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本当に「鉄道」が必要なのか JR北海道、存在感増す「バス転換」案

乗りものニュース 6月4日(土)11時0分配信

「鉄道は文化財ではなく地域の足」、ならば…

 JR北海道は2016年5月31日(火)、札幌市内で5月11日(水)に開催した第9回「JR北海道再生推進会議」の議事概要を発表しました。

 この会議は、JR北海道が外部の視点からコンプライアンス(法令遵守)や企業経営のあり方などについて幅広く助言をもらうべきと考え、2014年6月に設置したものです。第9回会議には、北海道の高橋はるみ知事や同商工会議所連合会の高向 巌会頭をはじめとする7人の委員が出席。JR北海道からは須田政男会長や島田 修社長ら幹部16人が出席しました。

 会議では、冒頭にJR北海道の島田社長が挨拶したのち、前半の議題である「安全に関する取り組み」について議論が交わされました。

 そして後半は「地方閑散線区に関する取り組みの方向性」について議論。次のような意見があがっています。

「いまだ100年以上前の建物の更新ができておらず、駅や高架橋の耐震化も進んでいない。この現実を鑑みると、安全を維持するためには、事業範囲の選択と集中の問題に踏み込まざるを得ない」

「鉄道に並行して高速道路や高規格道路があるのに、ご利用が著しく少なくなった鉄道を高いコストをかけてなぜ維持しなければならないのか」

「鉄道は文化財ではなく地域の足だ。その足は鉄道でなくてはならないのか、道路を使うことはできないのかという議論に入っていくことはJR北海道の責任だ」

「鉄道廃止」と「バス転換」、より進む可能性

 JR北海道・留萌本線の留萌~増毛間16.7kmは、今年の12月4日(日)に最終運行日を迎える見込みです。この区間はJR北海道のなかで最も収支状況が悪く、2014年度では100円の収益を得るのに費用を4161円も要していました。

 この、「100円の営業収入を得るために必要な営業費用の数字」のことを「営業係数」といいます。簡単に考えると、これが100円未満であれば黒字、100円を超えれば赤字です。JR北海道は2014年度の線区別収支状況を公開しており、営業係数が「1000円」を超える線区は留萌本線の留萌~増毛間のほか、次の線区です。

・札沼線、北海道医療大学~新十津川:1909円
・根室本線、富良野~新得:1430円
・留萌本線、深川~留萌:1316円
・石勝線、新夕張~夕張:1247円
・日高本線、苫小牧~様似:1022円
※ここに挙げる営業係数は管理費を除いたもの。

 道内のほかの区間においても、営業係数は軒並み「100円」以上。反対に「100円」以下、つまり黒字路線は札幌近郊の線区のみです。また営業係数に管理費を含めた場合、JR北海道は全路線が「100円」以上になります。

 このようにほとんどが赤字路線といえるJR北海道は2016年3月28日、「平成28年度事業運営の最重点事項」のひとつとして「事業範囲の見直し」を掲げました。同社はそこで利用の少ない線区について、収支状況が厳しいことに加え、土木構造物の老朽化が進んでおり大規模な更新が必要になるなど、JR北海道単独では将来にわたり維持していくのが困難な状況にあると説明しています。

 また、今年5月9日に出された「平成27年度決算」の社長談話においても、「ご利用が少なく鉄道特性が十分に発揮できない線区については、地域の皆様に現状を丁寧にご説明しご理解とご協力をいただきながら、持続可能な交通体系の実現に向けた事業範囲の見直しに全力をあげて取り組んでまいります」と述べられています。

「地元の利用者の立場を十分に尊重し、丁寧な説明と協議を重ねて、バス転換に取り組んでいくしかないのではないか」

 このたび開催された第9回「JR北海道再生推進会議」における委員の発言です。いくつかの線区では、このような決断がいま、迫られているのかもしれません。

太田幸宏(乗りものニュース編集部)

最終更新:6月4日(土)12時22分

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