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異性を敵に回さないための伝え方の「ひと工夫」

ZUU online 6月4日(土)16時10分配信

■職場でも家庭でも使える「男女の会話」のコツ

男性と女性とで会話するとき、お互いの「伝え方」とその「受け止め方」に差があるために、お互いにイライラしたり、ケンカになったりしてしまうことがある。それを防ぐには、どうしたら良いのだろうか。男女脳論の専門家である黒川伊保子氏に、アドバイスをいただいた。

■俯瞰してとらえる男性、細部を察知する女性

「女性はなぜオチのない話で盛り上がれるのか」「男の人ってどうして察してくれないの」――古今東西、「男女の違い」は数々のコミュニケーションギャップを生んできました。

なぜ、こうしたすれ違いが起こるのでしょうか。それは、物の見え方・感じ方に、男女間で大きな差があるからです。

その違いを作り出しているのは、脳の中の「脳梁」という部分。ものを感じる右脳と、理論的に思考する左脳をつなぐパイプ役を果たす器官です。このパイプが、女性は男性より20%ほど太いのです。

従って、男性の右脳と左脳は女性ほどスムーズに連携しません。しかし、そのことは、双方から受け取る情報の差異を際立たせ、認識に奥行きを与えます。「物事全体を俯瞰的・構造的にとらえる」という、男性特有のものの見方はここから生まれます。

対して女性脳は、全体像の把握よりも、細かな変化の察知力に優れています。また、右脳で感じたことを即刻左脳で言語化できるので、感情をすぐ言葉にするのも特徴。「で、オチは?」と言いたくなるような、とりとめのないおしゃべりも、こうした脳の働きによるものです。

この違いは、コミュニケーションのあり方にも大きな差異を生み出します。

女性脳は、感情を共有できたときに喜びを感じます。女性同士の会話で、「そうそう!」「わかる、わかる」といった言葉が頻発するのはそのせいです。

そう考えると、男性が女性と接するときのコツも見えてきます。そう、最大の秘訣は「共感すること」にあるのです。

これを実践する上で、一番簡単な方法は「反復」。相手が「面白いですね」と言えば、「そうだよね、面白いよね!」と繰り返すのが基本です。

ただし、例外もあります。「私の仕事は、重要性が低いんです?」などと聞かれたときに、「そうだね」などと答えては大変なことになります。「そんなわけないじゃないか!」と即座に、強く否定しましょう。

また、女性は理由を言わずに不機嫌になることもあります。この場合、男性のふとしたひと言が彼女のコンプレックスを刺激してしまった可能性大。彼女は「そこに劣等感を持っている」ことも言いたくないので、ただ黙って機嫌を損ねるのです。

そんなとき、コンプレックスの所在を明らかにしようとして、「何を怒っているの?」などと聞くのは逆効果です。

正しい処方箋は、「その女性が得意なこと」を頼むこと。「この資料、まとめてもらえる? 君のまとめ方はいつも見やすいから」と言えば、彼女の自尊心はすぐに回復するでしょう。

■職場の男性に「共感」を期待してはいけない

逆に、女性が男性に接するときの秘訣は何でしょうか。それは、ここまでの話とちょうど逆。「共感を期待しないこと」です。

職場においては、とくにこの意識が必要です。「毎日が勝負」の仕事場に、共感の入る隙は少ない、と心得ておきましょう。

男性は、これをごく当然のこととして認識しています。

試合中のラグビー選手は、全力疾走しながら「おお、君のパスは素晴らしい!」などと、いちいち会話しませんね(笑)。職場も同じです。男性は称賛やねぎらいや同情を、たとえ感じていても逐一言葉にはしません。

それがわかっていない女性は、しばしば戸惑うことになります。

たとえばプレゼンのとき。「会心の出来だ」と思いながら発表を終えたとたん、「ここのコストはもっと削れないの?」「準備期間が短すぎない?」などと、弱点を突くかのような質問が飛んでくることがあります。すると女性は「なぜ、こんなにけなされるの?」と心外に思いがちです。

それはけなされているわけではないのです。男性陣は、良い案だと認めたからこそ、より実現性を高めようとして質問するのだということを理解しましょう。「いい出来だね」の一言がないからといって、「何がいけないの」と怒り出すのは禁物です。

■「結論と数字」が男性脳を喜ばせる

報告や伝達のシーンでは、「結論から言わない」女性が、しばしば男性を怒らせます。

俯瞰的にものをみる男性脳が「結果・結論」を重視するのに対し、小さな変化や推移に敏感な女性脳は、「プロセス」を重視します。その結果、つい発端から経緯、個人的感想まで長々と伝えたくなるのです。

