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日産は三菱自を本当に信用して大丈夫か。予断許さない再建シナリオ

ニュースイッチ 6月5日(日)8時54分配信

「ものをいえる文化を会社に根付かせたい」ー。益子会長の空しいメッセージ

 「影響はどこまで広がるのか、もう広がらないのか、見えにくい」。日産自動車の幹部はこう漏らす。三菱自動車の燃費不正問題の先行きは、依然として不透明感がぬぐえない。

 不正対象車の販売停止で三菱自の販売は激減。ユーザーやサプライヤー、販売店への補償など具体策はまとまっておらず、業績への影響も見えにくい。

 ひとまず日産が三菱自を傘下に収めることになったが、日産幹部は8月に終える資産査定で全容が把握できるまでは、業務提携の具体化作業には慎重な姿勢で臨んでいる。

 カルロス・ゴーン日産社長は「(三菱自会長の)益子さんから説明を受けて問題の規模や対象が分かっている。彼を信頼している」と話すが、25日に結んだ資本業務提携の正式契約では出資の条件として「重大な悪影響があると合理的に見込まれる事実または事象が発見されていないこと」を盛り込んだ。

 三菱自が抱える補償や信頼に関わるリスクを日産は抱え込むことになる。台湾・鴻海精密工業のシャープへの出資を巡り「偶発債務」を理由に条件を見直したのは記憶に新しい。

 日産と三菱自も条件が変わる可能性はあり、両社が描くシナリオ通りに事が進むかは予断を許さない。

 「度重なる不祥事で世の中から厳しい目で見られています。従業員やご家族の皆さんも今回の事態を大変心配されていると思います。皆さんにはご心配をかけることとなり経営責任者として誠に申し訳なく思っています」。日産との提携を発表した後の5月下旬、益子修三菱自会長が社内に発信したメッセージだ。

 「今回の問題で会社が被る金銭的な損失は大きなものになりますが、会社には金銭面でこの事態を乗り越える力があります」。00年のリコール隠し問題で経営危機に直面した時と違って、今回は強固な財務基盤があると主張した上でこう結んだ。

 「私は何度も言ってきた『ものをいえる文化』を会社に根付かせたいと思います。特に、できないことはできないと言う風通しの良い風土作りが重要と考えています。苦しい時ですが、前を向いて仕事をしていきましょう」。

 不祥事を繰り返したあげくの今回の不正問題。風土を変えないことには再建のスタートに立つことすらできない。

最終更新:6月5日(日)8時54分

ニュースイッチ