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出張先で「実家」利用、定額支給の宿泊費を懐に入れたら問題ある?

弁護士ドットコム 6月4日(土)9時6分配信

出張族にとって、宿泊先のホテルは、ホッと息をつける大切な場所でもあり、経費を有効利用できる舞台でもある。ネット上には、「友人宅や実家に泊まっても宿泊代は定額支給される」という投稿があった。宿泊先にお金はかかっていないのにもかかわらず、しれっと請求をするらしい。

また、東京都内のIT系企業に勤務する営業マンのOさん(20代男性)も、ホテルではなく「実家」に宿泊しているそうだ。支給される交通・宿泊費の予算は固定であるため、宿泊費を浮かすためだが、「出張とはいえ、実家に泊まることで、何か怪我や病気、災害に見舞われた時に『出張』扱いにならないなど、問題はないのでしょうか?」と心配している。

出張ではあるけれど、実家や知人の家に泊まってしまう。そんな経験をした人は珍しくなさそうだが、なんらかの問題はあるのだろうか?白川秀之弁護士に話を聞いた。

●「どこに宿泊するかは自由」

「出張中であっても、業務終了後、どこに宿泊するのかは労働者の自由に任されています。相談事例では、出張費について、宿泊先にかかわらず、定額を支払う規定となっているようですので、結論としては、どこに泊まっても問題ありません。

ただし、会社によっては、ホテル等に宿泊した場合にのみホテル代を支払う規定を設けることもあります。その場合、ホテル等に宿泊していないのに、宿泊したと偽って出張費の支給を受ければ『詐欺』に該当する場合もあります」

出張中に、実家に宿泊することに問題はないようだ。では、その他に問題は発生しないのだろうか?

「事故にあった場合、労災の対象となるかが検討されるでしょう。労災にあたるかどうかは、『業務遂行性』(仕事中に発生した怪我、病気であるか否か)が問題になります。

一般的に、出張中の労災は出退勤途上の労災に比べて、広く認められる傾向にあります。出張中は、その出張業務の成否や遂行方法について、包括的に事業主が責任を負っていると考えられるからです。過去の裁判例では、出張中の宿泊先で飲酒をして、階段で転落死した場合に労災を認めた事例もあります。

それを当てはめれば、実家で宿泊中の事故も労災と認められる可能性があります。なお、会社に対し、実家に宿泊していることを報告している場合の方が、業務遂行性が認められやすくなると思います」



【取材協力弁護士】
白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年、弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所
事務所URL:http://www.kita-houritsu.com/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月4日(土)9時6分

弁護士ドットコム

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