しかしこの伝え方は、男性の目には「デキない人間」と映ります。まして、最後に言う結論が「……というわけで、先方がお怒りで、至急お電話くださいとのことです」などだった場合は、激怒されても文句は言えません。

大事なのは、「結論から言う」ことと「数字を言う」ことです。

「部長、この件は○○になりました。理由は三つありまして……」がベストな伝え方です。

ちなみに、3つ伝え終わる前に4つ目、5つ目を考えついてしまうのも女性脳によくある現象ですが、あとから勝手に増やしてはいけません。

男性脳は、対話に使う脳のワーク領域が女性の数十分の一しかなく、「3つあります」と言われたときには、狭いスペースに隙間を作り、三つの箱を用意します。そこへ4つ目、5つ目が予想外に降ってくると、男性の脳神経回路は多大なストレスを覚えるのです。

どうしても言いたいときは、いったん席に戻ってから少し時間を置き、「追加情報があります。2つありまして…」と、新たにワンセット組みましょう。

■「ダメ出し」のコツは男女で正反対

「結果重視とプロセス重視」の違いは、「叱り方」にも大きな違いを生み出します。

あるタスクで上々の成果を収めた時、女性は「成功を導いたプロセス」に満足を覚えています。ここで上司は、「でも、あの段階のあの部分は問題があったよ」と言ってはいけません。その出来事全体の世界観が壊れて、女性は途方に暮れてしまいます。

逆に、結果が悪かった場合は、プロセスにダメ出ししてもOK。そのせいで失敗したのだ、と女性も納得しているからです。

男性に対しては、この構図が正反対になります。

成功を収めたとき、男性は結果に満足しています。ですから、途中段階に問題があったことを指摘してもさほど気にしません。「そうですね、次から気をつけます!」で済むでしょう。

逆に、失敗したときに経過を責めると、多大なダメージを受けてしまいます。

もちろん、上司として問題点に気づかせることは必要。男女を問わず、「問題があるとしたらどこだと思う?」「なぜ失敗したかわかる?」と問いかけ、自分で答えを出させるのがベストです。

このように、接し方ひとつで対話はぐっと円滑になるもの。相手の性別による「感じ方」の違いを把握して、無用な波風を立てないコミュニケーションを図りましょう。

◆女性部下への「言い換え」例

「つらい」と訴えられたとき
○「そうか、それはつらいね」
○「嫌な思いをさせて、申し訳ないね」
×「それなら、もっとこうすべきだよ」
×「あ~、ごめんごめん!」

喜び、驚き、困惑、落胆など、女性は様々な感情を言葉にする。そのときは必ず、共感する言葉で答えよう。「つらいんです」と言われたら「そうか、つらいね」が正解、いきなり提案やアドバイスをするのはNG。

また、相手を怒らせたときに「とりあえず謝っておく」のは大きな間違い。「本当にわかっていますか?」という、さらなる怒りを呼び起こす。「嫌な思いをさせたね、ごめんね」と、謝る言葉の前に、気持ちに寄り添う一言を。

◆男性部下への「言い換え」例

男性部下が失敗してしまったとき
○「そんな失敗、誰でも一度はするよ!」
○「失敗も糧。精一杯リカバーしよう」
×「そういえば前も、ここを間違えたよね」
×「これは大変だ。どうしてくれるんだ!?」

男性は「悪い結果」に弱い。とくに自分が失敗したときはひどくダメージを受ける。

そんなとき、「慌てる・怒る・責める」上司は最悪。動じずに、「リカバー」という次なる目標を与えるのが良い対処だ。

とくに、女性上司の場合、「前の失敗」を蒸し返さないように注意。女性脳は、同一の感情を覚えた経験を瞬時にすべて再生できてしまうので「そういえばあのときも……」とつい言ってしまうが、不毛な上に人間関係も損なうので注意しよう。

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)感性リサーチ代表取締役社長/感性アナリスト
1959年、長野県生まれ。栃木県育ち。奈良女子大学理学部物理学科卒業。㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて人工知能(AI)の開発に従事。2003年に㈱感性リサーチを設立、脳機能論と人工知能の研究成果に基づく五感分析法を開発し、マーケティング分析に生かす。性別や年代による脳の性質の違いを軽妙な語り口で解説、講演やセミナー、テレビ出演等幅広く活躍。『キレる女 懲りない男』(筑摩書房)ほか、著書多数。(取材・構成:林加愛)(『The 21 online』2016年5月号より)

最終更新:6月4日(土)16時10分

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