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ブラジル日系被爆者からも称賛の声 オバマ大統領の広島訪問

ニッケイ新聞 6月3日(金)5時48分配信

<ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」3日付け>

 【サンパウロ発】戦後71年。米大統領として初めてオバマ大統領が広島を訪問した。核廃絶を訴え続けてきた広島にとっては念願が叶った形だが、ブラジルに移住した被爆体験者らは今回の訪問をどのように見ているだろうか――。

 ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(92、広島)は、「ずいぶん長い歳月を要したという感はあるが、米大統領として現職大統領が広島訪問したことは画期的だ」と肯定的に評価した。

 ブラジルに生まれ開戦直前に訪日し、長崎で被爆した鮫島義隆さん(88、日系二世)も、最高軍事司令官でもある大統領が国内からの批判を受けながら、「現職大統領として広島を初訪問した決断と行動は称賛すべき」と口を揃えた。

 盆小原国彦副会長(75、静岡)は、「これをきっかけに核兵器廃絶に向けた機運となってほしい」と強く期待し、「地球上で3度目の原爆投下があってはならない」と常日頃、講演で訴えている言葉を繰り返した。

 同協会は1984年に設立され、原爆の悲惨さを訴えるため、ブラジル各地で精力的に講演活動をしてきた。国内の被爆者は現在約120人程度。毎年漸減しているという。現在は公立学校や大学などを回り、生徒や学生たちに平和を訴える活動をしている。

 「原爆投下された広島は、屍だらけでこの世の終りのようだった」と森田会長は当時を振り返る。「戦争の愚かさを理解してもらい、二度と過ちが繰り返されないよう、訴え続けていかなければならない」と語気を強めた。

 今年はリオ五輪開幕とほぼ同時刻に、広島県では平和記念式典が開催される。それに合わせて、サンパウロの広島文化センター(平崎靖之会長)では毎年恒例の追悼ミサがおこなわれる。

 県連日本祭りで子どもらが折った千羽鶴が、その場で同センターに寄贈され、戦後初めて原爆を取り上げた映画『原爆の子~広島の少年少女のうったえ』(新藤兼人監督)が上映される予定だ。

 オバマ大統領の広島訪問に際して、平崎会長も「意義のある歴史的な出来事だ。平和に向けて一歩前進した」とした上で、胎内被爆者の一人として「命ある限り、恒久平和のために活動していきたい」と力強く語った。

(取材・大澤航平)

最終更新:6月3日(金)5時48分

ニッケイ新聞