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「台湾CSCの海外戦略」〈宋董事長〉=ベトナム鉄鋼事業拡大

鉄鋼新聞 6月3日(金)6時0分配信

 台湾・中国鋼鉄(CSC)は、新日鉄住金との薄板合弁事業「CSVC」のほか、JFEスチールも出資するフォルモサ・ハティン・スチール(FHS社)に25%出資するなど、ベトナムで鉄鋼事業の拡大を進めている。東南アジア鉄鋼協会のハノイ定期大会に出席した宋志育董事長に展望を聞いた。(ホーチミン発=宇尾野宏之)

――協会の副会長を務めています。大会の感想から。
 「ベトナム経済は必ず成長すると感じ、それに伴い鉄鋼需要も成長すると実感した。また、FHS社への関心が高く、中国大陸は相変わらず強い影響力がある。FHS社と大陸の動向が東南アジアにどう影響するのか。参加者が多数だったのは、こうしたことが理由ではないか」
――台湾からの参加者が目立った。
 「CSCの輸出量は東南アジア向けが最も多く、30%を占める。より充実したサプライチェーンをどう構築するのか。それを検討する必要があった。また、アセアン経済共同体(AEC)が発足すれば、需要はなお一層拡大する。拡大する需要をどう捕捉するのか。それを考える目的もある」
――CSVCも訪問した。どう感じましたか。
 「昨年も訪れたが、大きく進歩している。5月にブレークイーブン(営業黒字化)となる計画だったが、4月に実現した。また、あらゆるラインが過去最高の生産量を記録し、一部設備はフル操業だ。フル操業にはメンテナンスが必要で、これもしっかりとできている。このほか、駐日代表を務め、日本語も堪能な陳明漢が董事長となったが、彼は多文化を融合できる人材。社内コミュニケーションがスムーズになったのも好転した要因だろう」
――FHS社はどうか。
 「出資比率は25%で、当社は大株主。全力を挙げ、成功させなければならない。陳源成董事長を支援するため、CSCから人員を多数派遣している。一日でも早く順調に立ち上げたい。東南アジアはCSCにとって最大の輸出地域。FHS社はそこで大きな影響力を持つ製鉄所だ。これを活用し、どうサプライチェーンを構築できるか考えたい」
 「これまで2回訪問しているが、製鉄所の敷地はとても広く、レイアウト、生産フローはうまくできている。トライアルも順調で、量産を始めても問題ないだろう」
――販売面での協力は?
 「CSCはスラブなど半成品を外部から購入している。供給ソースになるし、オフテイク(販売権益)もあるので、良い協力関係をつくっていく」
――販売量は出資分に応じたものですか。
 「直接リンクしているわけではないので、これから話し合いたい」
――インドネシアでも合弁による鉄鋼事業を計画しています。進捗は?
 「1人当たりの鉄鋼消費量は東南アジアの平均量よりも低く、成長余地は大きい。だが、どうタイアップするかは相談中。まだ何とも言えない」
――鉄筋や形鋼など建築用鋼材を生産するのが有力ですか。
 「まだそこまで具体的な話はない。市場調査に時間がかかるし、重要な案件だ。真剣に検討する。同国ではインフラがまだ必要なので、そううわさされるのかもしれない」
――インドの冷延工場建設計画は?
 「関税が上がり、すでに稼働している電磁鋼板ミル(CSCI)の経営も苦しい。インド政府と交渉しているが、具体的な進展がない。関税の問題が解決しない限り、冷延工場建設は考えられない」
――国内投資は?
 「鉄鉱石や石炭など原料価格は下落したが、権益案件への投資は続ける。チャンスがあれば、逃さないようにしたい。また、サプライチェーンの構築にも投資する。例えば、ホットスタンプ加工や電磁鋼板加工で自動車部品・コンプレッサーメーカーとの合弁事業があるが、ほかにもユーザーに近いところで何かできないか考えている。このほか、風力発電などクリーンエネルギー、そして水質改善など環境対策投資もある。また、製鉄所では熱延や冷延工場の電気制御システムの更新など、より生産効率を引き上げる投資を行う」
――高炉改修は?
 「高雄製鉄所3号高炉を改修する予定だ。炉容積は変更しないので、生産量は変わらない。来年6~7月ごろになるだろう」
――下期業績の展望は。
 「7~8月国内販価を値上げしたので、7~9月はおそらく問題はない。しかし、4Qが不透明。大陸が減産するかがポイントになる」
――CSCグループにおける課題については?
 「国内はあまり心配する問題はない。懸念するのは海外プロジェクト。特にインド(CSCI)はあらゆる対策を講じて改善しなければならない。しかし、CSVCもそうだが、CSCマレーシアも黒字化した。深刻な景気低迷から脱却し、海外投資案件も収益を上げられるようになった。海外事業でさらに収益を拡大できればと考えている」

最終更新:6月3日(金)6時0分

鉄鋼新聞