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日立・三菱電機・東芝が中国でエレベーター速度競争に走るワケ

ニュースイッチ 6月4日(土)7時42分配信

新設の成長率が鈍化。ブランド力高め汎用品への波及狙う

  日立製作所と三菱電機が、エレベーターの速度競争で火花を散らしている。中国の超高層ビルを舞台に分速1200メートル級(時速72キロメートル)の争いを繰り広げる。速度競争で世界トップに立つには技術のほかに、超高層ビルの案件を受注できる営業など総合的な提案力が問われる。東芝エレベータ(川崎市幸区)を含む日系大手3社がしのぎを削る。

滑り込みで世界一をアピール

 三菱電機が世界最高速となる分速1230メートルのエレベーター技術を開発し7月中旬に実装すると発表したのが5月10日。日立はその17日後の同27日、技術開発ではなく、実際のビルにおいて世界最高速となる同1200メートルでエレベーターを走らせたと発表した。

 対象となるのは、いずれも中国の超高層ビル。三菱電機は「上海中心大厦」(上海市)向け、日立は「広州周大福金融中心」(広州市)向けに受注した。ただ両ビルとも、まだ建設中で、開業は2016年内の予定だ。日立にしてみれば、上海中心大厦が開業する前の滑り込みで“現場世界一”をアピールした格好だ。

 高速化の背景には技術の進化がある。三菱電機は制御盤や安全装置を新たに開発し、乗り心地や省エネ性を確保した上でスピードを高めた。日立も高出力永久磁石モーターの開発や、ロープの強度向上でスピードを上げるとともに、部品の工夫で振動を軽減し乗り心地を追求した。

 11年に三菱電機が上海中心大厦向けに受注した際の速度は同1080メートルだった。同社の担当者は「5年間の技術革新で1230メートルまでたどり着けた」と説明する。

 ビルが高層化し、エレベーターが走る距離が延びたことも高速化を後押ししている。地下を含めエレベーターが走る最下階から最上階までの距離「昇降行程」は、上海中心大厦が565メートルなのに対し、広州周大福金融中心は440メートルと100メートル以上の開きがある。業界では三菱電機と日立で技術的な優劣は付けがたいとされるが、日立の場合は「ビルの物理的な条件でこれ以上の速度アップは難しい」(担当者)という。

総合力の証

 こうした観点でみるとエレベーターの速度競争は、その地域を代表するような超高層ビルの受注を獲得できるだけのブランド力や実績、営業力の勝負ともいえる。三菱電機は日本のエレベーター開発拠点である稲沢製作所(愛知県稲沢市)にビル開発者を招いて、「試験棟で乗り心地の良さを体験してもらって、受注に結びつけた」(担当者)と明かす。

 現在、営業中のビルでは、東芝エレベータが納入した台湾の超高層ビル「台北101」(台北市)のエレベーターの同1010メートルが世界最高速。東芝エレベータも5月20日、中国・瀋陽の生産拠点の敷地内に、開発検証と製品評価を行う「瀋陽検証センター」を開設しており、製品の信頼性を高め受注力の向上を狙う。

 速度アップへの取り組みは安全性や装置の小型化、コスト力など多様な面で技術の底上げにつながり、「汎用製品の競争力向上の効果もある」と日立の担当者は指摘する。世界最速はエレベーターメーカーの総合力の証。今後も各社の競争が“加速”しそうだ。

1分間でイライラ

<補足>
 エレベーターの高速化競争は世界的に日本勢の独壇場。海外メーカー製の高速機を納入したビルでも、しばらく使っていると振動がひどくなるなど安定を欠き、速度を落とすケースが相次いでいる。日本製は最上階までおおむね1分間ですが、2分間以上かかるエレベーターに乗ると、ものすごーくイライラする。もっと日本が評価されて、市場が広がってほしいものだ。

最終更新:6月4日(土)7時42分

ニュースイッチ