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コンビニ大手が弁当・総菜のチルドシフトで外食産業と激突へ

ニュースイッチ 6月4日(土)8時20分配信

鮮度にこだわり、食材の幅拡大で工場再編も

 コンビニエンスストア大手が、弁当や総菜などの生産と販売にチルド(3度―8度C)温度帯の活用を増やしている。サークルKサンクスは人気商品の焼きとりの生産で、一部冷凍工程をやめてチルド工程にシフトした。セブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートは、チルド弁当を増やしている。鮮度保持や従来の温度帯では使えない食材も活用できるなど、質的な向上が図れる。チルド温度帯のメリットを最大限引き出す、コンビニ大手の取り組みが活発化している。

 「2015年度(16年2月期)のチルド弁当の(弁当全体に占める)比率は35%になった」。セブン―イレブン・ジャパンの石橋誠一郎取締役執行役員はこう話す。13年2月期のセブン―イレブンのチルド弁当の比率は同12%だったから、3年で3倍近い急ピッチな伸び率だ。

 店頭では一見、区別しにくいが、通常の弁当が16度―20度Cの「定温」で販売されるのに対し、チルド弁当は冷蔵ケースで販売されている。低温で配送、販売されるため劣化が遅く、定温では使え切れなかった半熟タマゴや海鮮系の食材などが使えるメリットもある。日持ちの良さから廃棄ロスになる比率が低くなり、加盟店の支持も高い。

 チルド弁当の生産は、ファミリーマートも力を入れている。現在、定温やチルドの温度帯別に工場の再編を実施している。従来の汎用的な生産体制から、定温弁当、チルド弁当などと温度帯別に再編することで専門性を高めたり、配送効率を高めたりする。ローソンも品目を拡大中だ。

 サークルKサンクスも、人気商品の生産にチルドの活用をはじめた。11年の発売以来、15年までに累計4億2000万本の販売を達成した「ジャンボ焼きとり」で、5月10日から原料、鶏肉の管理温度帯を一部チルド温度帯に変更した。

 従来、原料鶏は食肉に解体してから即座に冷凍保存する。さらに、その冷凍肉を解凍して串を刺し焼くといった加工後に、ふたたび冷凍。解凍して販売という工程だった。

 だが、新工程は解体処理後に冷凍をせず、チルド帯で串を刺し焼くなど加工をして冷凍する。輸送と冷凍工程を一つ削減し、チルド温度帯の配送を挟み込んだ。冷凍解凍工程を一つ省くことで品質が改善し「食味が良くなった」(同社)という。

 コンビニは今後「外食産業との競争」(コンビニ大手幹部)といわれる。1万店以上ある店舗網に質の高い商品を供給するには、仕組みの高度化が欠かせない。チルド温度帯の生産、販売面での活用は、コンビニ商品の質的向上に不可避といえそうだ。

<解説>
 コンビニの技術の改革が進んでいる。例えばチルド(3―8度の温度帯)の弁当。当初は冷蔵で配送、販売するためご飯がおいしく温められるかが課題だったが、それも今ではクリアして、ご飯をおいしく戻すことに成功した。結果、大手チェーンではチルド弁当が弁当売り上げのなかでジワジワとシェアを高めているようだ。

 店舗で調理する持ち帰り弁当に比べても、そん色ないまでになってきたようにも思える。また最近のチルド弁当には海鮮系の食材も使われているし、冷蔵ケースで生鮮食品も散見されるようになった。今後、コンビニは配送、販売でチルド帯をいかに使いこなすかが、技術革新のカギを握りそうだ。

最終更新:6月4日(土)8時20分

ニュースイッチ