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いま、国内富裕層が相続対策で「億ション」を買わない理由

ZUU online 6月5日(日)11時10分配信

日本における富裕層とはいったいどれくらいの資産を所有している場合を指すのかは、非常に難しいところであるが、一般的には「富裕層」と呼ばれる人たちは次のように定義されることが多い。世帯年収が3000万円以上・保有する金融資産(不動産を除く)が1億円以上だ。

富裕層が一般人以上に気にしているのが「税金」の存在だ。彼らはいかにして節税するかを知りたがっている。投資商品の中でも節税効果が高いのが不動産である。大きく分けて「減価償却」と「相続における固定資産の評価減」の2つを利用して節税している。

■継続した節税「減価償却」、相続見据えて「路線価安い物件」

減価償却とは建物にかかった費用を残存耐用年数で経費化するもので、不動産を購入した年ではなく、定額法を用いて一定の期間継続して経費と計算する。この経費と給与所得など他の所得と損益通算すると、節税効果が生まれる。

中古不動産を購入した場合は、減価償却耐用年数を短縮することができ、1年当たりの経費は大きくなる。22年を経過した木造アパートの場合は、償却期間は4年となる。8000万円の不動産であれば、年間2000万円を経費とすることができる。

相続税対策の観点だと、売買価格と路線価が乖離している不動産が投資先として適している。不動産には購入した金額だけではなく、不動産の所在地の路線価から算出する路線価格というものがあり、相続税の計算には路線価が用いられる。通常、不動産の売買取引価格よりも路線価格は20~30%程度低くなるケースが多い。それ以外にも、
1.人に貸すことで評価が下がる「貸家建付地による評価減」⇒(相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合))
2.一定の条件を満たした場合に、ある面積まで評価が大きく減額できる「小規模宅地による評価減」などが利用できる。

■不動産の波は、すでに売りトレンド? 富裕層は大局的な目

積極的に資産を運用したい富裕層は、キャピタルゲインの狙える不動産であるかを見ている。著者は、現在日本で地価の上昇によるキャピタルゲインを期待できるのは東京の港区・中央区・渋谷区・品川区だけではないかと考えている。不動産の売買が本業ではないので、富裕層の不動産売買は、時間の流れを大きくとらえている。地価の上昇トレンド、下降トレンドの流れに乗りたいと考えているからだ。

ここ数年、築年数の浅い物件を中心に売買価格が年に数%ずつ上昇してきたので、富裕層は売りを模索するトレンドへと移行している。オリンピック効果は既に価格に織り込まれており、もうそろそろピークと言えるが、不動産マーケットは今後の動きを描き切れずにいるのが現状だ。そのため、富裕層の間での期待売値と期待買値のギャップが大きく、思ったほど売買が伸びていない。

■相続対策にマンションを買う富裕層 買うのは億ションではなく…

一方で、相続税対策の不動産取得は堅調に推移しており、都心の大規模高級マンションを中心に富裕層に買われている。例えば、子供の数に合わせて複数の区分所有の部屋を購入し、相続争いを避けるなどの節税対策をしているのだ。

相続対策でのマンションを購入する場合、億ションを一つ買うより、不動産マーケットでのニーズが高い4000万円~6000万円程度のマンションを複数購入しているケースが多い。売買時だけでなく、賃貸時にも借り手の多い月額賃料12~25万円で貸すことが出来るからだ。賃料50万円でないと利回りが出ない物件は景気に大きく左右され、想定外のタイミングで売却に迫られることもある。

富裕層が好む不動産は立地と外観が特に重要視される。立地は言うまでもないが(富裕層に限ったことではないが)、建物の外観も年数が経って陳腐になるデザインでは、売却時の価格にも影響する。さらには所有をステータスと考えれば、落ち着きのある高級感あるデザインというのは所有欲をみたすものであり、とても大切なものとなる。

立地は、駅徒歩7分以内が通常価値が落ちない基準だが、富裕層は車を利用するケースが多い。そのため、駅・主要道路・駐車場・近隣の買い物スポット・緑地・公園への距離など、離れていてもバランスが取れている場所を選ぶ傾向にある。

尾嵜 豪(おざき たけし)
株式会社ウィンドゲート 代表取締役
大手ゼネコンでの勤務・経験を経て、業界最大手の芸能事務所にて不動産売買・賃貸・管理・コンサルティングの総責任者を務める。独立後、株式会社ウィンドゲートを設立、代表取締役に就任。都心の一流不動産のアドバイザーとして、芸能人・プロスポーツ選手・企業経営者などの富裕層を主な対象とする、不動産コンサルティングが好評を博している。

最終更新:6月5日(日)14時39分

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