ここから本文です

熊 厳戒 里に出没 相次ぐ目撃、死者も 「農作業怖くて・・・」 東北

日本農業新聞 6月3日(金)13時0分配信

 今年は平年に比べ熊の出没が多い。秋田県鹿角市では熊に襲われたとみられる死亡事故が3件発生。目撃情報は東北だけでなく石川、長野など各県に及び、自治体は箱わなを設置するなど警戒を強める。農作物への被害は報告されていないが、作業中に襲われる恐れもあり、農家に不安が広がる。なぜ、こんなに熊が多いのか。

 秋田県鹿角市の山間部、十和田大湯地区。タケノコ採りで山林に入った3人が熊に襲われたとみられる状態で亡くなった。同市は事故現場へ向かう道路2カ所を通行止めにし、体長約1.2メートルの熊が1頭入る箱わな1台を設置。出没注意を呼び掛ける看板を、市内の山林10カ所に設けた。

 2016年度の同市での目撃件数(6月1日時点)は36件と、前年同時期(3件)の12倍に上る。市は「早朝や夕暮れに多く目撃されているため、できるだけ日中に農作業をしてほしい」(農林課)と厳重警戒を呼び掛ける。

 熊に出くわした農家もいる。「目と目が合った時は気が気ではなかった。今後の農作業が不安だ」と明かすのは岩手県花巻市の農事組合法人「なべくら」の組合員、名須川義夫さん(65)。5月下旬の朝5時ごろ県道を散歩中、150~200メートルほど離れた畦畔(けいはん)で体長約1メートルの熊を目撃した。

 なるべく近寄らず、すぐ自宅に戻った名須川さん。「熊を見たのは初めて。水稲と麦を栽培していたが、そこには入らず畦畔を歩いていた」と振り返る。

 宮城県登米市では無線放送で、熊への警戒を呼び掛ける。同市新田地区の農家、高橋章一さん(70)は5月下旬、草刈りを終えて帰宅する途中、無線放送を耳にして驚きのあまり、足が止まった。「秋田での死亡事故が頭によぎった。自分も襲われる危険があると思うと、怖くて手に汗をかいた」と高橋さん。水稲6ヘクタールとズッキーニなどの野菜30アールを栽培するが、妻のとよ子さん(67)は「ズッキーニの収穫が6月下旬から始まるので、食い荒らされないか心配。遭遇しても追い払えない」。同市での16年度の目撃件数9件のうち、6件は同地区が占めるだけに不安は募る。

1/2ページ

最終更新:6月3日(金)13時0分

日本農業新聞

【生中継】小池百合子都知事の会見