9試合連続で先発し、流通経済大の正守護神としてピッチへ立っている。

 ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれたオビは、埼玉県で育ち、大宮アルディージャジュニアを経て、中学・高校はJFAアカデミー福島で経験を積んだ。そして今春に流通経済大へ進学。「スタメンを取ってやろう」という意気込みで大学へ進むと、開幕戦デビューという順調すぎるスタートを切った。

 5月30日に行われた第9節・法政大戦。チームは開始2分に先制も、前半24分に失点。PA右角度のない位置からMF武藤友樹(3年=八千代高)に豪快な右足シュートを叩き込まれた。「自分の予測がなかった。レベルが上がるとあそこからも打ってくるんだなと学びました」と1年生GKは唇を噛む。

 それでも、その後のオビは好セーブの連続。至近距離からのシュートを鋭い反応で阻み、決定的なピンチの場面もファインセーブで凌いでみせた。あわや失点のシーンもリーチを活かした守備で、ゴールラインを割らせず。ハイボールへの反応では存分に持ち味を示した。

 しかし後半終了間際の44分、ビックセーブ直後の右CK。飛び込んできた相手DFにヘディングシュートを叩き込まれた。正面で反応したオビが両手先で触れたボールは、一瞬スピードダウンしたが、そのまま後方に流れてゴールイン。触っていただけに悔しすぎる失点となってしまった。1年生GKは大きく肩で息をついた。

「最後のあの一本以外は集中していたんですけど、最後にあそこでミスして、チームも負けてしまった。ただでさえ悔しい状況で勝ち点を取ろうというなかで、あれで負けてしまったのは申し訳ない」

 オビは失点につながったキャッチミスを悔やんだ。とはいえ、それまでの好セーブがなければ、もっと早くに勝負が着いていた可能性が高い。守護神の奮闘があったからこそ、終了間際の44分まで最小失点に耐えていたのも事実だ。

 また失点となったキャッチミスも、決して消極的だったわけではない。キャッチング後にすぐさま攻撃に転じようと気が早まった結果、手元がおろそかになったものだった。「シンプルにキャッチしたら、1-1だったので次の攻撃にいこうと、そういう気持ちが強すぎて。キャッチのところで集中力が切れてしまい……単純なキャッチミスです」と言うとおりだ。攻めの姿勢で起きたミスは必ずや自分の身に刻まれ、今後への糧になっていくことだろう。

 実際に流通経済大の中野雄二監督は「オビはやられたというシーンを1試合に2本は止めている。きょうも前後半と3本ずつくらいはスーパーセーブしているから、あの失点は責められない。3本くらい入ってもおかしくなかったのを、防いでいるんだから」と庇った。

「アカデミー(JFAアカデミー福島)のスタッフから言われていたのは、今日の最後のような集中力のないような考えられないミスをする時があるという評価だった。あれがなければスーパーということ。まだまだ伸びしろがある。GKだからミスが目立ちますけど、オビのしているファインセーブでの貢献度はすごい。今日試合に出ていた11人のなかでも、一番か二番にチームに貢献していますよ」

 GKはミスが得点に直結するポジションだ。緊張感高まる終盤の時間帯で、いかに冷静でいられるか。課題に直面したルーキーGKは「学ぶことの多い試合でした」と悔しそうに語る。大学1年目から激しいチーム内競争を経て、トップチームのゴールマウスを守る経験は誰にでも出来るものではない、貴重な経験を積み、ここから一回りも二回りも大きく成長していく。

 1997年生まれのオビは、2020年の東京五輪世代。もちろん五輪への出場は目標としているところ。「今のままではだいぶ厳しいので。これから少しでも多くのことを経験していって、今選ばれている代表GK2人を越せるように頑張るしかないです」と誓った。

 今季の大学リーグは、稀に見る1年生GKが豊作な年となっている。流通経済大の他にも、慶應義塾大ではGK上田朝都(1年=横浜FMユース)が開幕戦から先発しており、桐蔭横浜大ではGK児玉潤(1年=東京Vユース)が1試合に先発。その他にも全国高校選手権制覇のGK脇野敦至(1年=東福岡高)が国士舘大にいる。

 同学年GKについて「そんなに気にしてないです」と話したオビだったが一呼吸置くと「でも同じ世代として、他のGKよりいい順位にいないといけないし、失点も少なくないといけない。そういう面では意識しています」とライバル意識を口にした。

 名門・流通経済大で正守護神としてゴールマウスに立ち、酸いも甘いも経験しながら成長している。2020年に待ち構える大舞台を目指し、まずは流通経済大で結果を残していく。

最終更新:6月2日(木)14時4分

ゲキサカ