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メッシュネットワークが可能にすること

ReadWrite Japan 6月3日(金)22時30分配信

車、サーモスタット、ウェアラブルデバイス、家電など、日々使うものが次々IoTを通じて接続されていく。だが、これらのデバイスはインターネットへの直接接続を必要とすることが多い。つまり、通信速度が遅く、プライバシーの心配があり、全体のコストも高く付くということだ。

車などの場合は、接続コストの高い携帯電話を必要とする。まず、チップ自体の規格を取得するために何百万ドルもかかり、新規参入業者にとってはコスト障壁となっている。加えて、コネクテッドデバイスを買う人は大抵データプランも一緒に契約しようとしないため、そのコストは企業が被ることになる。サーモスタットやウェアラブルのような安価なデバイスの場合、そのコストはあまりに大きなものであるため、結局はWiFiやBluetoothだけに対応するという結果になるのだ。

高価であることに加え、データがクラウド上に保存されることで発生するプライバシーやセキュリティといったリスクも考えなければならない。データ漏洩は、これまでに何度も目にしてきたものだ。セキュリティの問題はこれまで常にイタチごっこであったが、最近、そのゲームはハッカー側に傾いてきているように見受けられる。

ネットワーク効率でいっても、デバイスからのデータを全てインターネットやクラウドに移すことは相当非効率的だ。デバイスが近接していることはよくあることなのに、通信にインターネットを経由するのは無駄だと言える。

使いやすさではどうだろう。セルラー網を使った通信はユーザにとって利便性が高いものだが、将来のデバイスがより小さく安価なものになるということを考えると、長期的な意味でコスト的に成り立つ解だとは言えない。

WiFiやBluetoothなどを使う場合では、ユーザによる設定が必要になる。しかし、多くの人は家庭内でのスマートTVや携帯電話設定作業を難しいと感じており、スクリーンを持たないデバイスをセキュリティが保たれた形で接続させるのはさらにハードルが高い話になるだろう。

これらの問題を解決するのは、様々なワイヤレス技術を集合した、「自律的メッシュネットワーク」になる。
ほとんどの携帯電話はWiFi、Bluetooth、セルラー網による通信機能を備えており、さらには、ビーコン技術やWifi Direct、WiFi p2pやマルチピアの利用も可能である。これは、上記デバイスをすべてつなぎあわせることで、メッシュネットワークのバックボーンを形成し、これら通信技術の1~2のみをサポートする安価なIoTデバイスが周りにあるデバイスを介して通信するというものだ。


■適切なメッシュネットワーク技術の登場

現在、専門知識などの余分な手間を必要としない複数の無線プロトコルをまとめるメッシュ技術は存在しないが、事は進行中だ。間もなく携帯電話自体をメッシュネットワークの中堅とし、同時に複数のネットワークを選択し活用することが可能となるだろう。

様々な企業がこの問題に取り組むため、特殊なメッシュネットワーク用ルータなどのアプローチをとっているが、基点となる機材はすでに多くの人の家庭にあるものだ。携帯電話はすでにほとんどの人が持っているものであり、IoTデバイスとのやり取りでどのような場合でも使われると考えられている。であれば、メッシュネットワークの機能を携帯電話に盛り込めば済む話ではないだろうか。

自律的ローカルメッシュネットワークの利用により、ネットワークの利用効率は向上し、サーモスタットや家電、その他のコネクテッドデバイスからのデータは、インターネットを介さずとも家庭内でやり取りできるようになる。家庭外への通信の場合はインターネットモードに切り替わるか、携帯によるメッシュネットワークが長距離化すれば、最寄りの携帯からその周りの携帯へと通信を経由することも可能になる。

情報共有は、比較的近場にいる車同士にとって有用なものだろう。すべての車が他の全ての車からの情報を知る必要はないが、近くの車同士の情報がわかれば、事故や効率的なルート取りに役立つかも知れない。

では、セキュリティ面ではどうだろう。データはクラウドに保存されないことから、永久に残り続けるということはない。ユーザの携帯が危険に晒されることや、通信経路の何処かで暗号が破れるといったリスクは確かにあるが、それはインターネットを通じた通信でも同じことが言える。

メッシュネットワークには、複数ユーザを経由してデータを集積できるという機能もあるため、クラウドにデータを送る場合でも送信元ユーザプライバシーを危険に晒すことなく行えるだろう。また、そのデータを使用してサービス向上を図る企業にとってもなんらかの価値を提供できるかも知れない。

様々なワイヤレスプロトコルから構成されるメッシュネットワークの重要な利点は、プロトコルにはそれぞれの強みがあるということだ。あるものは長距離まで届き、また、あるものは遅延が少なく、低消費電力であったり通信速度が早かったりする。これらすべてを上手く組み合わせることで、単純にこれらを足しあわせただけのものよりも、ずっと多くの価値を提供することができるだろう。

つまり、「モノのインターネット」と言われているものから”インターネットの部分”はなくなるのかもしれない。

ReadWrite Japan編集部

最終更新:6月3日(金)22時30分

ReadWrite Japan