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ツネイシ正念場、それでも建造ドック設備増強で成長へ

ニュースイッチ 6月4日(土)13時26分配信

常石造船の踏ん張りカギ。「16年の受注は「何とか50隻を確保したい」

 ツネイシホールディングス(HD、広島県福山市)が2016年の新造船受注目標を前年実績より21隻少ない50隻に設定した。新造船の先行きに暗雲が漂う中、受注残を抱える18年以降を見据えた正念場に差し掛かる。船のラインアップ拡充や手広いアフターサービスでテコ入れする常石造船の踏ん張りが、ツネイシHD全体の成長度を占う試金石となりそうだ。

 「需給バランスが崩れている」―。常石造船の河野健二社長は造船業界の現状についてこう嘆く。船舶の供給力過多に加えて、中国経済の減速による影響の顕在化が影を落とす。

 河野社長は主力のバルクキャリアなど(ばら積み貨物船)の受注環境について「環境規制など国際ルール適用前の駆け込み需要があり、16年以降は下がる」と懸念する。16年の受注は「何とか50隻を確保したい」(同)と15年の71隻から”下方修正“を余儀なくされる見通しだ。

<海運も苦戦>

 祖業の海運もドライバルク船(ばら積み船)が「昨年後半から市況が暴落している」(神原宏達ツネイシHD社長兼神原汽船社長)と海運事業の売上高は14年の436億円から15年は326億円で苦戦を強いられた。

 一方、造船は手をこまねくことなくラインアップの拡充に力を入れる。バルクキャリアで培った省エネ技術を応用するなど16年はタンカーやコンテナ運搬船、客船で新ルールに対応した新規開発船を投入する。市場ニーズを把握した次期船型の選択や開発を進める計画にも着手している。

 アフターサービスにも本腰を入れる。各船に設置されるバラスト水の処理装置が近くほぼ完了することを踏まえ、ツネイシHDグループ各社で据え付け、修理を含めた国内外での取り込みを狙う。

 研究開発も大きなテーマで溶接ロボットの活用などで米カーネギーメロン大学(ペンシルベニア州)と14年から共同研究に乗り出した。

 「この20年間でグループ全体の売上高は2・5倍から3倍の規模になった」と川本隆夫ツネイシHD会長兼常石造船会長が胸を張るように、造船や海運以外の環境、エネルギー、ライフ&リゾートなどは比較的堅調だ。

 カギを握る造船部門。常石造船の常石工場(同)では年内をめどに400トン級ジブクレーンなどの設備増設を急ピッチに進めている。

 川北雅弘常務常石工場長は「現存設備を使って建造しながら新しいクレーンなどを導入しているので、現場での作業的には苦労を伴う」と説明する。

 2014年ころから約100億円を投じる同工場の設備増強は16年末で一巡する。同工場の設備投資は「(大型クレーンなど)17年以降、大きなものはないと思う。老朽部分の更新が中心」(河野社長)と16年末でひと区切りとなる。売上高の70%を占める造船事業の行く末がHD全体の将来を左右するだけに、あらゆる手を繰り出して試練に耐える力が問われる。

最終更新:6月4日(土)13時26分

ニュースイッチ