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NakamuraEmi、唯一無二の世界観で魅せた圧倒的な存在感

MusicVoice 6月3日(金)21時4分配信

 シンガーソングライターのNakamuraEmiが、東京・代官山UNITで、自身初の東名阪ツアー『“NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST”~Release Tour 2016~』のファイナルとなる東京公演を開催した。ツアーは、今年1月にリリースされたメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』を引っ提げておこなってきたもので、バンドによる編成でアルバムの世界観を再現した。東京公演では未発表の3曲を含む全16曲を熱唱。NakamuraEmiの圧倒的な歌の説得力で唯一無二の空間を作り出し、ファンを昇華させた。この日は、昨年メジャーデビューを発表した思い出深い7月7日に、Motion Blue YOKOHAMAで再びワンマンライブをおこなうことも発表した。

 代官山UNITの前には多くのファンが列を作り、開場を待ちわびていた。開演前には会場は隙間もないほどの超満員。大阪・名古屋を廻ったワンマンツアーのラストを見届けようと多くのファンがこの地に駆けつけた。

 定刻を少々過ぎたところで、バンドメンバーがステージに登場。大きな拍手が鳴り響くなか、NakamuraEmiがステージに姿を現した。オープニングナンバーは、女性の想いを歌った曲「女子達」。軽快なリズムの上で、ダイナミック且つ豊かに歌い上げる。音と言葉が生き物のように踊り出し、1曲目から体が「ゾクッ」とするようなグルーヴで会場を魅了していった。

 30歳を過ぎた女性を歌った「チクッ」、女性目線で見た男性の決意を歌った曲「スケボーマン」、自分を信じて前に進めとアグレッシブな楽曲「I」とこれぞNakamuraEmiといったナンバーで会場を包み込んでいった。

 地元の厚木に雪が降り積もった時に作った曲だという「雪模様」を披露。不思議なコード感の曲。目を閉じて聴いていると、楽曲の持つ世界観が更に広がっていく。NakamuraEmiのコアな部分が出ている楽曲のひとつだと感じた。この感性は唯一無二だ。そして、台風が過ぎ去った後に出来たという曲「台風18号」。切ない心模様と葛藤、そんな情景を切りとったミディアムナンバー。バンドメンバーのコーラスがより一層楽曲を彩っていく。

 続いての「オネガイ」では、間奏でカワムラヒロシ(Gt)のギターソロを見つめるNakamuraEmi。その滑らかに紡がれていくフレーズに笑みがこぼれる。ステージ上でも音を楽しむその姿が印象的であった。

 MCではバンドメンバーを丁寧に紹介していく。今回パーカッションで参加している大塚雄士(Perc)が「台風18号」の「苦いコーヒーはポタポタ私の体ひたひたに♪」という歌詞の箇所で、ライブ中、実際にコーヒー豆を挽く音を出しているというマニアックなこだわりを明かしてくれた。

 そして、未発表曲「めしあがれ」を披露。家族のことを歌った楽曲で、NakamuraEmiが、インディーズの頃からお世話になっているというベースの豊福勝幸(Ba)が、コントラバスに楽器をチェンジ。そこにカワムラのギターとシンプルな楽器編成で叙情的に聴かせてくれた。バラードにオーディエンスも耳を傾け、静かにステージを見つめていた。

 “こんなこと言ってやりたい”と思い作ったという「Lock&Stop&不能」では、カワムラと2人で披露。ギターと歌だけ、ある意味裸とも言えるアレンジが歌詞の持つリアリティを加速させていく。更に未発表曲「Rebirth」。自身の生まれた時から現在までの成長の様子を描いたNakamuraEmiヒストリーを堪能できる楽曲。ニューヨークで活動していたドラムスのTOMO KANNO(Dr)の叩き出すリズムに乗り、ソウルフルなスキャットを織り交ぜグルーヴィーに聴かせてくれた。楽曲中にメロディに載せ「今日はありがとう!!」と訪れたファンに感謝を伝える。

 アットホームなMCコーナーでは、楽曲もさることながらMCでも独特の世界観とグルーヴで、会場をほっこりとさせる。このMCもNakamuraEmiの魅力のひとつ。また、長年一緒に活動を共にするカワムラのツッコミもアクセントなって楽しい空間を作り出して行った。

 仕事、音楽、結婚で悩んでいた時の楽曲「使命」では、ジャズの要素を取り入れた鎖のように繋がっていくメロディを、存在感のある歌声で代官山UNITを圧倒していく。そして、新曲「大人の言うことを聞け」を披露。ファンキーなギターカッティングで始まる、「YAMABIKO」にも通じる、これぞNakamuraEmiと言えるナンバー。波のように迫り来るリズムが高揚感を煽っていく。

 そして、ここで7月7日にMotion Blue YOKOHAMAでワンマンライブをおこなうことを発表した。7月7日は昨年メジャーデビューを発表した思い出深い日。同じ日、同じ場所でのライブにNakamuraEmiも嬉しさを隠せずにいた。MCでは「30歳を過ぎてメジャーデビューするとは思っていなかった。メジャーで頑張っていけるのは応援してくれた皆さんのおかげです。NIPPONNO ONNAWO UTAU BESTは私の棺桶に入れたい1枚です。こういう風に思えるCDをこれからも1枚1枚丁寧に作って行きたいです」とファンに感謝を告げると共に、これからの作品作りへの意気込みも語った。

 本編ラストはデビューアルバム1曲目を飾った「YAMABIKO」。パーカッシブなギターが代官山UNITに響く。そのグルーヴィーなリズムにオーディエンスの体が自然と揺れる。NakamuraEmiの小柄な体からは想像できないパワフルでエネルギッシュな歌声が、バンドが出すサウンドの上を自由にフロウしていく。その歌声はきっとタイトルの「YAMABIKO」のように聴いた人の心にリフレクションしたはずだ。曲が終わると大歓声に包まれるなか、ステージを後にした。

 アンコールを求める手拍子が鳴り止まない。その手拍子と声援に押し戻されるようにステージに舞い戻ってきたNakamuraEmi。そのファンの気持ちに応えるかのように最後にNakamuraEmiの真骨頂とも言えるナンバー「モチーベーション」を演奏。心地良いリズムとメロディ、そして等身大の言葉たちで会場を魅了した『“NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST”~Release Tour 2016~』の幕を閉じた。

 記念すべきメジャーデビューアルバムを引っさげてのワンマンツアーは、これぞNakamuraEmiと言える世界観を堪能できた心地よい空間であった。自身のことを歌ったリアルな言葉たちは、いつしか聴いた人自身のことのように溶け込んでいった。説得力とかそんなことではない、ナチュラルに着飾らずに発せられた言葉やメロディだからこそ、たくさんの人々に刺さるのだろう。音源は勿論のこと、ライブにはさらなる高密度な空間が広がっていた。(取材・村上順一)

■セットリスト

“NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST”~Release Tour 2016~
2016.05.25 (水)

M1 女子達
M2 チクッ
M3 スケボーマン
M4 I
M5 All My Time
M6 雪模様
M7 台風18号
M8 オネガイ
M9 プレゼント~繋ぐ~
M10 めしあがれ
M11 Lock&Stop&不能
M12 Rebirth
M13 使命
M14 大人の言うことを聞け
M15 YAMABIKO
ENCORE
EN.1 モチベーション

Band Member

Vo.NakamuraEmi、Gt.カワムラヒロシ、Ba.豊福勝幸、Dr.TOMO KANNO、Per.大塚雄士

最終更新:6月3日(金)21時4分

MusicVoice