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大日本猟友会会員 37年ぶり増加 法制定、支援策が奏功 若者、女性 関心高く

日本農業新聞 6月4日(土)15時10分配信

 大日本猟友会の会員数が2015年度に10万5384人に回復し、1978年度以来37年ぶりに前年度を上回ったことが分かった。専門家や大日本猟友会によると、鳥獣被害防止特措法を中心とした総合的な捕獲の施策が奏功した。官民連携による担い手づくりやジビエ(野生鳥獣肉)の広がり、若者の狩猟や里山への関心の高まりが背景にある。狩猟者の減少と高齢化に歯止めがかからない状況が続いていたが、狩猟者確保へ明るい兆しが見えてきた。

 15年度は14年度(10万4242人)に比べて1142人増加した。1978年の42万4820人をピークに、会員数は毎年、前年度を大きく下回っていたため、大日本猟友会は「非常に画期的な兆候」とする。銃猟に比べて網やわな猟の免許を取得する会員数が急増している。

 30都道府県で前年度の会員数を上回った。石川県(前年度比222人増)、兵庫県(同128人増)、岡山県(同131人増)、広島県(同112人増)、香川県(同130人増)の増加が目立つ。

 大日本猟友会によると、戦後は趣味でカモなどの鳥を狩猟する会員が大半だったが、近年は森林や田畑を荒らすイノシシや鹿の捕獲依頼が急増。各現場では、農家が集団で自ら狩猟免許を取得し田畑を守るケースが目立っているという。

 鳥獣被害防止特措法が増加を後押しした。2007年に成立し、市町村の被害防止計画に基づいて鳥獣捕獲などに従事する狩猟者に、猟銃所持許可の更新に必要な技能講習を免除する特例や、「鳥獣被害防止緊急捕獲等対策」の交付金などで狩猟者を支援する。

 この他、若手や女性ハンターの座談会(高知県猟友会)など独自の講習会の企画、試験回数や会場の増加など各地で工夫。政府や猟友会、都道府県、自治体は若者や女性向けの情報発信、広報を強化してきた。

 都会から地方への移住者や女性らの狩猟免許取得も増え、各地で猟友会青年部が立ち上がっている。さらに処分に困っていた鳥獣が、ジビエの広がりで需要と結び付いた。大日本猟友会は「一つの対策の効果ではなく、総合的な捕獲増への取り組みと若者の里山への関心が狩猟者が増えた要因」と見る。

 大日本猟友会の佐々木洋平会長は「若い狩猟者の技術を高めていくことがこれからの猟友会の使命」と見据える。岐阜大学鳥獣対策研究部門の森部絢嗣特任助教は「免許を取っただけでなく、現場で実際に狩猟で活躍できるよう、支援体制の充実が必要だ」と指摘する。(尾原浩子)

日本農業新聞

最終更新:6月4日(土)15時10分

日本農業新聞