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奨学金ローン270万円を抱えた専業主婦「忙しい」と働かず…夫が払う義務はあるの?

弁護士ドットコム 6月4日(土)9時51分配信

「妻の奨学金300万は夫が支払わなくてはならないのか?」。そんな見出しの記事があるブログに投稿されました。

投稿した夫は33歳で結婚6年目。小さな3人の子ども(4歳、3歳、1歳)がおり、妻は専業主婦です。最近になって、そんな妻に奨学金の返済金が270万円あまり残っていることが判明。早急に働いて、自分で返済するように求めても、「忙しい」といって働きに出ることは拒否しているといいます。

夫は、ゴミ捨てのほか、休日に妻が料理をしている間の子どもの面倒をみているそうですが、「仕事が忙しく、これ以上の家事を分担することはできない」と言っています。

妻の奨学金は、妻自身が返済する必要があるのでしょうか。それとも、夫にも返済する責任があるのでしょうか。有坂秀樹弁護士に解説してもらいました。

 ●夫に返済義務はあるのか?

夫婦にはお互いに扶養義務があるので、妻の奨学金の返済は、一見すると夫にも支払う責任があるとも考えられます。

しかし、妻の奨学金は、夫と結婚する前からの借金です。夫婦の扶養義務は、結婚前から負担していた配偶者の借金の返済まで負担させるものではありません。

そのため、夫には妻の奨学金を返済する義務はありません。

 ●家事に追われて働けない! そんな事情は考慮される?

現在、妻が家事をしていて働けないという事情があっても、そうした状況は奨学金の貸与を受けた時から想定しえたことでもあります。妻が働けないからといって、夫に返済義務が当然に生じるわけではありません。

ただ、本来は結婚する段階で、妻は夫に対して、「自分には奨学金の借入残高がこれだけあり、今後も長期間返済が継続していく」ということを伝えておくべきだったでしょう。

将来的に専業主婦を選択することがありうるのか、その期間中の返済はどうするのか、あらかじめ二人で対応を決めておくとよかったものと思われます。

 ●奨学金には「支払猶予」の制度がある

通常、奨学金の貸与を受けるためには、両親や親戚が保証人となっているはずです。支払いが滞れば、保証人に督促がいくことになります。

この場合、1年単位ではありますが、日本学生支援機構の奨学金の場合、産休・育休・失業などによる返還期限猶予の制度があります。猶予が認められますと猶予中の利息・延滞金は発生しません。

ただ、最終的には妻自身が自分で支払っていく義務があります。当面この猶予の制度を利用して、利息・延滞金が累積することを防ぎながら、妻に将来の返済手段を考えてもらっていくことになるかと思います。

【回答弁護士】
有坂 秀樹(ありさか ひでき)弁護士
離婚・相続・成年後見・債務整理・交通事故・労働事件・刑事事件など一般市民の法務から、不動産賃貸、債権回収・契約書や利用規約作成・労務管理等の中小企業法務まで幅広く業務を手がけている。
共著に「実践 法律相談 面接技法のエッセンス」(東京大学出版会)。
事務所名:林・有坂・伊藤法律事務所
事務所URL:http://hai-lawoffice.jp/index.html

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月4日(土)9時51分

弁護士ドットコム