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首都高、老朽化問題に出口無し? はたして無料化の実現は

乗りものニュース 6月5日(日)10時53分配信

「首都高老朽化」の象徴、意外だったその現状

 去る2016年5月30日(月)、造り直し工事が始まった首都高1号羽田線・東品川桟橋の現場が報道陣に公開されました。

 運河の上を通る東品川桟橋は、首都高で最も老朽化が進んだ部分であり、テレビニュースで繰り返しボロボロになった橋脚のコンクリート表面の映像が流されています。そのため、「首都高はいつ崩れてもおかしくない」という印象を持った人もいるかもしれません。

 しかし、私(清水草一:首都高研究家)がその現場を今回初めて間近で見た第一印象は、「思ったほどボロくないな……」でした。あのボロボロの映像が撮影されたのは数年前で、その後、補修が進んでいるとのこと。もちろん老朽化しているのは間違いありませんし、鉄製の管理用通路が錆で崩壊している姿は悲惨ではありますが、本体はそれほど問題なさそうです。

 現場は、90メートルごとに巨大な円筒形の土台を設けて地震の揺れに耐える構造になっていることもあり、全体を見渡すと、「阪神大震災級の揺れに耐えるはず」という首都高側の説明も、腑に落ちてきます。

新規地下トンネルより高い更新費 老朽化対策で首都高は破産する?

 首都高1号羽田線・東品川桟橋の造り直し工事は、まず陸側に2車線の迂回路を設け、そのうえで上り線側、そして下り線側という順に取り壊して造り直すという、複雑な手順が予定されています。造り直し区間の距離は、羽田寄りの鮫洲埋め立て部と合わせて1.9km。総事業費は986億円で、1kmあたりの単価は約500億円/kmです。

 これは、地下トンネル(シールドトンネル)が続く首都高C2中央環状品川線の約400億円/kmをも上回ります。常に往復4車線を確保しつつ工事を進めるため、工程が大変複雑になり、運河上という条件の悪さもあって、単価が上昇してしまうのです。

 仮にこの単価で首都高全線(約310km)を造り直すと、およそ15兆円という途方もない金額になります。

 現在、首都高の建設に使われた借金が約4兆円残っており、料金収入でそれを今後34年間かけて返済していく予定です。しかし、老朽化は次々と襲ってくるはずですから、全部を造り直すと約15兆円、借金の4倍にもなる額がさらにのしかかってくる、という単純計算。「首都高は老朽化で破産するのでは!?」という疑問すら湧いてきます。

 現在行われている首都高の更新計画は、総額およそ6300億円をかけ、造り直し区間が合計8km、大規模修繕区間が55kmです。建設から40年以上を経過した区間約100kmのうち、およそ6割に大幅な手が入ることになりますが、この6300億円は、2050年に先述した4兆円の借金を完済したのち、改めて15年かけて返済する予定です。そのため首都高の料金徴収期間は15年間延長され、2065年までになりました。

 しかし首都高は今後、定期的(たとえば10年毎)に更新個所を見直していく予定で、そのたびに、今回ほどの額にはならないと思われますが、新たな費用が発生する見込みです。つまり「老朽化を受けた道路更新」と「借金」というサイクルが、続いていくことになります。

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最終更新:6月7日(火)11時6分

乗りものニュース